古い除光液や肌に合わない除光液はすぐに捨てた方がいいのですが、使い切っていない除光液の捨て方はあまり知られていないもの。
除光液にも化粧品と処分ルールがあります。守らなかった時には回収してもらえないだけではなく、処分中に健康に被害をもたらしてしまうこともあります。
この記事では安全に除光液が捨てられるよう詳しく解説していきます。
除光液の捨て方
除光液は自治体の燃えるゴミで処分できますが、中身と容器を分別しなければなりません。除光液の取り出し方を2つご紹介します。
紙に染み込ませて可燃ごみに捨てる
もっとも一般的な方法は、残った除光液を紙にしみ込ませ捨てる方法です。新聞紙やキッチンペーパーなど、しみ込む素材なら何でもかまいません。液体タイプの除光液の捨て方の手順は以下のとおりです。
- 空の牛乳パックや袋に新聞紙やキッチンペーパーなどを入れる
- 余った除光液をしみ込ませる
- 牛乳パックにフタをしてビニール袋に入れて捨てる
除光液を紙にしみ込ませる作業は屋外で行うか、換気を十分市ながら進めましょう。
換気していない室内で除光液を紙にしみ込ませると、アセトン中毒になる危険性があります。アセトン中毒になると吐き気や顔色不良など、体調が悪くなる可能性があるため、換気には十分に注意して行ってください。
フタを開けて蒸発させて捨てる
フタを開けて除光液の中身を蒸発させてから捨てるのもおすすめです。風通りが良い屋外にフタを開けて1日くらい放置するだけです。
除光液は気化しやすい性質があるため、中身が蒸発してなくなります。ただし、紙にしみ込ませる方法と異なり、時間がかかるため、刺激臭に注意して屋内で行うことが大切です。
除光液の容器は自治体のルールに従って捨てる
中身がなくなった除光液の容器は、自治体の分別ルールに従って捨てます。除光液の容器はビンやプラスチックなどが主流です。
容器の種類を確認して、プラスチックゴミや不燃ゴミとして袋に入れて指定日の指定時間までに出しましょう。
【タイプ別】除光液の捨て方
除光液は液体タイプが一般的ですが、他にもシートタイプやスポンジタイプ、クリームタイプなどがあります。ここでは、液体タイプ以外の除光液の捨て方を詳しく解説します。
シートタイプ除光液の捨て方
シートタイプの場合、すでに液体をシートに吸わせているため、そのままゴミとして捨てても大丈夫です。
ただし、除光液は中毒症状や引火する恐れもあるので、シートを出して十分に乾燥させてから処分します。
未使用の場合も同じようにシートを出して乾燥させてから処分するほうが安全です。
スポンジタイプの除光液の捨て方
スポンジタイプの除光液もそのまま袋に入れるか、乾燥させてから捨てます。
残った容器は素材を確認してからゴミ出し日に捨ててください。除光液の入れ物はビンやプラスチックが一般的なので、不燃物ゴミやリサイクルゴミなど、自治体のルールにそって分別する必要があります。
また、ゴミを捨てる際に悩みたくないのなら、最初から分別に困らない容器を選ぶのもおすすめです。
クリームタイプの除光液の捨て方
クリームタイプは、液体タイプの除光液と比べて乾燥しにくいため、ティッシュや布で拭き取り、ビニール袋に入れてゴミとして捨てます。
クリームタイプのほかに、ジェルタイプの除光液も同じ方法で捨ててください。ポイントは液だれしないようにしっかり密閉して捨てることです。
やってはいけない除光液の捨て方
除光液はアセトンや酢酸エチル、トルエンなどを含むため、第4類危険物の第1石油類に分類されます。そのため、除光液を捨てる場合は、以下の点に注意が必要です。
- ・排水口やトイレにそのまま流す
- ・換気されていない部屋で除光液を捨てる
- ・除光液を火の近くで捨てる
- ・容器ごとそのままごみで捨てる
ここでは、除光液の捨て方でやってはいけないことをまとめました。
排水口やトイレにそのまま流す
