部屋が片付けられず汚部屋になっている場合、もしかしたら「発達障害やADHDといった障害が原因なのではないか」と思ったことはありませんか。
実際には発達障害を持つ人の部屋がすべて汚部屋化する訳ではありませんが、症状の出方によっては汚部屋やゴミ屋敷になりやすいとされています。
そこで、まずは発達障害やADHDについてご紹介し、
- どういう場合に汚部屋やゴミ屋敷になりやすいのか
- なってしまった場合にどうしたら改善できるのか
について詳しく解説します。
部屋の片付けで悩んでいる方に参考になる対処法もご紹介しますので、参考にしながら汚部屋を片付けていきましょう。
目次
発達障害とはどのような障害なのか
発達障害とは、脳機能の発達に関係する障害のことを言います。
発達障害があると、周りの人とのコミュニケーションがうまく取れず、人間関係の構築が苦手で、社会生活において支障が出る人が多いでしょう。
しかし、その一方で特定の分野では優れた能力を発揮する人もいます。
外見上に特別な特徴がないことから、周囲から障害を持っていることに気づかれにくいという側面もあります。
汚部屋に結び付きがある発達障害例
まずは汚部屋に結び付く可能性がある発達障害にはどのようなものがあるのか、主な特徴について解説します。
ADHD
ADHDは、注意欠陥多動性障害と呼ばれる発達障害の一種です。
その特徴としては、大きく3つの症状が挙げられます。
ADHDの特徴 | 内容 |
---|---|
不注意 | 物事に集中できない |
多動性 | じっとしていられず、すぐに動き回ったり、おしゃべりをしたりしてしまうという症状がある |
衝動性 | 考えずに思いつきで行動してしまう |
ADHDの方は、こうした集中力の欠如や多動性、衝動性によって、日常生活や仕事において支障が生じてしまうことが多いのです。
参照:発達障害教育推進センター 注意欠如多動性障害(ADHD)
ASD
ASDは、自閉スペクトラム症と呼ばれる発達障害の一種です。
以前は、自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害などに分かれていましたが、現在は統合されて、自閉スペクトラム症となりました。
様々な症状の方がいますが、基本的に共通しているのは、
- こだわりが強い
- 他人とのコミュニケーションを取るのが苦手
以上の理由から対人関係がうまくいかず、社会生活に支障を来すということです。
また、物事へのこだわりが強いという特徴により、特定の好きな物や決まったやり方などにこだわるあまり、他のやり方や他人の視点に柔軟に対応することができず、社会性が身につきません。
ADHDが汚部屋の原因となる理由
ADHDの方の部屋が汚部屋になる理由としては、大きく3つの理由が挙げられます。
不注意から掃除に集中できない
1つ目は、ADHDの方は不注意で集中ができないことです。
掃除や片付けを始めても、途中で他のことに気がいってしまうと、もう別のことをやり始めてしまいます。
そうして色々なことをやっているうちに、最初にやろうとしていた掃除や片付け片付けのことを忘れてしまうのです。
こうして掃除や片付けをしようと始めてみても、他のことをしているうちに掃除や片付け片付けに対するやる気はなくなってしまい、最終的に最後まで掃除や片付けをやり遂げることはできません。
やろうと思っていても、なかなか思うようには掃除や片付け片付けが進まず、結局部屋は汚部屋になってしまいます。
先延ばし癖
2つ目は、ADHDの方はイヤなことを先延ばしにする傾向があることです。
ADHDの方は長期的な利益よりも短期的な利益に飛びつきやすい傾向があります。
そのため面倒なことや嫌なことを先延ばしにし、目の前にある好きなことを優先しがちです。
例えばゴミ出しなども、回収日に出す準備までしているにも関わらず、今度出そうと先延ばししているうちに1ヶ月経ってしまい、部屋中がゴミだらけになって害虫が発生することだって起こりえます。
掃除や片付けをしなくてはいけないと分かっていても、本当は急いでやる必要のない別のことを優先してしまうのです。
こうして面倒な掃除や片付けを先延ばししているうちに、部屋は汚れ、ゴミは捨てられずに放置されていくことになります。
計画性が無い
最後の3つ目は、計画性の無さです。
ADHDの方は作業時間の見積もりを立てることが難しく、時間配分を考えて作業計画を作成することが苦手です。
