大阪府門真市では「門真市美しいまちづくり条例」がゴミ屋敷対策を含めた条例だと考えられます。
ゴミ屋敷対策専門の条例ではなく、あくまでもまちづくりの関連からゴミ屋敷問題を内包した条例となっています。
条例の中でゴミ屋敷問題を想定しているであろう項目についてご紹介します。
門真市美しいまちづくり条例について
大阪府門真市が制定している門真市美しいまちづくり条例は、ゴミ屋敷を含めた「美しいまちづくり」のための条例です。
そのため、すべての条項がゴミ屋敷対策のためのものではありません。
ですので、ゴミ屋敷対策に関連しているであろう部分をご紹介します。
門真市美しいまちづくり条例・第1条
門真市美しいまちづくり条例の第1条において、市、および市民や事業者が一体となって市域の美しいまちづくりを推進することを目的とすると明文化されています。
つまり、ゴミ屋敷はこの条例に背くものだと考えられます。
門真市美しいまちづくり条例・第11条と第12条
2つの条項にて、都市の所有者や管理者・占有者は樹木の管理に努めるよう定められています。
ゴミ屋敷と直接的な関連性は希薄ですが、ゴミ屋敷はゴミだけではなく、樹木も生い茂り、不衛生となっているケースがあります。
これらも広い意味ではゴミ屋敷が条例違反だとする根拠と成り得るものです。
門真市美しいまちづくり条例・第14条
門真市民は自宅や事務所、その周辺の清掃活動を行い、地域の美化に努めるようにと明文化されています。
つまり、ゴミ屋敷はこちらに違反していると考えられます。
門真市美しいまちづくり条例・第17条
空き家の所有者や管理者は廃棄物の投棄にて近隣住民に迷惑を及ぼさないよう適切に管理することが明文化されています。
ゴミ屋敷には、以下の2種類のパターンがあります。
- 住居者がいながらにして廃棄物が蓄積されてしまうパターン
- 空き家が不法投棄等によってゴミ屋敷化するパターン
この条例は主に後者に対してのアプローチだと考えることができます。
門真市美しいまちづくり条例・第18条
17条を厳守できていない、管理の行き届いていない空き家に対して門間市長が管理方法の改善や必要な措置を講じるよう勧告できると明文化されています。
空き家がゴミ屋敷化してしまった場合、こちらの条例を根拠に市長が勧告し、ゴミ屋敷の改善を促すことが可能です。
門真市美しいまちづくり条例・第29条
空き家や家屋所有者が措置命令に基づく改善命令・勧告に従わない場合、行政代執行を行えると定めています。
また、その際の費用を徴収できることも明文化されています。
ですので、ゴミ屋敷に対し改善命令・勧告を出しても従わない場合、行政代執行を実行し、かつ責任者に対して費用請求が可能です。
門真市美しいまちづくり条例・第44条
条例の規定の実施のために必要な場合、土地や建物に対して関係職員の調査のための立ち入りを許可すると明文化されています。
但し、個人住居に関しては所有者や管理者の承諾を得なければならないとも定められています。
ゴミ屋敷に対し、住居者の許可を得れば立入での調査が可能ですが、許可がなければ立入調査が行えません。
門真市美しいまちづくり条例・第45条
条例の実施にあたって、必要に応じて関係機関に協力を求めることが可能だと明文化されています。
ゴミ屋敷の改善のために、例えば清掃・不用品回収業者と協力したり、再発防止のために福祉施設との連携の根拠となっている条文です。
門真市美しいまちづくり条例と他の自治体のゴミ屋敷条例の比較
大阪府門真市では門真市美しいまちづくり条例を制定して、ゴミ屋敷対策をと考えています。
ですが、ゴミ屋敷対策のためだけの条例を制定している自治体もあります。
いわゆるフルスペックのゴミ屋敷条例と門真市美しいまちづくり条例を比較してみましょう。
門真市美しいまちづくり条例は幅広い解釈が可能
門真市美しいまちづくり条例は、ゴミ屋敷のためだけの条例ではありませんが、文言に含みを持たせることで、他の自治体のフルスペックのゴミ屋敷条例に近い運用が可能です。
例えば門真市美しいまちづくり条例第45条にて、必要に応じて関係機関に協力を求めることが可能だと明文化されています。
つまり、門間市長が必要だと判断した場合、様々な関係機関に協力を求めることが可能です。
ゴミ屋敷問題は、ゴミの堆積だけではなく、撤去後の再発問題もあります。
福祉施設等を連携することで、より手厚い再発防止策が可能です。
特定のジャンルを指定するのではなく「関係機関」と記載したことで、ゴミ屋敷や住居者に応じたきめ細かい対策が可能です。
行政代執行だけではなく費用負担まで明文化されている
門真市美しいまちづくり条例はゴミ屋敷対策だけの条例ではないにも関わらず、行政代執行、さらには行政代執行でかかった費用の請求まで明文化されています。
ゴミ屋敷対策を包括した条例の場合、費用に関しては記載がなく、誰が負担するのか不明なケースが多いものです。
しかし、門真市美しいまちづくり条例であれば請求できると明文化されています。
ですので、ゴミ屋敷に対して行政代執行を実践したものの、結局費用は行政が税金から負担するということはありません。
行政だけに頼らないゴミ屋敷対策も重要
門真市美しいまちづくり条例はゴミ屋敷問題に対して効果が期待できる条例です。
しかし、ゴミ屋敷を生まないためには条例に頼るだけではなく、市民一人一人の心がけも大切です。
ゴミ屋敷の居住者とならないために
ゴミ屋敷の居住者の多くは、ゴミ屋敷にしたかったのではなく、気付けばゴミ屋敷化してしまうものです。
つまり、誰もが予期せぬ形でゴミ屋敷の居住者となる可能性があることを意味しています。
ゴミ屋敷を他人事だと思わず、常日頃から不要な物を捨てる習慣を身に着けることが大切です。
ゴミ出しのルールを覚える
自治体によってゴミ出しのルールは異なります。
例えば同じ大阪でも、門真市と他の市とではゴミ出しのルールは異なります。
ゴミ出しの正しいルールを把握できないと、ゴミを捨てることができずに家の中の不要品が増える一方です。
近年は環境資源問題等もあり、ゴミの減量化に取り組んでいる自治体が増えています。
それぞれの地域のゴミ出しのルールを覚え、適切にゴミを捨てることもまた、ゴミ屋敷の防止に繋がります。
近隣にゴミ屋敷を作らないために
自分自身ではなく、周辺にゴミ屋敷が生まれてしまう可能性もあります。
ゴミ屋敷は居住者が不用品を処分せず、家の中から物が溢れ、外に溢れた堆積物を見て通行人がゴミを捨てるなど、悪循環もたらすケースが多いです。
ゴミ屋敷と呼ぶほどではないものの、家の中からゴミが溢れているような状況を見かけたら、行政に連絡したり、あるいは顔見知りであれば声をかけるなどしてゴミ屋敷化を加速させないことが大切です。
門真市美しいまちづくり条例だけに頼らないゴミ屋敷対策を
門真市美しいまちづくり条例はゴミ屋敷対策として有用なものです。
フルスペックのゴミ屋敷条例に勝るとも劣らない、細かい部分まで配慮された条例です。
しかし、ゴミ屋敷化は条例ではなく、市民の生活にかかっています。
およそ12万人が住む大阪府門真市の清潔さを保つためには、条例だけに頼るのではなく、門真市民一人一人がゴミを適切に処理し、清潔な生活を心掛けることが大切です。