古い除光液が残っている場合、排水口にそのまま流すのはNGです。除光液は刺激臭や揮発性、引火性などの特徴があります。
とくに集合住宅では排水管は他の部屋と繋がっているので、除光液をそのまま流すと、ツンとした刺激臭が他の部屋にも流れ込んでしまう可能性があるのです。
また、環境破壊になるリスクもあるため、除光液を捨てる際は、決められた方法で捨てることをおすすめします。
換気されていない部屋で除光液を捨てる
除光液に含まれるアセトンは揮発性で、刺激臭が強い成分です。そのため、換気されていない部屋で除光液を捨てると揮発した蒸気で頭痛や吐き気などを伴うアセトン中毒になる危険性があります。
自宅にペットや乳幼児がいる場合は、とくに注意が必要です。最初に換気が十分かチェックしてから、除光液を捨てるようにしましょう。
除光液を火の近くで捨てる
除光液を火の近くで捨てるのは危険です。除光液は引火点が21℃未満と低いため、とても引火しやすい特徴があります。
そのため、除光液を捨てる場合は、近くに火の気がないかチェックすることが大切です。
たとえば、アロマキャンドルやタバコの火など、見落とさないように十分確認してから始めてください。
容器ごとそのままごみで捨てる
中身が入ったまま容器ごと除光液を捨てるのはやめましょう。除光液には有毒性があり、引火しやすい性質を持つアセトンが含まれています。
ゴミ収集スタッフは中身が入っていることに気が付かず引き取ってしまうこともあります。ゴミ収集車やゴミ処理施設で漏れだした除光液は施設や設備の故障や火災の原因にもなり得ます。
中身を空にしてから捨てることは徹底してください。
除光液の危険性と対処法
除光液は刺激臭や揮発性、引火性などの特徴もあることから、取扱いには注意が必要です。ここでは除光液を取り扱う際に、とくに注意すべき点や危険性、対処法などをまとめました。
アセトン中毒に注意
除光液を取り扱う際は、アセトン中毒に注意しましょう。除光液に含まれるアセトンは、刺激臭と有毒性、揮発性がある成分です。
捨てる際に揮発した蒸気を吸ってしまうと、アセトン中毒になり、吐き気や顔色不良、激しい嘔吐などの症状に苦しむ可能性があります。
アセトン中毒の症状が出た場合は、水分を少しずつ摂取しながら、吐き気止めなどを服用しましょう。
数日にわたり嘔吐が続くケースもあるため、症状が重い場合は、早めに医師の診察を受けてください。
参考:厚生労働省公式サイト
目に入れてはいけない
除光液を取り扱う際は、目に入れないよう注意してください。除光液が目に入ると刺激で目に痛みが走ったり、ひどい場合は角膜に炎症を起こしたりするケースもあります。
万が一、除光液が目に入ってしまった場合は、すぐに洗浄しましょう。
もし、目に違和感や痛みが残る場合は、早めに医師の診断と手当てを受けることが大切です。
誤飲の危険
除光液を取り扱う際は、くれぐれも誤飲に注意してください。除光液は飲み込んでしまうと強い喉の痛みや嘔吐、頭痛、興奮、咳、消化管出血などの症状を起こします。
気管に入ると肺炎を起こすリスクもあるため、少量でも飲んだ場合は、すぐに医師の診断を受けてください。
とくに小さなお子さんがいるご家庭では、誤飲のリスクも高まるため、子どもの手の届く範囲に除光液を置かないことも大切です。
除光液の再活用方法を7つ紹介
除光液は捨てる以外に活用する方法もあります。ここでは、除光液の再活用方法を7つまとめました。自宅に古い除光液が残っている方は、ぜひ試してみてください。
シールのあとのべたつき落とし
除光液なら剥がしにくいシールをキレイに落とすのに役立ちます。除光液を活用したシール剥がしの手順は以下のとおりです。
- シールや剥がした後のベタつく部分に除光液をたっぷりたらす
- 除光液をたらした部分をラップで覆い10分放置
- ラップを剥がしヘラなどを使用して端から剥がす