計画を立てることも、計画通りに作業することも苦手であり、計画性がない人だと周囲から評価されるようになります。
ASDが汚部屋の原因となる理由
続いてASDの方の部屋が汚部屋になる理由としては、大きく2つの理由が挙げられます。
こだわりの強さから物を捨てられない
ASDの方は物に対するこだわりが強いという特徴があります。
そのため、好きな物をたくさん集める収集癖があったり、好きな物については壊れたとしても捨てられずに保管しがちです。
そのため必要のない物でも捨てられず、部屋の物が増えていくことで汚部屋やゴミ屋敷になっていくことがあるのです。
マルチタスクが不得意
ASDの方はマルチタスクが苦手なこともあって、片付けが不得意であるという側面があります。
一つのことを集中してやることが得意な一方で、複数のことを行うことが苦手なため、片付けをしていたはずが他のことに集中してしまうと、片付けることに意識が向かなくなることがあるのです。
また優先順位をつけることが苦手で、重要性や緊急性の高いものから順に手を付けていくことができません。
ルーティンが好きな代わりに変化が苦手で、突発的な事象に対して臨機応変に対応するのは苦手だったりするため、片付けがスムーズに進みません。
こうして物が増えていく一方で片付けがうまくできずに汚部屋やゴミ屋敷になっていくことがあるのです。
発達障害の方向けの汚部屋への対処法
発達障害の方は障害があるがゆえにスムーズに片付けられないということが分かりました。
発達障害の方の場合は、障害があることを前提に工夫をして片付けをしていく必要があります。
そこでどのようにして片付けていくと良いのかを解説します。
片付けるエリアを決める
ADHDの方は色々なことに気が散ってしまいがちです。
また段取りを決めるのが苦手なので、最初にどこから片付けたら良いかわからず、とりあえず始めてみても他の場所が気になってしまうでしょう。
そこでキッチンならキッチン、玄関なら玄関というように、やる場所を明確にして、まずはそこだけを片付けていきます。
こうすることで最後まで作業をやり遂げることが容易になり、小さなエリアでも片付けることができれば達成感を得られるので、次に繋げることもできるでしょう。
片付ける時間を決める
ADHDの方は集中できずに途中で他のことをしてしまいがちです。
そこで短い時間でも良いので、例えば10分なら10分と決めて、その時間は掃除だけをするようにしましょう。
時間を決めたら、タイマーやアラームを使用し、時間を気にせず片付けだけに集中できるようにして作業をする方法も有効です。
捨てる物のルールを決める
片付けが苦手な場合、捨てて良いかどうかを判断することが困難な人が多いです。
そこで、判断のつきやすい簡単な基準、例えば1年間使ってしないものや壊れているものは捨てるというように決めて、ゴミとそれ以外を判断していくと良いでしょう。
こうして最初はとにかく最後まで片付け作業をやり遂げることを最優先にすることで、汚部屋からの脱出に近づけるはずです。
必要なものだけを集めて保管する
物にこだわりがある方の場合、どうしても捨てられない場合や捨てるかどうか迷ってしまうかもしれません。
そういう場合には無理に捨てるのではなく、必要なものとして収納しておきましょう。
必要なものを片付ける際に、細かく分類して収納場所を考えて決めていくことが苦痛な場合があります。
そういう場合には、あえて分類せずに必要なものだけを保管する場所を作ると良いでしょう。
こうすることで、ゴミ以外のとりあえず必要なものはそこに保管するという習慣をつけることができ、少しずつ片付けることができるはずです。
発達障害の方向けの汚部屋の予防法
せっかく部屋を片付けて綺麗にしたのですから、再び汚部屋やゴミ屋敷にしてしまった!…なんてことにならないようにしたいものです。
そこで、そうなる前にやっておくと良いであろう、事前にできる汚部屋の予防法について解説します。
物を減らす
片付けることが苦手であれば、最初から物を減らしておくのも良いでしょう。
発達障害のある方は長時間の片付けが苦手で、捨てるかどうかの判断をすること自体が難しく、すぐに掃除や片付けのやる気をなくしてしまう傾向があります。
その場合、掃除や片付けを定期的にやろうと思っても、なかなか継続できなかったり、やり始めてもすぐに他のことをしてしまう、という事態になりかねません。
そこで、物を大幅に減らして最初から部屋にある物を必要最低限にしておくことで、掃除や片付けの負担を減らすのです。
