トイレ掃除をする時に気になるのが、便器の中にこびり付いた尿石汚れ。
トイレ用洗剤を使ってブラシでごしごしこすっても、なかなか落ちない尿石に悩んでいませんか?
尿石汚れは見た目が汚いだけでなく、アンモニア臭を含む悪臭の原因となる、非常に厄介な存在です。
そんな頑固な尿石には、実は正しい対処法がいくつかあります。
この記事では、トイレの尿石が落ちずに困っている方に向けて、尿石の3つの落とし方や、尿石汚れの予防方法を徹底解説します。
目次
便器の尿石汚れはなぜできる?
尿石の落とし方や予防方法を知る前に、まずは尿石汚れができる原因について知っておきましょう。
尿石とは、尿が時間をかけて固まったものです。
尿にはリン酸カルシウムという成分が含まれており、これが尿素やたんぱく質と結びつくと石化します。
元々は水分の尿も、この化学変異によって、石のように固くなってしまうのです。
排尿後は便器内に水が流れますが、すべての汚れを流しきれるわけではありません。
便器の中やふちの裏側には、排尿時に飛び散った尿が付着します。
こういった残された尿が放置されることで、雑菌がどんどん繁殖し、時間をかけて頑固な尿石となるのです。
そのため、トイレ掃除を怠れば怠るほど、尿石汚れを落とすことが難しくなります。
いくらこすっても落ちない便座裏の黄ばみ汚れもこの尿石によるものです。
尿石は見た目も汚い上に、トイレの臭いの原因にもなる非常に厄介な存在なのです。
トイレの尿石を落とす時の下準備
尿石汚れを掃除する前に、まずは下準備を整えておきましょう。
トイレの便器内には水が張っていますが、この部分にこびり付いた尿石を落とす時は必ず、便座の中の水を抜きます。
便器の水抜きをする方法は3つ。
- 灯油用のポンプを使う
- 小さめの容器を使う
- スポンジに水分を吸収させてバケツに移す
便器に水が残ったまま洗剤をかけると、洗浄成分が尿石へ十分に染み込まず、洗浄効果が半減してしまいます。
水を抜くのと抜かないのでは、掃除効率だけでなく汚れの落ちやすさも大きく変わるので、面倒くさがらずにやっておきましょう。
効率良く水抜きできる方法は、便器の形状によって異なりますので、ご自宅のトイレに合あわせて都合の良い方法で行ってください。
トイレの水を抜き終えたら、尿石を落とす作業に移ります。
トイレにこびりついた尿石の具体的な落とし方3選
頑固な尿石汚れを落とすのに効果的な掃除方法は全部で3つあります。
尿石は頑固になればなるほど落としにくくなるため、汚れの度合いに合わせて掃除方法を変えると効率的です。
今回は、尿石汚れのレベルを3つに分けて、それぞれの具体的な落とし方を紹介します。
【レベル1】軽度な尿石の落とし方
トイレの尿石がまだつき始めて日が浅い段階であれば、スポンジやトイレブラシを使った簡単な掃除で対処できます。
それほど強力な洗剤を使わなくても尿石は落とせるため、クエン酸を使いましょう。
クエン酸は環境にも優しい洗浄剤として人気があり、トイレ洗剤独特の香りや刺激臭がありません。
尿石を落とす専用の洗剤は刺激臭の強いものが多いため、重曹やクエン酸で落とせる初期の段階で解決できれば、小さなお子様やご高齢の方がいらっしゃるご家庭でも安心です。
レベル1の尿石を落とすのに用意するもの
- 重曹(小さじ2杯)
- クエン酸(小さじ1/2杯)
- スプレーボトル
- 水100㎖
- トイレブラシ(ブラシが硬めのものが理想的)
スプレーボトルに水100㎖とクエン酸小さじ1/2杯を入れて、クエン酸水を作りましょう。
重曹はそのまま、まぶして使います。
クエン酸と重曹が混ざり合うと、人体には無害なものの、二酸化炭素ガスが発生するので、十分換気しましょう。
掃除の手順
- トイレの便器にこびり付いた尿石に、クエン酸水をまんべんなくスプレーする
- クエン酸スプレーをかけた尿石の上から、重曹をまぶす
- 30分ほど放置する
- トイレの水を流して、尿石を洗い流す
この手順でトイレ掃除を行えば、軽い尿石汚れはほぼ落ちるはずです。
それでもまだ若干残ってしまうような場合は、尿石にクエン酸スプレーして重曹をまぶした箇所を覆うようにトイレットペーパー乗せて、湿布状にし、長めに放置してください。
