豊田市では豊田市不良な生活環境を解消するための条例と呼ばれる、いわゆるゴミ屋敷に対する条例があります。
豊田市だけではなく、全国的にゴミ屋敷が大きな社会問題となりつつある中で、各自治体はそれぞれゴミ屋敷対策として条例を制定し、地域社会の健全化に取り組んでいますが、それぞれ地域特性等を踏まえ、独自色を出しています。
そこで豊田市の「豊田市不良な生活環境を解消するための条例」はどのような特徴を持つのか、様々な点からみてみましょう。
目次
豊田市不良な生活環境を解消するための条例とは?
愛知県豊田市といえば世界的な自動車メーカーの企業城下町として発展した街です。
市内の多くは山間部ですが、平野部には工場も多く、自動車メーカーの発展・成長と共に市も成長しました。
一方で、高齢化率は上昇しています。
2010年には16.6%だった高齢化率が、2020年には24.0%に、豊田市の予測では2050年には34.2%、2060年には35.2%となることが予測されています。
そんな中、2015年、ゴミ屋敷による火災が発生しました。
これを受け、2015年より豊田市不良な生活環境を解消するための条例が施行されることとなりました。
条例の中身は他のゴミ屋敷条例と似ている
愛知県豊田市の豊田市不良な生活環境を解消するための条例、いわゆるゴミ屋敷条例は、他の自治体が制定しているゴミ屋敷条例と似ています。
調査や立入宣言、氏名の公表や過料の徴収、撤去費用の請求に緊急安全措置が可能な点は、多くの自治体と共通している部分です。
また、豊田市不良な生活環境を解消するための条例を適正に運用するために審議会を設置し、条例に基づく行政執行が適切なものであるかを判断します。
豊田市の条例には支援策も含まれている
ゴミ屋敷問題の端緒・事由は様々ですが、生活習慣や経済的な問題が潜んでいるケースが珍しくありません。
撤去したいものの経済的な余裕がないので撤去できないケースもあれば、ゴミをため込んでしまいがちな生活習慣が形成されてしまっているケースもあります。
そこで豊田市では行政と住民組織の双方からの支援を盛り込んでいます。
ゴミ屋敷健全化だけではなく、再発防止という観点も含まれている条例であることが伺えます。
豊田市不良な生活環境を解消するための条例が制定された背景
愛知県豊田市にて、いわゆるゴミ屋敷条例が制定された背景には、いくつかの理由があると考えられています。
豊田市のゴミ屋敷にて火災が発生した
豊田市のいわゆるゴミ屋敷条例が施行されたのは2016年(平成28年)4月1日からですが、その前年・2015年8月に豊田市のゴミ屋敷にて火災が発生しました。
ゴミ屋敷からの出火で、ゴミ屋敷だけではなく、両隣の住宅まで被害を受けてしまいました。
実はこのゴミ屋敷は過去に5回ほどボヤ騒ぎを起こしており、メディアから扱われたこともあるなど、いわくつきのゴミ屋敷でした。
しかし当時は豊田市としても注意以上のことができませんでした。
結果、ゴミ屋敷の両隣が「被害」を受けることとなってしまいました。
このような事態を受け、豊田市としても「本腰」を入れたのではと考えられています。
全国各地でゴミ屋敷条例の制定が動き出していた
豊田市だけではなく、他の地域でもゴミ屋敷問題対策として、条例化が進んでいました。
ゴミ屋敷問題は先にお伝えしたように、火災となって近隣住民に直接的被害を与えるケースもあります。
行政側としても看過できない状況となっていたことで、多くの自治体が条例化を急ぎました。
豊田市としても被害が出た以上、何も動かなければ住民からの反発を招きかねませんでした。
そこで、条例の制定化に向けて迅速に動いたと考えられます。
豊田市不良な生活環境を解消するための条例の流れ
愛知県豊田市が、いわゆるゴミ屋敷条例に基いてゴミ屋敷を撤去する場合の流れについてまとめました。
豊田市のゴミ屋敷の定義
豊田市は、いわゆるゴミ屋敷条例を制定しました。
厳密にはゴミ屋敷を含めた「不良な生活環境」に対しての条例です。
ゴミ屋敷だけではなく、以下の不良な状態が条例の対象となります。
- 動物の多数飼育
- 樹木・雑草の繁茂による害虫や悪臭
- 火災リスク
- 通行上の危険性
- 防犯上の支障
相談を受けての現場確認と豊田市による対策会議、地域連携
豊田市住人からゴミ屋敷の相談を受けた際、まずは豊田市が現場確認を行います。
この段階では立入調査ではなく、まずは状況を外から見て現地確認を行います。
それを受けて条例の施行の必要性があると判断された場合、豊田市不良な生活環境を解消するための条例の要綱で規定されている対策会議を設置し、対策を講じます。
また、地域で連携できるかを模索します。
豊田市による調査・立入権限
条例により、豊田市ではゴミ屋敷住居者の同意を得ることなく、立入調査が可能になりました。
措置だけではなく、支援に関しても行政として必要な情報を調査しなければなりません。
ゴミ屋敷住居者の同意を得ることなく、行政主導で実行できる環境となったことで、まずは立入権限を活用しての調査を行います。
豊田市としての具体的な行動
調査を行った後、必要な措置を行います。
具体的には以下の3種類に分類できます。
- 支援
- 緊急安全措置
- 指導・勧告
条例に基く支援
豊田市や関係機関、地域福祉等により社会的支援を行います。
具体的にはゴミの処理や見守り、家庭訪問による生活相談、さらには環境改善の説得です。
こちらは軽度のゴミ屋敷に対するもの、あるいはゴミ屋敷住人が改善に向けて前向きな場合の措置として考えられます。
条例に基づく緊急安全措置
ゴミ屋敷の火災の可能性が高い場合、あるいは堆積物が倒壊寸前の場合には、条例に基づいて緊急安全措置を行います。
こちらはゴミ屋敷住居人の意思の如何ではなく、状況に応じた措置となります。
条例に基づく指導・勧告
指導・勧告の場合、問題解決までは長期化が予想されます。
なぜなら、ゴミ屋敷住居人に改善の意思が見られないケースが多いからです。
そこで審議会を経て命令、公表や過料徴収、さらには行政代執行へと話を進めることができます。
ちなみに、行政代執行の費用は豊田市からゴミ屋敷住居人に請求できます。
豊田市として支援・再発防止
豊田市不良な生活環境を解消するための条例では、具体的な再発防止策については規定されていません。
しかし、ゴミ屋敷を撤去するだけで問題解決とするのではなく、その後も定期的なケアを行うなどして再発防止を目指します。
ゴミ屋敷問題は、再発率が高いです。
他の地域では、一度撤去したものの、結局は元のゴミ屋敷に戻ってしまったケースが見受けられます。
再発することのないよう、行政と住民が連携を組んで、様々な形で再発防止を心掛けます。
豊田市のゴミ屋敷条例は支援策もある
豊田市不良な生活環境を解消するための条例、いわゆるゴミ屋敷条例は、ゴミ屋敷の撤去だけではなく、支援策まで盛り込まれているものです。
ゴミ屋敷で火災が起きたこともある豊田市なだけに、条例は様々なことを想定したであろうことが伺えるものとなっています。
豊田市としても本気でゴミ屋敷の改善を考えていると共に、問題解決後のことまで考えられていますが、大切なのは住民の理解です。
条例への理解はもちろんですが、ゴミ屋敷は自分だけの問題ではなく、周辺環境、ひいては自治体にも迷惑をかけるものだと自覚することこそ、ゴミ問題防止・改善には重要です。