ゴミ屋敷の問題は、個人の問題ではなく社会全体に関わる重要な問題です。
そのため条例を策定し、ゴミ屋敷問題に対処する自治体も増えています。
さらには、実際に条例に反するとして、処置を受けているケースも少なくありません。
- 自身の親族の自宅がゴミ屋敷になっている
- もしくは地域にゴミ屋敷がある
上記の場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
この記事では、ゴミ屋敷を放置することのリスクや、ゴミ屋敷問題に対処する方法について解説します。
目次
ゴミ屋敷に潜む問題とは?
ゴミ屋敷の問題は、ただ景観が悪いとか、住人にとって衛生面で好ましくない、程度に考えている方が多くいらっしゃいます。
しかし、実際はそんな簡単な問題ではありません。
ゴミ屋敷の住人本人はもちろんのこと、近隣住人にも多大な被害をもたらす恐れがある、社会的な問題です。
ゴミ屋敷が引き起こす社会問題には、特に次のようなものがあります。
- 病害虫や悪臭の発生
- 孤独死
- 火災
病害虫や悪臭の発生
ゴミ屋敷には病害虫が身を隠す場所が豊富にある上、物やゴミが堆積していることで温度や湿度も保たれているため、病害虫にとって格好の住処とも言えます。
また生ゴミをはじめとする飲食物も放置されていることから、食べるものにも困りません。
腐敗したゴミが発する臭いは周辺の病害虫も引き寄せます。
そうして繁殖した病害虫は、いずれはその部屋に留まらず、近隣の住宅にまで広がる可能性があります。
悪臭も風に乗って付近の住宅にまで広がってくるでしょう。
ゴミ屋敷は不衛生さの巣窟であり、本人をはじめ地域住民の衛生的で健全な生活環境を乱す要因の一つに他なりません。
孤独死
ゴミ屋敷の住人は周囲の人との交渉を嫌う傾向があるため、自宅にひきこもりがちの方が多いです。
その結果、社会問題の一つともなっている孤独死にも繋がりやすい点が指摘されています。
賃貸物件で孤独死が発生すれば事故物件となり、その後の使用に大きな支障をきたします。
また持ち家であっても、孤独死から時間が経過して遺体が腐敗している場合、住宅自体をひどく傷めてしまうため、使用することができなくなる可能性もあります。
火災
ゴミ屋敷は場合によっては、可燃物が満載の状態のため、万が一漏電や発火した場合に、あっという間に火の手が回ってしまいます。
ゴミ屋敷は掃除されていない状態のため、コンセントにホコリが詰まったことで発火したり、電源を入れたままの電化製品が過熱したことで発火したりする可能性が高いです。
火災が発生すれば、隣接した住宅にも火の手がおよび、大規模火災に発展する可能性もゼロではありません。
ゴミ屋敷問題を取り締まる条例
ゴミ屋敷問題は、地域社会を脅かしかねない重大な問題です。
そのためゴミ屋敷を取り締まる条例を制定する自治体が増えています。
一般財団法人地方自治研究機構はその調べの中で、2018年12月末の段階で、全国で22の自治体がゴミ屋敷を対象とした条例を制定していることが明らかにしました。
例えば神奈川県横浜市ではゴミ屋敷に対する定義を明確にした上で、2016年から「ごみ屋敷」対策条例を制定し、ゴミ屋敷対策に乗り出しています。
<横浜市によるゴミ屋敷の定義> いわゆるごみ屋敷とはごみなどの物が屋内や屋外に積まれることにより、悪臭や害虫の発生、崩落や火災等の危険性が生じるなど、本人又は近隣の生活環境が損なわれている状態(不良な生活環境)にある建築物やその敷地をいいます。 |
ゴミ屋敷条例違反になるとどうなる?