- 塗れタオルでシールあとをキレイにふき取る
除光液は手荒れする場合もあるため、ゴム手袋をはめてから行いましょう。プラスチック素材は溶けたり、白く濁ったりするので使用できません。金属製や木製のシールあとであれば白く濁ることはありませんが、変色することはあります。
目立たないところでテストしてから広い範囲で使いましょう。
スニーカーの汚れ落とし
除光液はスニーカーのゴム部分の汚れ落としに使用できます。使用方法は、布やキッチンペーパーに除光液をしみ込ませてゴム部分を拭くだけです。
スニーカーの布地部分は、除光液では汚れを落とせません。逆に汚れが滲み余計に目立ってしまうので使わないようにしてください。
服についた汚れを落とし
除光液は、服の汚れ落としに活用できます。アセトンなどの除光液に含まれる成分は、油脂と相性がよいため、油じみやボールペン、インクなどの汚れ落としに有効です。除光液で服の汚れを落とす手順は以下のとおりです。
- 汚れを落としたい服の下に布を敷いて汚れに除光液を垂らす
- 上からも布を当て、トントンと叩くように布の汚れを落とす
- 汚れが取れるまで、当て布をずらしながら繰り返す
服によっては色落ちする場合もあるため、事前に目立たない部分で試してから行うことがポイントです。
肌についた油性ペンが落ちる
肌についた油性ペンも除光液で落とせます。油性ペンが誤って肌についた場合は、除光液をコットンや布などに沁み込ませ、やさしく汚れを拭き取りましょう。
その後、石鹸と水を使って洗い流せば終了です。強くこすると肌にダメージを与えるため、やさしく拭き取るのがポイントです。
また、子どもは肌が弱いため、除光液ではなく、クレンジングオイルやハンドクリームを使用することをおすすめします。
インク切れのペンが復活する
インク切れのペンも除光液で復活させられます。まず、ペンのキャップに除光液を少量入れ、こぼれないよう注意しながら、ペンを差し込んでください。
そのまま10分程度放置すれば、除光液に含まれるアセトンが乾燥したインクを溶かし、ペンを復活させてくれます。乾燥が原因でインクがでなくなったペンがある方は、ぜひ試してみてください。
絆創膏剥がしに
除光液は剥がしにくい液体絆創膏を剥がす際にも活躍します。除光液をしみ込ませたキッチンペーパーや布を液体絆創膏に当てしばらく放置します。液体絆創膏が柔らかくなったら、剥がしていきましょう。
キレイに剥げなかった部分は温めた濡れタオルを使うと落ちやすくなります。液体絆創膏は数日で自然に剥がれるものですが、今すぐ剥がしたいという時に使える裏技です。
プラパンの転写液になる
除光液はプラバンの転写液として使用できます。使用方法は以下のとおりです。
- コンビニやトナーインクのコピー機で画像を印刷
- 片面ザラザラのフロストタイプのプラバンを用意する
- ザラザラ面のほうに転写したい画像のコピー用紙を裏返しておく
- クリアファイルに置いて、除光液をたらす
- クリアファイルで挟み、ものさしなどで擦る
- コピー用紙を剥がすとプラバンに画像がうつる
- トースターを余熱し、アルミをひいてプラバンをのせ加熱する
- プラバンが小さく平らになったら完成
インクジェット印刷の場合は、除光液で転写できないので、必ずトナーインクやコンビニのコピー機を利用するのがポイントです。
まとめ
除光液を捨てる際は、必ず中身を別で処理してから、容器を捨ててください。除光液には揮発性や刺激臭、引火性などの特徴があるからです。
液体タイプの除光液の場合は、外で放置して蒸発させたり、ティッシュに含ませたりして捨てます。
誤った捨て方をするとアセトン中毒になったり、近所トラブルを招く可能性もあるため、正しい方法で処分することが大切です。
また、古い除光液は再活用する方法もあります。本記事でも7つ紹介しているので、捨てる前に活用できないかチェックしてみてください。