クエン酸水の濃度を上げたり重曹の量を増やしたりすると、固まった尿石をじっくりと分解してくれ、取り除きやすくなります。
【レベル2】石化した頑固な尿石・黄ばみの落とし方
こびり付いた尿石や黄ばみは、クエン酸水の濃度を上げ続けても、効果は期待できません。
また、安全性が高いクエン酸とはいえ、濃度を上げすぎると肌荒れの恐れがあります。
レベル1の方法で落ちない場合は、更に強い洗浄効果のある洗剤を使いましょう。
尿石とは尿内のミネラル分が結晶化した“アルカリ性”の汚れのため、酸性度の高い洗剤を使用すると効果的です。
レベル2の尿石汚れを落とすのに用意するもの
- 酸性度の高い洗剤(サンポールなど)
- トイレ掃除用のブラシ(ブラシが硬いものが良い)
- ゴム手袋
洗剤は、掃除と除菌を一度に行える強力なトイレ洗剤「サンポール」がおすすめです。
フチ裏まで洗剤が届く形状のノズルで、便器内をすみずみまでキレイにします。
もし大容量のトイレ洗剤を使う時は、スプレーボトルに移し替えると使いやすいです。
掃除の手順
- 尿石に洗剤を直接ふりかける
- 洗剤に記載された、規定の時間放置する(一般的には2〜3分程度)
- トイレ用ブラシで尿石をこすり落とす
- 水を流して、洗剤と尿石を洗い流す
酸性洗剤は頑固な尿石汚れを落とす強力な洗浄力がある分、刺激も強く、洗剤が付着すると肌が荒れる可能性があります。
掃除を行う際は必ずゴム手袋を着用し、皮膚だけでなく目や鼻などの粘膜に触れないよう、十分注意が必要です。
この手順で尿石が落ちない場合は、1対1で薄めた水と洗剤をトイレットペーパーの上からふりかけて、湿布のように貼りましょう。
5分程度放置してから、再びトイレ用ブラシで尿石をこすり落とすと、固まった尿石や黄ばみもするりと落ちるはずです。
【レベル3】重度にこびり付いた尿石の落とし方
便器に付着した尿は、放置する時間が長いほど、石のように固い頑固な汚れになります。
つまり、トイレ掃除を長い間していない場合は、強力な酸性洗剤を使っても落ちません。
このような超頑固な尿石汚れは、拭き取るのではなく“削り落とす”しかありません。
レベル3の尿石を落とすのに用意するもの
- 手袋
- 耐水性のサンドペーパー
- 尿石をこすり落とす専用のたわしやスポンジ
- 研磨力のある尿石を落とす専用の軽石
超頑固な尿石を落とすには、耐水性のサンドペーパーや、尿石を落とす専用商品が役立ちます。
おすすめは、ホームセンターやインターネットでも購入できるトイレ専用のスティックタイプの削り棒で、尿石を軽くこするだけで落とせるため使い勝手が良いです。
重度の尿石を落とす手順
- サンドペーパーなどで手を痛めないように、手袋をする
- サンドペーパーなどの道具を使って、尿石をけずり落としていく
- 水を流して尿石を洗い流す
尿石を削り落とす際は、便器はこすらずピンポイントに尿石だけを狙うことが重要です。
誤って便器をこすってしまうと、コーティングがはがれ、かえって尿石がつきやすくなってしまいます。
超頑固な尿石汚れもすべて削り落とすのではなく、一番固い表面を削り落とせたら、レベル2、レベル1と段階を落とした掃除方法を試してみましょう。
尿石を落とす際の注意点
尿石を落とす際には以下のポイントに注意しましょう。
必ず換気を行う
洗剤で尿石を落とす際は、必ず十分に換気して行いましょう。
換気が不十分な状態で掃除を始めると、気分が悪くなったりする恐れがあります。
塩素系と酸性の洗剤は同時に使わない
酸性の洗剤と塩素系の洗剤は、混ぜると有毒なガスを発生します。
よりきれいに尿石を落としたいからと、複数の洗剤を混ぜることは大変危険です。
安全に清掃を進めるためにも、洗剤は混ぜずに単体で使用しましょう。
便器を傷つけない
道具を使って尿石を削り落とす時は、便器自体を傷つけないように、慎重に作業を行うことが重要です。
便器に傷がつくと、傷から雑菌が入り込んで繁殖し、かえって汚れやすくなるのです。
