家にゴミが溢れ周囲に悪臭や害虫などの被害をもたらすのがゴミ屋敷問題です。
外にまで堆積したゴミや敷地に生い茂った木や雑草などは放火の危険性もありすぐに対処が必要です。
しかし、現在のところこれらのゴミ屋敷問題を規制する法律はありません。
何とか問題解決の糸口を見つけようと、独自にゴミ屋敷を規制するための条例を制定する自治体も増えてきました。
埼玉県草加市のゴミ屋敷に対する条例(通称:草加市家屋及び土地の適正管理に関する条例)の内容について詳しく解説していきます。
目次
埼玉県草加市の定めるゴミ屋敷条例とは
草加市では2018年4月に「草加市家屋及び土地の適正管理に関する条例」としてゴミ屋敷に関するルールが施行されました。
条例の17条には市民の責務として、住んでいる建物を不良な状態にしてはならないと定められています。
この条例に違反した際の罰則や対処の進め方を以下で解説します。
埼玉県草加市のゴミ屋敷条例 ステップ①所有者・現地調査
市民からゴミ屋敷に関する苦情や相談を受けると、まず現地調査が行われます。
市の職員が実際にゴミ屋敷を訪問し、以下の事を調査します。
- ゴミの量
- ゴミの内容
- 周囲に及ぼしている被害
しかし、ゴミ屋敷世帯の中には近所や社会、親族から孤立した生活を送っている家庭も多いです。
他者からの接触を快く思わないため、現地調査の際にゴミ屋敷所有者から調査を拒否される場合も少なくありません。
調査拒否については、草加市は条例で「調査対象者は、正当な理由がない限り、立入調査を拒んではならない。」と定めています。
そのため、確実に調査ができるようにしています。
埼玉県草加市のゴミ屋敷条例 ステップ②指導・助言
調査を行った結果、衛生や防災の観点において改善が必要と認定されると、草加市より指導や助言が行われます。
指導の際、「片付けてください」とただ伝えるだけではありません。
生活上困っていることやゴミを溜め込んでしまう原因などを鑑みます。
そして、福祉施設の紹介や介護サービスの活用を含めた指導が行われます。
埼玉県草加市のゴミ屋敷条例 ステップ③勧告
指導や助言を複数回受けたにもかかわらず状況が改善されない場合、以下のような勧告が出されます。
- ゴミの撤去
- 敷地の外にまで生い茂った雑草や木などの除去
埼玉県草加市のゴミ屋敷条例 ステップ④命令
勧告に従わない場合は、期限付きで命令が発令されます。
勧告を受けた者は期限内にゴミの撤去などを行い状況を改善しなければなりません。
埼玉県草加市のゴミ屋敷条例 ステップ⑤名簿の公表
命令を受けても状況が改善されない場合には、住所や氏名、命令内容が公表される場合があります。
埼玉県草加市のゴミ屋敷条例 ステップ⑥行政代執行
行政代執行とは、行政がゴミ屋敷所有者の代わりに強制的にゴミを撤去することを言います。
つまり、草加市が条例の最終措置としてゴミ屋敷のゴミや雑草・木など周囲に悪影響を及ぼしているものを一掃するというものです。
強制的に廃棄することによりゴミは一気に片付きます。
しかし、再発する可能性が高いのも事実です。
ゴミ屋敷となる要因は人それぞれですが、ゴミを溜め込んでしまう習慣はなかなか変わらないからです。
福祉や介護などの支援が必要な場合には、紹介を行いながら根本的な問題の解決を模索していく必要があります。
ゴミ屋敷となる原因
ゴミ屋敷はある日突然、ゴミ屋敷が作られるわけではありません。
日々の積み重ねによりゴミが蓄積し、ゴミ屋敷が作られていきます。
複雑化する現代においてその原因は多様ですが、代表的なものを以下にまとめました。
ゴミ屋敷となる原因①ゴミ収集癖
行政代執行を行った全国のゴミ屋敷の中には、数ヶ月で元の状態に戻ってしまった、というケースがあります。
その原因の一つがゴミ収集癖です。
通常、壊れた家電や使用済みの箱、缶などの不用品はゴミとして認識されます。
しかし、収集をしている側から見れば財産であり、価値のあるものとなります。
この考え方やクセ、常態化している行動が変わらない限り強制的に片付けたとしても、すぐに戻ってしまう可能性があるのです。
ゴミ屋敷となる原因②仕事が多忙
近年、若年層の一人暮らしや母子家庭のゴミ屋敷化が増えています。
以下の理由からゴミ屋敷となるケースも少なくありません。
- 仕事が多忙すぎて片付ける余裕がない
- 朝起きられずゴミ出しに行けない
- 仕事のストレスが原因で片付ける気力がない
ゴミ屋敷となる原因③孤独感
身近な人やペットの死などの精神的ショックから孤独感を物で埋めるようになった結果、ゴミ屋敷となるケースもあります。
家族やご近所さんなど人との関わりすらも断絶してしまっていることもあります。
心の寂しさから不要なものを引き寄せてしまう傾向があります。
ゴミ屋敷となる原因④認知機能・体力の衰え
「独居老人」と呼ばれる一人暮らしの高齢者が増えています。
そういった高齢者は、認知や体力の衰えなどから自力でゴミを出すことが困難です。
特に認知症になるとゴミの分別が難しくなり、ゴミが出せずに家に溜まります。
また、体力が衰えるとゴミ出しステーションまでゴミを持って運ぶという行為自体が難しくなり、ゴミ屋敷となってしまうケースもあります。
まとめ
埼玉県草加市のゴミ屋敷に対する条例について詳しく解説しました。
ゴミ屋敷はさまざまな身体的、精神的な理由が原因となります。
ゴミ屋敷条例により、ゴミの撤去を進めていくことは大事です。
さらに、根本原因に光をあて、解決に向けて少しずつ進めていく必要があるでしょう。
草加市内のゴミ屋敷で困ったことがあるなら、まずは草加市市役所に相談してみましょう。
解決への糸口が見つかるかもしれません。