身寄りのない人が亡くなった場合、問題になりやすいのが持ち家や財産の処理・生前整理のやり方です。特に、一人暮らしの高齢者や健康に不安を抱えている人は、「相続はどうなる?」「どのように生前整理すればいい?」など、さまざまな不安が頭をよぎってしまいます。
身寄りのない一人暮らしをしていても、適切な方法を知っていれば安心・安全な対処が可能です。今回は、身寄りのない人が死亡した場合の財産の行方や、生前整理でやるべきことなど具体的な方法を詳しく解説しましょう。
目次
身寄りのない人が死亡したら持ち家はどうなる?

一般的な流れでいくと、亡くなった人が所有していた持ち家は、次のような順番で相続権が発生します。
- 故人の配偶者
- 故人の子供
- 故人の親(子供がいない場合)
- 故人の祖父母(1〜3に該当する人がいない場合)
- 故人の兄弟・姉妹(1〜4に該当する人がいない場合)
- 故人の血縁者(甥・姪・叔父・叔母などで、1〜5に該当する人がいない場合)
- 特別縁故者に該当する人(故人と一緒に暮らしていた人・看護していた人・その他の深い関係があった人など)
つまり、血のつながりや法的な立ち位置が故人と近い者から優先的に相続権を持ち、該当する人がいなければ血縁を辿って相続権を移行させていく仕組みです。したがって、現在身寄りのない人が所持している持ち家は、戸籍を辿って血縁者が見つかれば血縁者が、いなければ故人と深いご縁があった人が相続します。
身寄りがない場合は最終的に国庫に入る
故人の血縁者や特別縁故者(故人と親しい間柄の人)が見つからず完全に身寄りがないと判断された場合、最終的に行われるのが国庫への帰属です。この根拠となっているのは民法第959条で、相続人となりえる人が完全にいないと判断された遺産に対し適用されます。
ただし、この法律は『相続人がいないと確実に言える状態』が前提条件なので、現在身寄りがないからといって必ずしも持ち家が国庫に入るとは限りません。また、故人生前に『〇〇へ寄付する』『〇〇に贈与する』といった遺言書を残していれば、民法の規定よりも遺言書の内容が優先されるため、特定の人物や施設等に持ち家を渡したいのであれば、生前に遺言書を作成した方が望ましいです。
身寄りのない人の相続財産はどうなる?

身寄りのない人が死亡した場合、持ち家だけではなくそれ以外に所持していた資産の行方も気にかけなければなりません。そもそも、亡くなった人の持ち物は全て財産とみなされるため、勝手に捨てたり分けたりするのはNG行為です。
身寄りのない人が残した相続財産は、きちんと整理し権利を持つ人が受け取ることで、正当性のある相続が成立します。では、身寄りのない人の相続財産はどのように扱われるのか、具体的な例を以下でご紹介しましょう。
①相続財産清算人によって遺産が処分される
相続財産清算人とは、簡単にいうと家庭裁判所から指定を受けた遺産管理人のことで、相続人や特別縁故者が見当たらない時に遺産の処分を請け負います。本来、遺産管理や精算は相続人が行うべきですが、身寄りのない人は相続人がいないケースが多く、そのまま放置すると法的処分が進みません。
このような事態を避けるために行われるのが相続財産清算人による遺産の処分で、家庭裁判所が指定した遺産管理人が相続財産清算人となり、遺産の処分や整理を担います。相続財産精算人に処分を任せるケースでは、財産の精算と国庫への帰属が主目的になるため、法手続きに強い弁護士や司法書士が選ばれることが多いです。
②特別縁故者に財産分与される
身寄りがない人で法定相続人がいない場合、遺産を特別縁故者に受け取ってもらう人もいます。特別縁故者とは、血縁者ではないが故人と家族・親戚のような関係を築いていた人物のことです。たとえば、同じ家で同じ財源からお金を出していたり(同一生計)、身の回りの世話や介護を担っていた人は、身寄りのない人にとって家族同然と言っても過言ではありません。
血の繋がりがなかったとしても、家族のようなお付き合いをしていた人は故人の特別縁故者として認められるため、財産分与される対象になります。対象者が家庭裁判所へ申し立てる必要があることと、相続の割合が一部から全部と幅広い点が不安材料ですが、この2点さえクリアできれば相続財産の行方を心配する必要はありません。
③国庫に帰属する
身寄りのない人の相続のうち、相続財産精算人や特別縁故者への財産分与がなされなかった場合、残された遺産は国庫へ帰属し国の財産として引き継がれます。ただし、国庫への帰属は『誰も受け継ぐ者がいなかった場合に行われる国の対応策』なので、法定相続人も特別縁故者もいないからといって、すぐに収納されるわけではありません。
最初に相続財産清算人が故人の遺産と負債の整理を行なった後、特別縁故者を探すために官報を出し、誰からも申し立てがないことを確認してから国庫へ帰属させます。また、遺産の扱いについて故人からの指定がなかった場合、どのような使い方をするかの判断は国に委ねられるので、寄付や遺贈といった希望があるなら、生前に何かしらの方法で遺産の使い道を指示しておいた方が無難です。
身寄りのない人でも遺言書を残して相続を行う方法がある

