「孤独死が起こると、部屋に強烈な死臭がしみ付くって本当……?」
「お金をかけたくないんだけれど、死臭がこびり付いた家は自力で脱臭できる?」
などと心配していませんか?
孤独死の現場で問題となるのが、遺体から漏れ出る血液や死臭です。死臭は生ゴミの不快臭とは比べ物にならないほど強烈で、鼻の奥を突き刺すような衝撃からトラウマになってしまう人さえいます……。
今回は死臭の特徴や放置した際の危険性、そして死臭を根本的に消し去るための特殊清掃について解説します。孤独死現場の死臭への対処に頭を悩ませている方は、この記事をお役立てください。
この記事で分かること
- 死臭の特徴と有害性
- 特殊清掃が必要な理由
- 特殊清掃業者による作業の流れ
目次
死臭や腐敗臭とはどんな臭い?
死臭や腐敗臭は、生物の死後に時間経過とともに発生する独特の悪臭です。クサヤや腐ったチーズをより強烈にした生臭さと、アンモニアの刺激臭が混ざり合ったような複雑な臭いがします。ここでは、遺体から死臭が出る原因などについて解説します。
死臭や腐敗臭が発生する原因
生物が死ぬと、その遺体をエサとして細菌が増殖していきます。分解された遺体はどんどん腐敗が進んでいき、その過程で発生するのが死臭や腐敗臭です。
生きている間は免疫システムの働きで細菌の増殖が抑制されていますが、死後は免疫機能が失われるため細菌が活発化します。遺体が分解されると、硫化水素やアンモニアなどのガスが発生します。そのガスが遺体の皮膚を突き破ってあふれ出すと、空気中に拡散して強い悪臭をもたらします。
悪臭の強さは気温や死亡後経過時間、遺体の状態などで変化します。高温多湿な夏や浴槽などでは細菌の繁殖が活発になるため、悪臭が早く発生します。一方で、冬は比較的腐敗がゆっくり進みます。死臭の発生まで夏は2~3日程度、冬は5~7日程度かかることが多いです。
生きているのに死臭を感じる
俗説で「死ぬ前から死臭を放つ」という話を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、実際には生きているうちに死臭を発することはありません。死臭とは、死後の体が細菌に分解されると生じる臭いです。
もし「生前から独特の臭いを感じた」という場合は、持病の臭いや生活習慣による体臭・口臭などの可能性が高いです。例えば、肝臓病では肝臓でアンモニアを分解しきれずアンモニア臭を発する場合があります。また、腎臓病の人は腎機能の低下によって、尿からツンとした臭いがすることがあります。
お風呂に入っていない、歯を磨いていないなど生活習慣が原因となっていることもあるため、不快な臭いがする場合は病気や生活習慣を気にかけてみましょう。
死臭は魚や肉が腐った臭い?
「死臭は魚や肉が腐った臭いに似ている」というイメージを持つ人は多く、これは間違いではありません。魚や肉も人間の遺体もタンパクが豊富であり、そのタンパク質が細菌に分解されて腐敗臭が発せられるためです。
しかし、死臭は食品の腐敗臭よりもはるかに強烈で、複合的な臭いと言えます。切り身の肉や魚とは違い、人間の遺体には脂肪分や内臓なども含まれているからです。また、サイズも遺体のほうが何百倍も大きいため、腐敗ガスの量も比べ物になりません。
スーパーで買った肉や魚はせいぜい数百グラム程度ですが、遺体は数十キログラムという巨大な肉塊です。遺体がどれほど強烈な臭いを発するか、想像に難しくありません。
死臭を嗅いだときの後遺症
死臭を嗅ぐと、精神的なストレスから後遺症になる可能性があります。死臭の強烈さは一度嗅ぐと鼻の奥に数日間残るほどで、嗅いだ人の心に深いトラウマを残すことがあるので注意しましょう。トラウマ体験から心的外傷後ストレス障害(PTSD)になった場合は、精神科や心療内科での治療が必要です。
一度死臭を嗅いだだけでは、身体的な健康被害は生じづらいと考えられます。しかし、隣家から発せられる死臭に長期間暴露された場合などは、嗅覚異常のようなトラブルが起こる可能性があります。また、ストレスによる抑うつ症状や吐き気が生じる場合もあり、死臭の被害は軽視できません。
死臭や腐敗臭をそのままにしておくのは危険