尿石をすべて削り落とすのではなく、尿石の表面だけに傷をつける程度にし、そこに酸性洗剤をかけて中まで浸透させ、トイレ用のブラシでこすり落とすのも良いでしょう。
トイレの尿石汚れを予防する方法
トイレにこびり付いた尿石を取り除いたら、二度と同じ状態にならないようにすることが大切です。
尿石がこびり付いたトイレは見た目が悪いだけでなく、雑菌の温床となり不衛生です。
次の5つを意識するだけでも、尿石を防ぎ、美観と衛生環境が保たれやすくなります。
男性も座って用を足す
尿石汚れの原因となる尿はねを減らすには、男性も座って用を足すことが重要です。
立った状態で用を足すと、便器からの距離ができ、便器だけでなく床や壁にも尿が飛び散ります。
壁に付けば、トイレの嫌な臭いの原因になりかねませんし、何よりも不衛生です。
トイレ使用後は毎回水を流す
トイレの節水を目的として、トイレを毎回流さない方もいるかもしれません。
流す回数が減れば、もちろん水道代の節約にはなるメリットはあるかもしれませんが、尿石が付着しやすいという大きなデメリットもあります。
ここまでお話しした通り、時間をかけて固まった尿石ほど頑固なものはありません。
用を足したまま流さずに放置すれば、尿石が付着しやすいだけでなく、悪臭の原因にもなります。
トイレのタンクに水を入れるのもNG
節水目的で、トイレのタンクに水の入ったペットボトルなどを入れて、流す際の水量を調節しているご家庭もあるでしょう。
しかし尿石を防ぐには、トイレ使用後に十分な量の水で便器を洗浄することが大切です。
流す水が少ないと便器の中に尿が残り、尿の中のミネラル分が便器に付着して尿石の原因になります。
節水は大切ですが、尿石が溜まっているということは、不衛生な状態ということです。
健康を守るためにも、トイレを使用した後は、毎回十分な水量で洗い流しましょう。
また、節水は「大」「小」のボタンやレバーの使い分けで心がけましょう。
日常的なトイレ掃除
トイレは家の中で最も不衛生になりやすい箇所であるため、日常的に清掃をする習慣を持つことが大切です。
- こまめにお掃除シートやトイレットペーパーで拭く
- 毎日トイレ用のブラシで、便器を洗浄する
このように、用を足した後“ついで掃除”を習慣化すれば、尿石を防ぐことができます。
また、尿は思っているよりも広範囲に飛び散っていることが多々ありますので、余裕がある時は床や壁の拭き掃除も行いましょう。
仕上げにコーティング剤を吹きかける
トイレ掃除の仕上げに、撥水効果のある水まわり用のコーティング剤を吹きかけるのもおすすめです。
コーティング剤が尿をはじいてくれるので、便器に尿が残りにくくなります。
ただし、コーティング剤は水分を拭き取ってから使用するなど、商品によって使用方法が異なりますので、使い方をよく見ることが大切です。
便器を新しいものに交換する
便器そのものが古い場合、コーティング加工がはがれて汚れが付着しやすくなっている可能性があります。
色々な対策を試してみても尿石汚れが改善されない場合は、新しい便器への買い替えを検討しても良いかもしれません。
自力で落とせない場合は掃除のプロへ相談を
- ここで紹介した掃除方法でも歯が立たない
- 自力では難しい
などの場合もあるでしょう。
そんなときはプロの力を借りることも検討しましょう。
ハウスクリーニング業者など掃除を専門的に行う会社では、経験と専用洗剤を駆使して、頑固な尿石を根こそぎ落とします。
業者を選ぶ際は、サイトの実績や口コミを参考にして、信頼度が高く安心して依頼できるところを見極めてください。
また、業者によって作業料金が異なりますので、複数社から見積もりをとり、比較することをおすすめします。
まとめ
トイレの尿石を落とすには、こびり付きレベルによって掃除方法や手順が異なります。
- クエン酸と重曹を使う
- 酸性の洗剤を使う
- 尿石自体をこすり落とす
最初は環境負荷が低く、安全性も高いクエン酸と重曹を使った清掃から挑戦し、尿石の取れ具合に合わせて強度を上げてみると良いでしょう。
最終的に自分自身で尿石を落とす作業を難しいと感じる場合は、専門のハウスクリーニング業者へ依頼することもひとつの方法です。