相続する人がいなくても、最終的には国庫に帰属するのであれば、ある意味死後の財産に対する不安はありません。しかし、遺産は自身が歩んできた人生の一部であると考えると、できれば国庫ではなく遺志を反映した相続をしたいと考えるのは当然の想いであり、その為に身寄りのない人が遺言書を残すケースも増えています。
では、家族や親族・特別縁故者がいない人は、どのようにして遺言書を残し相続に備えているのでしょうか。身寄りのない人でも、遺言書を残して相続を行う方法を以下で解説しますので、実際に検討するときの参考にしてみましょう。
財産管理等委任契約を結ぶ
財産管理等委任契約とは、自分が信頼できると思う相手に、相続対象となる財産の管理を委任する契約です。財産管理委任契約を受けた人は、依頼者の代わりに財産管理を行う権限を持つため、生前に遺産の扱いについて詳細に伝えておけば、国庫に遺産を収納されることなく、親族へ遺贈したり支援団体へ寄付したりできます。
ただし、人間性的に問題がないと判断できる人へ依頼しないと、権限を悪用されて財産を奪われたり手続きに不備が生じたりなど、トラブルに遭う可能性も0ではありません。信頼できるのであれば、友人・知人といった身近な人を指定しても良いですが、少しでも不安があるなら、弁護士や司法書士といった士業に携わる人と契約してください。
後見人制度を活用する
後見人制度は、日常的な財産管理から法的手続きまで、細かなサポートを受けたい人におすすめです。身寄りがない高齢者が一人暮らしをしていると、加齢により財産管理に不手際が出たり、手続きに手間取ったりといった、不都合な場面に遭遇することも少なくありません。
後見人制度を活用すれば、判断能力や身体能力が低下しても後見人が補ってくれるため、不安を感じることなく生活できます。後見人制度には、任意後見人と法定後見人の2種類があり、生前から活用できるのは任意後見人制度です。身寄りのない一人暮らしをしていて、高齢期に入り健康面や財産管理・各種手続き等に不安がある人は、できるだけ早く任意後見人を選んでおきましょう。
身寄りのない方が今から準備したいこと

