市営住宅や県営住宅など、公営住宅が近くにある人も多いのではないでしょうか。
これらの住宅を退去する際には原状回復が原則となっています。
そのため、もしゴミ屋敷になっていると、作業が大変になります。
どうしよう!? うち、ゴミ屋敷になっている・・・。
市営住宅の退去手続き、そして、市営住宅がゴミ屋敷になってしまっていた場合の退去は、どうすればよいのでしょうか。
目次
ゴミ屋敷化した市営住宅の退去の流れとは?〜①
ゴミ屋敷如何に関わらず、市営住宅の退去は、賃貸マンションやアパートの場合とは異なります。
その自治体や市営住宅によって違いはありますが、一般的な市営住宅退去の流れについて見ておきましょう。
市や管理協会などに連絡する
市営住宅を出ることになったら、まず、市や管理協会など、その住宅を管理しているところに連絡しましょう。
現地でどんな作業が必要か、また、修繕箇所や修繕の基準を確認し、返却(退去)スケジュールを決めます。
この時、必要な書類などを提出します。
確認のポイントは?
「入居時の状態に戻す」ポイントは、どこにあるでしょうか。
たとえば、浴槽です。
入居時に浴槽はありましたか?
市営住宅では、浴室に浴槽がなく、自分で設置しなくてはならないことがあります。
「ないなら、置いていけばいいんじゃない?」という気もしますが、あくまで「入居時の状態に戻す」ことが基本です。
そのため、市営住宅に浴槽がもともとなかったのであれば、撤去しなくてはなりません。
同様に、給湯器、網戸、エアコンなど、入居後につけたものがあれば、基本的には全て撤去します。
これらの作業にどの程度の費用が必要かを知るためにも、原状回復が必要なポイントをしっかり確認しておきましょう。
また、市営住宅に入居する時に締結した賃貸借契約の書類を見直してみましょう。
たとえば壁の変色や摩耗などは、一般的に、通常消耗の範囲であれば経年劣化に当たるので、修繕義務は問われません。
ただし、故意や不注意による汚損・破損には原状回復の義務を負うことになります。
契約書を見直し、どのような範囲での原状回復を求められるのか確認しておきましょう。
もちろん、ゴミ屋敷状態は論外です。
ゴミは全て撤去・処分しなくてはなりません。
ゴミ屋敷化した市営住宅の退去の流れとは?〜②どんな作業が必要?
では、市営住宅の退去に際してゴミ屋敷如何に関わらず、実際に行うことについて見ていきましょう。
あとから付けた設備を取り外す
市や管理協会に確認した結果、あとから付けた設備を撤去します。
きちんと原状回復や修繕をしたことを証明するため、業者の領主書は必ず保管しておきましょう。
浴槽・風呂釜・給湯器
ガス屋さんに取り外しを依頼しましょう。
これらの施設の取り扱いには、「ガス可とう管接続工事監督者」という資格が必要です。
また、プロパンガスの場合は「液化石油ガス設備士」という国家資格が必要です。
ガスという危険物を取り扱うため、ガス機器設置のスペシャリストに依頼しましょう。
エアコン
電気屋さんに依頼しましょう。
一般家庭のルームエアコンは、特別な資格を持っていなくても取り外すことができます。
しかし、もし取り外しに失敗すると、エアコン本体が故障してしまう可能性があります。
もし、そのエアコンを別の場所で使う予定があるのなら、電気屋さんなど専門業者に依頼する方が良いでしょう。
また、エアコンがすでに故障している場合、フロンの回収が必要となります。
これには「フロンガスの回収技術者」の資格が必要となるので、注意が必要です。
増設した設備
シャワーや給湯器を取り付けるためにガスを増設していませんか?
また、継ぎ足した水道の蛇口、浄水器、水道の分岐部分、湯沸かし器、ガスレンジ、コンセントの増設部分なども全て取り外し、入居時の状態に戻さなくてはなりません。
電気のブレーカーの容量を増やしていたような場合も、元に戻さなくてはなりません。
アンテナ類
地デジやBS、CSのアンテナの取り外しは、購入した販売店に依頼しましょう。
高い場所に設置していることが多いので、販売店に相談し、業者に依頼するのが安全です。
入居後に使っていたものを取り外す
たとえば、壁に差した押しピンや、お正月に貼った神社のお札、フックなど、入居後に付けたものを全て取り外します。
このほか、収納棚や神棚、すだれ、手すり、ウォッシュレット便座、のれん、釘、ポスターやシールなどはありませんか?