ゴミ屋敷を放置してゴミ屋敷条例に違反した場合、いくつかの段階を経て、最終的には行政代執行と呼ばれるゴミ屋敷に対する強制執行が行われます。
ゴミ屋敷条例の4ステップ
ほとんどのゴミ屋敷条例は、次の4つのステップを経ます。
- 助言
- 指導
- 勧告
- 命令および行政代執行
ゴミ屋敷に行政が対処するためには、住民からの通報が必要です。
ゴミ屋敷に関する苦情が寄せられると、自治体が実態調査に乗り出します。
ゴミ屋敷であることが認定されると、自治体は住人に対してゴミを撤去するよう助言、指導を行います。
それでもゴミ屋敷の状態が改善しない場合の対応が勧告です。
勧告しても改善が見られなければ、具体的な期限を定めてゴミの撤去を命令します。
期限を迎えてもゴミ屋敷の状態が改善しないと、所定の手続きを経てゴミ屋敷のゴミを強制的に撤去する行政代執行が執り行われる流れです。
ゴミ屋敷条例に違反するリスク
ごみ屋敷条例に基づいた行政指導に従わない場合、自治体ごとに条件は異なるものの、次のような社会的な不利益を被ります。
- ゴミ屋敷の住人として氏名と住所を公開される
- 過料が課される
- 行政代執行の費用負担を求められる
ゴミ屋敷の住人として使命と住所を公開される
行政からの指導を受けてもゴミ屋敷の状態を解消しない場合、多くの自治体が氏名および住所を公表するものとしています。
例えば日本で最も早くゴミ屋敷の行政代執行に踏み切った京都市では、行政による勧告を無視したゴミ屋敷の住人数名に対して、「京都市不良な生活環境を解消するための支援及び措置に関する条例」の第3章第12条の4に規定に則り、氏名と住所を公表する処置を行いました。
また神戸市では、ゴミ屋敷の立ち入り調査に従わない時点で氏名および住所を公表すると、より厳しく条例を定めています。
過料が課される
多くの自治体が、ゴミ屋敷に関する条例の中で過料に関する規定を定めています。
過料とは、国や公共団体が国民に課す金銭納付命令のことであり、行政上の罰です。
例えば名古屋市では、ゴミ屋敷の立ち入り調査に応じない場合に3万円、命令に従わない場合は5万円を過料することを定めています。
行政代執行の費用負担を求められる
行政によるゴミ屋敷問題解消に向けた強制執行が行われた場合、一部の自治体ではゴミの撤去に要した費用の負担を求められることがあります。
例えば愛知県豊田市のゴミ屋敷に関する条例では、行政代執行の際にその費用負担を住人に求めることを明記しています。
ゴミ屋敷問題を解消する方法
ゴミ屋敷問題を放置すれば、氏名や住所を公開されることによる社会的制裁を受ける他、多額の金銭負担を求められる可能性があります。
近隣の住宅がゴミ屋敷化していることに気づいたら、速やかに自治体に相談してみると良いでしょう。
しかし、自身の親族や知人宅がゴミ屋敷である場合にはどうしたらよいでしょうか。
ゴミ屋敷の場合、物量が想像をはるかに上回る程多く、全てを搬出して部屋を片付けるのは容易なことではありません。
一気にゴミを処理しなければ、あっという間にリバウンドして、以前より多くのゴミが堆積することにもなりかねません。
またゴミ屋敷の場合、住宅自体がひどく汚れたり損傷したりしているケースがほとんどのため、ゴミの搬出だけでなく特殊清掃も必要になってくるでしょう。
この2点を大きな問題を解消するのが、ごみ屋敷専門の清掃業者です。
ゴミ屋敷問題はゴミ屋敷清掃業者に相談する
ゴミ屋敷専門の清掃業者は、ゴミ屋敷問題を解消する際の強い味方で、依頼することで次のような作業も引き受けてくれるところが多いです。
- ハウスクリーニング
- 特殊清掃
- 不用品回収
- 価値のある不用品の買取
- 遺品整理
ゴミ屋敷専門の清掃業者は、ゴミ屋敷掃除のスペシャリストです。
短時間のうちに全ての不用品を搬出し、住宅をきれいに整えることができます。
しかも不用品買取を行っている業者であれば、買取した不用品の料金を依頼料から差し引くことができるので、費用を抑えて依頼することも可能です。
ゴミ屋敷専門の清掃業者を探すポイント
ゴミ屋敷の増加に伴い、悪質な不用品回収業者も増加しています。
誠実な対応をする業者を探す際は、次のポイントをチェックしてください。
- ホームページが充実している
- 事業所名や連絡先が明記されている
- 実績が公開されている
- 無料の訪問見積を実施している
- 作業当日に追加料金を請求しないことが明示されている
- 万が一の物品の破損に備えて保険に加入している
- 不用品買取している
- (高齢者の住宅の場合)遺品整理に対応している
- 資格を保有している(提携している)
ごみ屋敷清掃業者を選定する際は、無料で訪問見積する業者3社程度のから見積もりを取ってください。
料金を正しく算定するには、実際にゴミの量や内容を確認してもらった方が良いでしょう。
現場や写真などで状況も確認せずに見積もりを出す業者の場合、作業当日に追加料金を請求され、トラブルになる恐れもあるのでご注意ください。
まとめ
ゴミ屋敷は、多大なリスクを伴う社会問題です。
社会的制裁や金銭負担が大きく、そのまま地域で暮らすことは困難になりかねません。
しかしゴミ屋敷問題に一人で立ち向かうのは簡単なことではありません。
だからこそ、誠実なゴミ屋敷専門の清掃業者を選定して、協力を仰ぐことが大切です。
ゴミ屋敷のエキスパートと一緒に、ゴミ屋敷という難題を解決しましょう。