「親の介護が始まりそうだけれど、親の住む家がゴミ屋敷状態で介護できるか心配」
「ゴミ屋敷になった実家で介護に邪魔なものを捨てようとしたら親が反対する」
「親の家が足の踏み場もないくらいゴミが溢れていて、介護ヘルパーさんを呼ぶにも気が引ける」
親の介護に関して様々な問題で悩んでいる人がいる中、特に実家のゴミ屋敷に関する問題で悩んでいる方が近年増えています。
親の介護をしながらゴミ屋敷まで片付けなければならないとなると大変です。
そこでここでは、高齢者の家がゴミ屋敷になってしまう理由とその対応策について解説します。
目次
なぜゴミ屋敷になってしまうのか。
高齢者の家がゴミ屋敷になってしまう原因はいくつかあります。
そこで、まずは主なゴミ屋敷になってしまう原因について解説しましょう。
判断力の低下
ゴミ屋敷になってしまう原因の一つには判断力の低下が挙げられます。
その例として、
- ゴミとして捨ててよいかの判断がつかない
- 捨てようと思っても、ゴミの分別が難しくて、どうやって捨てたら良いのかわからない
- ゴミの分別はできるのだけど、捨ててよい日時や捨て方などがよくわからない
こういったことから片付けやゴミ捨てがうまくできなくなり、次第に家の中にゴミが溜まって最後にはゴミ屋敷になってしまうのです。
認知症の可能性も
判断力の低下と言っても様々なレベルの人がいるので、ゴミ屋敷の原因となるパターンは人それぞれです。
中には認知症の影響でゴミの区別ができなくなっている場合もあります。
判断力の低下と言っても専門医への相談が必要なレベルかどうかは、よく確認した方が良いでしょう。
身体能力の低下
高齢者になると足腰が弱ってくるなど、身体能力の低下が起こります。
そうすると、全般的に家事がスムーズにはできなくなり、やるべきことが滞ったり、支障が出てくることがあります。
こうして掃除や片付けることはできても、ゴミを捨てに行くことが難しくなることで、家の中にゴミが溜まっていってしまいゴミ屋敷になることがあるのです。
身体能力低下に起因する気力の低下もゴミ屋敷の原因に
また、身体能力の低下は気力の低下を招くこともあります。
昔なら簡単にできたことができなくなってくると、掃除や片付け、ゴミ出しをする気力がなくなってしまう場合もあるでしょう。
そういった気力の低下により、ゴミ屋敷化がより進んでしまう場合もあるので注意しましょう。
セルフネグレクト
セルフネグレクトは自己放任とも言われ、自分で自分の世話を放棄してしまい、心身の健康に悪影響が及んでいる状態のことをいいます。
セルフネグレクトになる原因としては、大切な人などを失ったことによる喪失感や孤立などによるストレスなどがあるとされています。
この状態になると、自分の身の回りのことについて普通ならやることで実際にやろうと思えばできることでもやらなくなってしまいます。
これにより掃除や片付けをしなくなり、ゴミ捨てなどもやらなくなってしまうので、ゴミ屋敷になってしまうのです。
ためこみ症(物が捨てられない)
ためこみ症は物を捨てられない心の病気です。
たとえ価値のないゴミみたいものであっても捨てることができなくなり、物を溜め込んでしまいます。
こういった病気にかかってしまうと、物がたくさんあることで安心したり、物を捨てることに罪悪感を覚えたりすることから、部屋の中が物で溢れてゴミ屋敷になるのです。
高齢者の場合、そのような精神疾患とまではいかなくても、やはり物を捨てることに罪悪感を覚えて捨てられなかったり、とりあえず取っておくといった考えで物を捨てずにおいたりすることは多々あります。
こうした場合には、片付けてもまたゴミを溜め込んでしまいますから、ゴミ屋敷化が再発しないように注意する必要があるでしょう。
迷惑をかけたくない
ゴミ屋敷になる原因は様々ですが、高齢者の場合には自分では片付けられないとわかっているのに、周りに迷惑をかけたくないと相談できない方がいらっしゃいます。
そうすると、当然自分だけでは片付けられないのでゴミ屋敷化は進んでいってしまいます。
困っている場合にすぐに助けてほしいと言える場合には問題ないのですが、言えないタイプの人や、むしろ助けてくれようとする人を拒絶してしまうタイプの人の場合には、最初のコミュニケーションやアプローチの仕方に注意が必要です。
要介護者のゴミ屋敷を放置することで起こるリスク
ゴミ屋敷というのは、ただ片付いていない汚い家というだけではありません。
本人がこれで良いと言っているから問題ないと、ゴミ屋敷を放置していると、様々な問題が発生します。
そこでどのような問題が起きるのかを解説しましょう
転倒の危険性
加齢によって病気や身体機能が低下してくると、些細なことでも転倒しやすくなります。
65歳以上の方が救急搬送された件数のうち、8割以上が転んだことによるもので、そのうち4割弱の方が要入院になるくらいのケガを負っているという東京消防庁のデータも有ります。
ゴミ屋敷になってしまうと床の上に物が散らばっていますから、物を踏んでその上を歩くことで滑って転んでしまうリスクが高まりますし、床に置かれた物に躓くことも増えます。