身寄りのない方が高齢期を迎えると、「持ち家をどうしよう」「万が一に備えて何をすればいい?」など、不安が浮かんでは消えて気持ちが落ち着きません。かといって、思いついたことを手当たり次第に行なっても、「これで間違いはないか」「不足はないか」と心配になり、気がつけば何も準備できていない、という結果を迎えてしまいます。
身寄りのない方が万が一に備えて行うべき準備は、ポイントを押さえて少しずつ進めることが大切です。ここでは、今から始めれば今後に役立つ、具体的な準備の内容を詳しくご紹介します。
遺言書を作成する
遺言書の作成は、財産管理においても日常生活においても、いざという時の要になる大切な準備です。ここでいう遺言書とは『公正証書として認められたもの』のことで、法的拘束力があるため遺産の取り扱いに希望がある人には欠かせません。
例えば、正式な遺言書に『〇〇へ遺贈する』『〇〇へ寄付する』と記載されていると、相続人はもちろんのこと、国庫に帰属した場合でも有効です。法的拘束力のある遺言書は正式な書式があるので、できるだけ弁護士や司法書士といった、士業に作成依頼しましょう。
財産管理等委任契約を結ぶ
財産管理等委任契約も、できるだけ早い段階で信頼できる人へ依頼し、いつ何が起こっても問題がないよう準備を整えてください。財産管理等委任契約の対象は、財産管理だけではありません。
利用している福祉サービスの解除手続きや、賃貸物件の契約解除と精算、病院の入退院に伴う手続きや支払いなど、様々な面でサポートしてもらえます。高齢になってくると、自分でお金を管理するのも難しくなってくるため、元気なうちに財産管理等委任契約を結んでください。
後見人制度を利用する
後見人制度の利用は、現時点では元気だけど万が一のことを考えて頼る先を準備したい、という人におすすめです。特に任意後見人は、生前から財産の管理や諸手続きなどを手助けしてくれるため、高齢の人にありがちな各種手続きの見落としや不手際といったミスを防ぎやすくなります。
高齢でなくても、身寄りのない人にとって気軽に相談できる相手の存在は、不安を解消する上で欠かせません。早い段階で任意後見人を活用することで、いざという時の対処方法も確立できるほか、焦らずに終活できるというメリットもあります。
エンディングノートを作成する
エンディングノートの作成は、年齢を問わず身寄りのない人にとって、自分の心情や希望を伝えるのに最適な手段です。例えば、エンディングノートに遺産の目録・死後の希望・手続きに必要な情報などを記載しておくと、相続財産清算人も各種手続きがしやすくなります。
また、エンディングノートに「お世話になった〇〇さんに感謝している。遺言書を作成しているので、お礼に遺産を受け取って欲しい」と記載しておけば、誰に遺産を残したかがわかり手続きも進めやすいです。ただし、エンディングノートの記載した遺言は法的拘束力がないので、特定の人物や団体へ遺産を確実に渡したいのであれば、別途正式な遺言書を作成しておかなければなりません。
この他にも、書くことで心の整理を行なったり不安点を洗い出したりなど、エンディングノートの作成はあらゆる面で効果的です。
生前整理を進め身軽にする
「やるべきことはわかっているが、気持ちが落ち着かずうまくいかない」という人は、生前整理を進めて身軽にすることから始めましょう。室内に物が溢れていたり雑然としていたりすると、視覚的に追い詰められ考えもうまくまとまりません。
生前整理を進めて身軽になれば、重要書類や貴重品も整理・保管しやすく財産整理もスムーズです。毎日一箇所ずつでも良いので、焦らずコツコツと生前整理をして、身軽で清潔な室内へ整えましょう。
生前整理は七福神にご相談ください

「いざというときのために生前整理したいが自力では難しい」とお悩みの方は、ぜひ七福神にご相談ください。七福神は、日常的な片付けからゴミ屋敷の整理まで、豊富な実績を持つ片付け専門業者です。
遺品整理士も在籍しておりますので、お客様のご希望を聞きつつ作業を行い、理想的な生前整理を実現します。ご相談は無料、24時間対応の相談窓口をご用意しておりますので、電話・メール・LINEいずれかのアクセス方法をお選びいただき、ぜひ一度現在のお悩みをお聞かせください。
まとめ
身寄りのない人の持ち家は、所有者が亡くなると血縁者に相続権が発生し、故人の配偶者や子供・親・祖父母・兄弟などが相続します。法定相続人がいない場合は、相続財産清算人によって処分されたり、特別縁故者に財産分与されたりしますが、どちらも叶わなかった場合最終的に行き着くのは国庫への帰属です。
ただし、身寄りのない人でも遺言書を作成したり、財産管理等委任契約や後見人制度を活用すれば、自分の希望通りに遺産を贈与したり、特定の相手に寄付したりできます。できるだけ早い段階から生前整理や遺言書作成などを行い、身軽で財産管理しやすい体制を作りましょう。