これらは全て取り外しましょう。
建具・たたみの張り替え
ふすまや障子の紙は張り替えが必要です。
民間の賃貸住宅の場合、家賃の中に使用料が含まれているため、通常の使用での損耗は家主負担となり、退去時に支払う必要はありません。
しかし、市営住宅の場合は家賃が安く、その中に使用料が含まれていません。
そのため、畳やふすまの張り替えなども入居者が行わなくてはならないのです。
張り替えにはどのような紙を使うか、どのような貼り方をするかが細かく決められています。
たたみの表替えも同様で、どのようなものを使うかが決まっているため、それに従う必要があります。
注意したいのは、建具やたたみの張り替えには時間がかかることです。
時期によっては依頼から1ヶ月ほどかかる場合もあるため、早めに予約しておきましょう。
市営住宅によっては業者が決められていることがあるので、確認しましょう。
掃除
全てのものを運び出したあと、掃除を行います。
部屋の中はもちろん、ガラスやサッシ、カーテンレールなど細かいところまで掃除を行います。
吊り戸棚や天窓、換気扇周りなど、忘れがちなので注意しましょう。
ゴミ屋敷状態になっている場合は、まず最初に掃除から始めた方が良いでしょう。
ゴミ屋敷化した市営住宅の退去の流れとは?〜③報告・検査
期日までにゴミ屋敷を脱し、全ての撤去が終わったら、市や管理協会に連絡し、基準を満たしているかどうか検査を受けます。
立ち入り検査は市や管理協会、または自治体指定の管理者などによって行われます。
このとき、修繕すべき箇所の確認が行われ、指摘された箇所があれば、原状回復しなくてはなりません。
また、掃除や撤去、修繕などが行き届いていないと判断された場合、再検査になってしまうことがあるので注意しましょう。
ゴミ屋敷のためにできた汚れや破損は、経年劣化として認められないことがあります。
もちろん、最初からゴミ屋敷にしないように生活することが大切ですが、ゴミ屋敷になってしまった場合は、特に念入りに掃除をする必要があります。
検査に通れば、入居時に納めた敷金が返金されます。
ただし、この敷金は、家賃の滞納や損害補償がある場合、これに充てられることになります。
最後に部屋の鍵を返し、水道や電気、ガスなどを停止して全ての作業が終了します。
市営住宅をゴミ屋敷にしてしまったら・・・
繰り返しになりますが、市営住宅を退去する場合、さまざまな手続きや作業が必要となり、非常に時間がかかります。
どの作業も、ゴミ屋敷のままでは行うことはできません。
もし、市営住宅をゴミ屋敷にしてしまったら、どうすればよいのでしょうか。
自分で片付ける場合
ゴミ屋敷状態になっている市営住宅を自分で片付ける場合、コツコツと片付けていくしかありません。
まずはゴミを取り除かなければ、どこを修繕すればいいのかもわからないからです。
ゴミ屋敷にありがちなのが、バスタブにまでモノが詰め込まれていたり、便座の上にまでモノが積み重ねてあるような状態です。
このような状態ではバスタブや便座を撤去することもできないため、退去時期をかなり先に想定して、まずはゴミ屋敷状態から脱しなくてはなりません。
ゴミ屋敷の片付け業者に依頼する場合
片付けと掃除のみ依頼する
ゴミ屋敷の片付けがどうしても自力では難しい場合、業者に依頼する方法もあります。
プロの片付け業者に依頼して、ゴミ屋敷を片付け、清掃してもらいましょう。
ゴミ屋敷のままでは、立ち入り検査にも入ってもらえません。
とにかくまず、ゴミ屋敷状態から脱することが最優先です。
手続きまで全て依頼する
片付け業者によっては、市営住宅の退去プランがあるところがあります。
このような業者の場合、ゴミ屋敷の片付け・掃除はもちろん、「代理返還」として、市営住宅の返却・退去手続きを書類提出や鍵の返還まで全て行ってくれます。
撤去するものが多く、さまざまな業者に依頼しなくてはならないため、市営住宅の返却には時間がかかります。
しかし、業者に依頼すれば、これらを全て一度に片付けてもらうことができます。
退去にあまり時間をかけられない人や、複雑な撤去基準に対応しきれないという人は、業者の利用を検討してみるとよいでしょう。
まとめ
市営住宅を退去する場合、民間の賃貸物件の退去とは違う手続きが必要です。
退去時の原状回復は必須で、掃除だけでなく、あとから設置したものは全て取り外さなくてはなりません。
立ち入り検査で指摘された箇所は、退去日までに必ず全てを修繕しなくてはなりません。
これらの作業を行うためには、まずはゴミ屋敷を片付ける必要があります。
もしゴミ屋敷状態になっているなら、早めに準備を始めましょう。
また、業者によっては全てを代理で行ってくれるところがあります。
ゴミ屋敷や手続きなど、自力での退去が難しい場合は相談してみましょう。