自宅内での転倒は高齢者にとっては身近にある大きなリスクですし、介護する側にとっても怪我をするリスクです。
心身の健康を害する
ゴミ屋敷に住んでいると、転倒などにより怪我をするだけではなく、ホコリなどが原因で喘息やアレルギーを発症することもあります。
さらには、ゴミ屋敷という不衛生な環境下で生活していると、細菌やウイルスなどがゴミに付着したり、害虫が発生することで、食中毒や感染症などにかかるリスクも増えてしまいます。
また不衛生な環境で生活することによるストレスは心にも影響が出る場合もあるでしょう。
例えば、うつ病などになってしまうと、何もする気がなくなってしまうので、より一層ゴミ屋敷化は進んでいきます。
そうなってからでは、親の介護とゴミ屋敷の片付けの両方を同時に行わねばならず、負担は倍増します。
そうならないためにも、早い時期に対応することが必要です。
衛生面の悪化
ゴミ屋敷には害虫が発生しやすくなります。
またカビや虫が発生しやすくなり、掃除が行き届かないことでハウスダストやホコリも溜まっていきます。
そうしてダニなどの害虫が増えていくと、虫に刺されたりもしますし、悪いゴミ屋敷の空気を吸い込むことで、喘息やアレルギーを発症するリスクを高まってしまいます。
これはゴミ屋敷で生活をする親にとっても病気などのリスクがあるのですが、介護をする側にとっても病気のリスクを追うことになりますので、早めの対応が必要です。
火災などのリスクが増加する
ゴミ屋敷は掃除が行き届かないために、ホコリなどが増えていきます。
そうすると、コンセントにホコリが溜まって、そこに湿気が加わることによって起こるトラッキング火災のリスクが高まります。
ゴミ屋敷には物が溢れているため、燃えやすいものが多く、一度火がついてしまうと燃え広がりやすいという傾向があります。
これによりゴミ屋敷に住み続けることは、大きな火災に巻き込まれやすいというリスクが有るのです。
ゴミ屋敷となった実家を片付ける際のポイント
すでに親の介護を行っている人も、これを機会に親の介護について考えようとしている人もいるでしょう。
そこで、親の家がゴミ屋敷となってしまっている場合に、どうやって片付けたら良いのか、ゴミ屋敷を克服するためのポイントについて解説します。
親と積極的にコミュニケーションを取ろう
孤独感や不安といったストレスがゴミ屋敷の原因である場合、その原因を取り除く必要があります。
ゴミを宝物のように思っている場合には、それを勝手に捨ててしまったりすると、
- 「大切なものを勝手に捨てられた!」
- 「宝物を勝手に持っていった!」
といった風にとらえて、人間関係自体がこじれる場合もあるでしょう。
まずは片付けに協力して当たることについて、よく理解をしてもらった上で同意してもらい、親にも片付けに積極的に取り組んでもらうようにする必要があります。
またゴミだと思っても勝手に捨てたりはせず、きちんと確認を取って、捨てることへの同意をしてもらってから処分するようにしましょう。
ゴミ屋敷の原因から手伝えることを考える
ゴミ屋敷を片付けることができたとしても、再びすぐにゴミ屋敷に戻ってしまったのでは意味がありません。
そこで改めてゴミ屋敷になってしまった原因を探ってみましょう。
そうすると何ができなくてゴミ屋敷になってしまったのか、どういうところに問題があってゴミ屋敷になってしまったのか、が分かってくるはずです。
そうして問題点を把握したら、できるところは親にやってもらい、できないところをサポートしていくようにしましょう。
こうしてできる範囲で自助努力をしてもらい、できない部分を介護により補うことで、片付けやゴミ捨てができるようになれば、再びゴミ屋敷になることはなくなるはずです。
片付け業者に依頼する
ゴミ屋敷になってしまった場合、掃除や捨てずにとっておくものの片付けだけでも大変ですし、大量に出たゴミの処分方法まで考えると、親にとっても、自分たちにとっても、その負担は大きいものとなります。
特に普段から親の介護をみている人にとって、日常生活の介護に加えてゴミ屋敷の片付けも並行して行うというのは負担が大きいものです。
そういった場合には、片付けの専門業者に依頼するということを検討してみましょう。
専門の片付け業者であれば、ゴミの片づけも簡単に終わらせてくれますから、かなりの負担の軽減にはなるはずです。
一度ゴミ屋敷をきれいにして、そこからゴミ屋敷に戻らないように介護する方法を考えてみるというのも良いでしょう。
まとめ
親の家がゴミ屋敷になる理由とその対応方法について解説してきました。
高齢者の家がゴミ屋敷になってしまうような場合、その原因にうまく対応しなくては再びゴミ屋敷に戻る可能性は高いでしょう。
まずは親とのコミュニケーションを積極的に取って、ゴミ屋敷になってしまった原因を探りつつ、その原因となる問題点を解消するような介護の仕方を検討しましょう。
そして、介護のやり方を見直す前に、まずは専門業者に手伝ってもらって、ゴミ屋敷をキレイにするというのは一つの選択肢として覚えておくとよいでしょう。