死臭や不快臭への対処を怠っていると、さまざまな実害が生じます。ここでは、死臭を放置した際の4つのリスクについて解説します。
近隣住民とトラブルになる
死臭を放置すると、近隣住民からクレームが入る可能性が非常に高いです。死臭は非常に強烈で周囲に広がりやすく、近所に多大な迷惑がかかります。
近隣住民が死臭で精神的なストレスを感じると、不眠や体調不良などの健康被害を訴えてくる場合があります。その近隣住民が行政や弁護士に相談した場合、民事訴訟などに発展する可能性も否定できません。
悪臭を取り締まる「悪臭防止法」は企業を対象としたものであるため、個人宅が悪臭を放っても悪臭防止法で処罰されることはありません。しかし、地域の条例による対応や民事訴訟による損害賠償請求などの可能性はあります。モラル面での配慮はもちろん、法的なリスクからも死臭を放置するのは危険です。
柱や床などが腐ってしまう
死臭を放置すると建物自体にも深刻なダメージとなり、柱や床などが腐食する危険があります。腐った遺体からは死臭だけでなく、血液や体液も漏れだしています。その腐敗した血液や体液が家の柱や床に染み込んだ結果、木材にまで腐敗が及ぶことになるのです。
死臭が長時間発生している環境では、建物の構造を支える柱や床が腐食して強度が低下している可能性があります。建物の寿命が短くなったり、物件の価値が下がったりするおそれがあるため注意が必要です。
死臭を放置している家は、死臭の発生源である腐敗物質をも放置している状態と言えます。対処を怠っているうちに柱や床がどんどん腐ってしまうため、根本的な対策が不可欠です。
害虫が発生する
死臭は、さまざまな害虫を呼び寄せる原因となります。遺体から発せられる腐敗臭に引き寄せられたハエやゴキブリなどが、遺体をエサとして卵を産み付けて繁殖し始めるのです。
これらの害虫は単に不快なだけでなく、衛生面でも有害です。ハエやゴキブリは室内を歩き回って、体に付着した病原菌や汚染物質を拡散させていきます。食中毒やアレルギー疾患などの病気をもたらすことにもなるため、放置できません。
また、家の中から出た害虫が、隣戸へ入り込む場合があります。近隣住民に害虫被害をもたらせば、近所トラブルは避けられません。
壁や床の奥に臭いが染み込む
死臭をいつまでも放置していると、壁や床の奥に臭いが染み込んで除去しづらくなります。腐敗した遺体から発生する腐敗ガスや体液などが、建物の小さな隙間や内部に浸透してしまうからです。
壁紙や床材の裏側、畳の縁などにしつこい臭いが染み込むと、通常の掃除や換気だけでは除去できません。完な脱臭のためには壁紙や床材を剥がしたり、畳を交換したりといった大規模なリフォームが必要です。
時間が経つにつれて、死臭はより深く広範囲に及ぶ傾向があります。染み込む前に対処しないと、脱臭のための費用や時間が多くかかってしまいます。
死臭を消すなら特殊清掃業者に頼るべき
一般的な清掃では、死臭を完全に取り除くのは困難です。とくに死後数日が経過して死臭が壁や床の奥深くに染み込んだ場合には、専門的知識と技術を持つ特殊清掃業者への依頼が不可欠です。
特殊清掃業者は死臭の原因や性質を理解しており、適切な消臭剤や機器で徹底的に除去します。一方、自力で掃除をするなら市販の消臭剤を使うことになりますが、専門業者の消臭剤ほど強力なものは手に入りません。
また、作業の手早さも業者のメリットと言えます。時間が経つほど死臭は建物に染み込むため、スピーディな対処が重要です。
死臭の除去には感染症対策も不可欠で、防護服や強力な消毒剤の使用ノウハウがある専門業者でなければ安全な作業は困難と言えます。死臭を安全・確実に消し去るためにも、責任を持って作業してくれる専門業者に依頼しましょう。
業者による清掃の流れ
特殊清掃業者は、次の5つのステップで死臭や死体の痕跡を除去します。
- 消毒、消臭
- 家具やゴミの運び出し
- 体液などの除去
- 拭き取り・臭いがしみ込んだ壁と床をはがす
- 仕上げ
それぞれの作業工程や使用機材について解説します。
消毒、消臭