ミニマリストという言葉もありますし、汚部屋で生活するくらいなら基本的なライフスタイルから変えてみる、ということを検討してみても良いのではないでしょうか。
掃除や片付けを習慣づける
発達障害が原因で汚部屋になっている場合、少しずつでも良いので掃除や片付けを日常生活の中に取り入れて習慣づけていくと良いでしょう。
特にASDの方でルーティンを好むタイプの方は、日常生活の中で掃除や片付けを習慣づけてしまうことで、常に片付いた状態を維持できます。
ADHDの方には難しいかもしれませんが、最初は小さなことからで構いません。
食べ終わったらすぐに食器を洗う、ゴミが出たらすぐに捨てる、朝起きたらすぐに布団やベッドを整えるといった風に、少しずつ取り入れていけば汚部屋になることはないはずです。
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どうしても汚部屋を片付けられない場合
発達障害が原因で汚部屋になってしまった場合、障害のこともあってなかなか自分だけでは汚部屋を克服できないことも多いでしょう。
特に発達障害の方の場合、周りの人とのコミュニケーションが上手く取れないことが多いことから、一人でなんとかしようとするかもしれません。
しかし、困った時には誰かの力を借りて、まずは汚部屋を克服し、そこから再び汚部屋にしないようにしていくことも考えましょう。
掃除や片付けが難しいのは、単純に作業量が多くて時間がかかる上に、捨てるかどうかの判断など、作業中に考えることが多いことが影響しています。
一人でやるよりも二人、三人と片付ける人が増えていけば、自分の負担は2分の1や3分の1と大幅に減っていきます。
やる気がなくなっても、他のことが気になっても、周りの助けがあれば片付け続けることができるかもしれません。
どうしようもない時は、頼れる人を探して頼ってみることを検討しましょう。
家族や友人に相談する
最初に相談相手として考えられるのは、家族や親しい友人でしょう。
特に家族であれば障害のことも理解してくれるでしょうし、親身になって相談にのってくれるはずです。
家族が近くにいないなどで相談することが難しい場合には、友人や知人を頼ることも検討しましょう。
障害のことを理解してくれている人であれば、多少集中力が途切れたりしても、なんとかしてくれるかもしれません。
ただ、友人といえども自分の部屋に入れたくない場合や、友人や知人であればこそ見られなくないものがある場合もあるでしょう。
また大量にゴミが溜まっていて、床も見えないくらいになってしまっている場合には、たとえ友人を集めても、なかなか片付けるのは難しいかもしれません。
ゴミ屋敷片付け業者に依頼する
あまりにゴミの量が多くどこから手を付けたら良いかわからないような場合なら、ゴミ屋敷片付け業者に依頼すれば最短即日で片付けてもらえます。
特に不用品回収を専門とする業者であれば、捨てるのが難しい粗大ゴミを含む大小様々なゴミの回収まで責任をもってやってもらえますので安心です。
頼れる家族が近くにいない場合や、部屋に入れても良い友人や知人がいない場合には強い味方になってくれるでしょう。
発達障害の方の場合、ゴミ屋敷片付け業者に依頼したり見積もりを取ったりするための電話が苦手な方もいるでしょうが、今はWEBやLINEから問い合わせができる業者も増えています。
ゴミの量や汚れがひどくなれば費用も高くなっていくので、できるだけ早く業者に依頼した方が安くなります。
ゴミ屋敷片付け業者は全国に多数ありますので、経験豊富な信頼のできる業者を探してみると良いでしょう。
まとめ
最初に発達障害とその症状をまとめ、その中でも汚部屋の原因となりやすい症状と、発達障害からくる汚部屋への対処法や予防法について解説しました。
発達障害だからといって必ず汚部屋やゴミ屋敷になるという訳ではありません。
しかし、症状によっては汚部屋やゴミ屋敷になりやすいという傾向はあります。
発達障害によって汚部屋になってしまった場合、障害の存在によって片付けや掃除が苦手なことが多く、自力で汚部屋を克服するのは困難な場合が多いでしょう。
そんな時には、片付けのプロであるゴミ屋敷片付け専門業者への依頼を検討してみましょう。
一度プロに片付けてもらい、汚部屋をスッキリきれいな部屋にしてもらってから、新しい気持ちで生活をスタートさせるのも良いのではないでしょうか。
七福神のこれまでのゴミ部屋の清掃実績については、以下のリンクにてまとめています。