ゴミ屋敷は近年はゴミ屋敷対策を制定する自治体の増加もあるなど、全国的に対策が進んでいます。
条例に基づき、行政代執行を敢行し、強制的にゴミ屋敷を改善した自治体もあるほどです。
しかし、実はゴミ屋敷はリバウンドが起こるケースもあります。
そのため、ゴミを撤去するだけではなく、撤去して綺麗になった状態を維持することも大切です。
目次
ゴミ屋敷でリバウンドが起きている理由
行政代執行によってゴミ屋敷のゴミを全て撤去したにも関わらず、再びゴミ屋敷化するケースがみられます。
まさにリバウンドですが、なぜリバウンドが起きてしまうのか、その理由をいくつかご紹介します。
ゴミを撤去しただけだから
ゴミ屋敷からゴミを取り除くことでゴミ屋敷ではなくなります。
しかし、ゴミを撤去しただけでは問題解決とはなりません。
なぜなら、ゴミ屋敷になった原因があるからです。
その原因を解決しなければ、結局は再びゴミ屋敷になってしまうのです。
例えばゴミ屋敷の住人が痴ほう症の高齢者で、ゴミ収集所等から勝手にゴミを持ち帰ってきてゴミ屋敷となってしまった場合、ゴミを撤去したところでゴミを持ち帰る高齢者の習性は変わっていません。
結局は時間と共にゴミが増え、ゴミ屋敷へとリバウンドさせてしまうのです。
行政が動くという慢心
行政代執行とは、行政によるゴミ屋敷の解消です。
行政側としてもゴミ屋敷を放置しておくと、二次被害リスクもありますので対策しなければなりません。
しかし、行政代執行は住居者にとっては手間をかけられたものではありません。
行政代執行の費用は住居者に費用を請求できると規定している自治体もありますが、その点を知らない居住者にとっては「いざとなれば行政が掃除してくれる」程度にしか思わないことでしょう。
行政代執行で綺麗になっても、自分自身が努力した訳ではありませんので、綺麗にする苦労が分かりません。
結果、リバウンドさせてしまうのです。
行政に対しての不信感
ゴミ屋敷でよくある話が、住居者がゴミ屋敷の堆積物をゴミだとは認めない点です。
居住者にとって大切な物だと主張するのです。
ゴミだから撤去するとする行政に対し、居住者は必要なものだから処分しないでくれと主張します。
確かにゴミなのか必要なものなのかは持ち主が決めるものです。
このように、行政代執行に対して非協力的な住居者もいます。
居住者とすれば行政代執行は自身の大切なものを処分しようとしているのです。
非協力的になるのも当然で、行政代執行が終了した後、綺麗にされたことに対しての意趣返しとして、行政代執行以前よりも人為的に物で溢れさせるのです。
ゴミ屋敷をリバウンドさせないための行政側の対策
ゴミ屋敷はリバウンドさせてしまっては意味がありません。
そのため、行政代執行でゴミを撤去するだけではなく、他にも対策が必要になります。
様々な角度からの支援策でのリバウンド防止
行政代執行にてゴミを撤去するだけではなく、支援策も必要です。
実際、ゴミ屋敷住居者は身体に障害がある高齢者や、痴ほう症など支援が必要な場合が多いです。
つまり、ゴミを撤去するだけではなく、福祉・医療・経済的な支援策を講じることが必要です。
ゴミをため込まない新しい生活習慣の構築を支援する必要があります。
ゴミ屋敷住居者との信頼関係構築
行政代執行は条例に基づくものです。
決して違法性のあることではありません。
しかし、行政代執行を受ける住人側としては釈然としないものがあるでしょう。
あまりにも反感が強い場合、当てつけにゴミ屋敷へとリバウンドさせる可能性もあります。
行政代執行を敢行する際には住居人との信頼関係を構築し、ゴミ屋敷のリバウンドを防ぐことが大切です。
近隣の地域住民との連携
ゴミ屋敷のリバウンドを防ぐためには、地域住民との連携も重要です。
例えば地域住民からの連絡先を用意し、リバウンドの兆候が見えるようであれば連絡をしてもらうことでリバウンドの阻止が可能です。
行政としても特定の案件だけにリソースを割くことはできません。
そのため、近隣の地域住民や民間団体と連携を取ることが大切です。
ゴミ屋敷のリバウンドを防ぐための住居者側の対策
ゴミ屋敷が綺麗になればその後も綺麗な状態を維持したいものです。
そこで、住居者側の対策もご紹介します。
生活習慣の見直し
ゴミ屋敷は一朝一夕にできるものではありません。
長い月日をかけてできるものです。
つまりは生活習慣が形になったものでもあります。
そこで、一度綺麗になった後は生活習慣を見直しましょう。
ゴミを溜め込みやすい性格であれば早めにゴミを捨てるよう心がけたり、こまめに掃除をするなど、それまでとは違った生活習慣が求められます。
変えることができなければ、結局はリバウンドしてしまうことでしょう。
支援策に素直に頼る
ゴミ屋敷問題解決のために、行政代執行以外にも支援策を用意している自治体もありますので、支援策に頼るのも良いでしょう。
むしろ無理に支援策を固辞し、ゴミ屋敷をリバウンドさせてしまっては意味がありません。
なぜゴミ屋敷となってしまったのか分析する
なぜゴミ屋敷となってしまったのか、自ら理由を分析してみましょう。
理由によって対策は変わります。
例えば忙しくてゴミ捨てができず、そのままゴミ屋敷となってしまったのであればライフスタイルを見直した方が良いでしょう。
買い物をするのが好きで物が蓄積されていったのであれば、買い物を控えるかこまめに物を捨てて、家の中の物の総量を均等に保つ必要があります。
このように理由に見合った対策が必要です。
ゴミ屋敷をリバウンドを防ぐために近隣住民がすべきこと
行政でもなければゴミ屋敷の住居者でもない近隣住民は、第三者という立場ではあってもリバウンド防止のために協力できることがあります。
ゴミ屋敷居住者とのコミュニケーション
ゴミ屋敷にしてしまう理由の一つに、孤独化が挙げられます。
単身者という意味だけではなく、近隣での人付き合いがない社会的孤独を意味しています。
そのため、こまめに話しかけたり、自治会にて地域住民が参加できるイベントを開催するなどして、居住者との接点を持ちましょう。
ゴミ屋敷に関心を持つ
ゴミ屋敷は行政代執行後にリバウンドしてしまったケースもあります。
決して監視するという意味ではないのですが、、行政代執行後の状態に関心を持ち、再びゴミ屋敷になってしまう懸念が感じられた場合には、行政に連絡しましょう。
ただし、あまりにも露骨に監視していると住居者とトラブルに発展してしまう可能性があります。
地域の見回り隊を結成して自然な形でチェックしたり、あるいは先にもお伝えしたようにコミュニケーションを取る形で状況をチェックするなどしましょう。
ゴミ屋敷でリバウンドを起こさないために
ゴミ屋敷に行政代執行が敢行されることで、問題が解決すると考えている人も多いですが、リバウンドの可能性もあります。
そのため、決して行政代執行がゴールではありません。
行政代執行後の綺麗な状態を保つことこそ重要です。
そのためには行政、居住者、そして地域住民の三者がそれぞれ協力することで、本当の意味でゴミ屋敷問題の解決となるのです。
ゴミを撤去するだけではゴミ屋敷問題は解決できません。
解決とは、ゴミ屋敷のリバウンドリスクが感じられなくなった時だと覚えておきましょう。