最初の工程は、本格的な清掃作業に入る前の消毒・消臭処理です。部屋のどこで亡くなったか、どこが汚染されているのかを特定して次亜塩素酸などの消毒液で汚染範囲を消毒します。スタッフは遺体からの感染を防ぐため、防護服やゴーグル、防護マスクなどを着用して遺体や血液に直接接触しないようにしています。
消臭作業も最初の工程で実施しますが、血液などが飛び散っている場合はこの段階で完全に無臭化するのは困難です。死後数日が経過しているときは、後半の工程でオゾン脱臭などを行う必要があります。
また、室内にウジやハエなどの害虫が湧いている場合には、殺虫剤を散布して殺虫処理もします。消毒剤や殺虫剤などは使い方を誤ると人体への悪影響となるため、スタッフは安全に配慮しながら作業を行います。
家具やゴミの運び出し
次の工程は、死臭や血液などの付着した家具やゴミの搬出作業です。死臭の染み込んだ家具やゴミを家の外に出さない限り、完全な清掃や脱臭はできません。汚染された家具や物品を可能な限り運び出して、この後の工程で床や壁を清掃しやすくなるよう整えていきます。
なお、運び出した不用品を特殊清掃業者が勝手に捨てることはありません。遺族や相続人に確認を取ったうえで、不用な物品は法令に則って処分します。大切な遺品や形見の品、貴重品などをも遺族にお渡しして保管していただきます。
体液などの除去
消毒や家具の運び出しを済ませた後は、体液や血液、汚物の除去作業に入ります。遺体由来の汚染物質にはタンパク質が豊富に含まれているため、完全に取り除くには専門技術が必要です。
一般常識としても「血液のシミは落としづらい」というのは有名で、血液は時間が経ったりお湯で洗ったりすると固まってしまいます。血液や体液などが除去しづらいのは特殊清掃でも同様ですが、次亜塩素酸や過酸化水素(オキシドール)などを使いながら丁寧に取り除いていきます。
拭き取り・臭いがしみ込んだ壁と床をはがす
床や畳、壁などに付着している汚染物質を取り除いたら、細かい隙間の部分まで徹底的に拭き取り作業を行います。窓ガラスやキッチンの流しなども、前述の次亜塩素酸などを使用して、スポンジやウェスで丁寧に拭き取ります。
汚れや臭いが奥まで染み付いていた場合には、壁紙などをはがして張り替えなければいけません。血液などが直接付着していなくても、吸着した死臭を除去するには張り替えによるリフォーム作業が必要です。
仕上げ
清掃の後は仕上げとして、完全脱臭を行います。悪臭の原因物質に応じた薬剤や機器を選び、数時間から数日かけて脱臭処理をくり返します。
完全脱臭では、オゾン発生器による空間除菌消臭が行われることが多いです。オゾン発生器を正しく使うのは難しく、稼働中の温度・湿度管理や機器のメンテナンスなどで専門知識を要します。適切に操作しないと脱臭効果が得られないため、技術が未熟な業者だと死臭を取り切れなかったり、作業後に臭い戻りが起こったりするおそれがあります。
まとめ
死後数日が経過した遺体からは死臭が発生し、クサヤや腐ったチーズよりもはるかに強烈な悪臭が部屋に充満します。死臭を放置すると近隣トラブルや害虫被害、住宅の劣化や臭いの染み付きなどの実害が生じるため迅速な対処が必要です。
部屋に染み込んだ死臭を、自力で完全に取り除くのはほぼ不可能です。血液や体液、汚物の汚れは、一般的な清掃方法では除去できません。そのため、死亡直後に発見された場合を除いて特殊清掃業者に片付けを頼むのが現実的です。
特殊清掃業者は消毒・消臭作業の後に汚染された家具を撤去し、家の汚染部分を清掃して適宜リフォームを行ってから完全脱臭処理で仕上げを行います。専門業者ならではのスピーディな作業で、家を少しでも早く原状回復させましょう。
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ゴミ屋敷バスター七福神の強みは特殊清掃だけでなく、不用品回収・買い取りや遺品整理、ゴミ屋敷清掃なども一括してご依頼いただけることです。孤独死現場は足の踏み場もないほど生活ゴミや不用品が部屋を埋め尽くしているケースも多いのですが、そのような状況でも弊社スタッフは手際よく作業いたします。
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