兵庫県猪名川町で定められている「猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱」は、ゴミ屋敷対策そのものです。
環境全般に関するルールではなく、ゴミ屋敷対策に絞ったものとなっており、兵庫県猪名川町では猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱を元にゴミ屋敷問題の解決を目指しています。
そこで猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱について、中身をチェックしてみましょう。
目次
猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱について
兵庫県猪名川町で策定されている「猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱」について、ゴミ屋敷問題に対処するための根拠となるものです。
どのような条例なのかをご紹介します。
支援対策を検討するための議会
猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱は、高齢者、精神疾患や地域で孤立してしまったことで自力でのゴミ処理が困難となってしまった世帯、あるいはその可能性のある世帯の支援策です。
つまり、ゴミ屋敷を解決するための条例ではなく、ゴミ屋敷を生まないための条例としての意味合いが強いです。
実際、条例を見ると「ゴミ屋敷をどうするのか」ではなく、「ゴミ屋敷を生まないためにどうするのか」が主題となっています。
ゴミ屋敷を未然に防ぐための活動内容
猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱では地域にゴミ屋敷を生まないために、ゴミの運搬や処理、相談、ケアを対象世帯との合意することで行うと規定しています。
つまり、勝手にゴミ問題に乗り出すのではなく、あくまでも住民との合意を経て対策を行うためのものです。
活動に参加する組織
ゴミ屋敷を未然に防ぐために、具体的にどの部署が活動するのかも策定しています。
対象世帯地域の民生委員、自治会長、自治会衛生委員、さらには猪名川町の社会福祉協議会、福祉課、住民課、生活安全課、川西警察署や関係機関と記載されています。
いわば、猪名川町が一体となってゴミ屋敷を生まないための条例だと判断できます。
活動の範囲
ゴミ屋敷のリスクがあると定めた対象世帯が確認された時には会議を随時開催できる点、会議を招集する際には農業環境課が担当することが記載されています。
また、猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱に定めていること以外で必要な項目は協議会で決定することも定められています。
果たして条例で兵庫県猪名川町のゴミ屋敷は防げるのか
猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱はゴミ屋敷を解決するための条例ではなく、ゴミ屋敷を生み出さないための条例です。
では果たしてこの条例でゴミ屋敷問題は解決できるのか、様々な点から検証してみましょう。
幅広い意味を持たせた条例
猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱は具体的な施策は策定されていません。
「このような時、これをする」といったものはなく、あくまでも「地域として活動しましょう」というものです。
そのため具体的施策がありませんが、幅広い解釈が可能な条例となっています。
具体的な状況や施策を策定してしまうと、条例にあてはまらないケースでは条例に基づいた活動ができません。
一方、幅広く解釈できる文言とすることで、様々なシチュエーションに対応できる条例となっています。
対象世帯に合わせた支援が可能
具体的な施策を策定しているのではなく、幅広く解釈できる文言で策定されている猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱では、対象世帯の状況に合わせた支援が可能です。
自治体が用意した支援策を対象世帯に当てはめるのではなく、対象世帯に合わせ、支援策を決定できる環境が整えられています。
関係各所の尽力が不可欠
猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱は具体的な施策が策定されているのではなく、あくまでも地域で一体となってゴミ屋敷を防ごうとするためのものです。
つまり、策定されている施策に基いたものではなく、猪名川町の関係者が気を配り、スピード感のある対応を心掛けなければなりません。
その点では、ゴミ屋敷を防げるかは関係者たちの尽力次第になります。
ゴミ屋敷問題の解決は可能なのか
兵庫県猪名川町の猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱は、いわばゴミ屋敷問題の予防のためのものです。
もしもですが、ゴミ屋敷となってしまったら解決できるのかという観点から見てみるとしましょう。
ゴミ屋敷化してしまった場合
猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱はゴミ屋敷とさせないための条例ではありますが、文言を見るにゴミ屋敷の解決の根拠とも成り得ます。
第2条の1項ではゴミ処理の分別や積み込み、運搬処理が策定されています。
4項ではその他、協議会が必要と判断した活動も行うとしていますので、ゴミ屋敷の解決も含まれていると考えてよいでしょう。
ゴミ屋敷問題解決もあくまでも同意のみ
猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱は、大前提として対象者との同意を得て行えると策定されています。
つまり、ゴミ屋敷の住人が同意しなければ何もできないとも解釈できます。
他の地域のゴミ屋敷条例では、その点も踏まえて指導や勧告、命令、さらには行政代執行まで定められています。
ですが、猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱にはそれらがありません。
つまり、対象世帯の住人が支援を拒絶するなど、ゴミ屋敷対策に同意しなかった場合は何もできません。
再発防止や支援も同意ありき
猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱には再発防止や支援に関する具体的な施策も策定されていません。
もちろん何もしないことを意味しているのではなく、ケースバイケースで対象世帯に合わせた支援が可能となるよう配慮されてのものであることが予想されますが、いずれにせよ対象者の同意ありきです。
対象者が同意しなければ何もできませんので、対象者に合わせた再発防止のための支援策を用意しても、対象者が同意しなければ支援策を行うことはできません。
施策に関する費用は自治体負担
猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱に基いて行われる施策でかかった費用に関する記述がありません。
そのため、基本的にはすべて兵庫県猪名川町負担だと考えてよいでしょう。
つまり、税金となります。
地域住民の理解は不可欠ですが、もし他の地域で実践されているような行政代執行を敢行した場合も、費用は兵庫県猪名川町が負担する可能性が高いでしょう。
他の地域のゴミ屋敷条例との比較
他の地域のいわゆるゴミ屋敷条例では、行政代執行での費用はゴミ屋敷住居者に請求すると記載されていますので、行政が動いているものの、行政の費用負担はありません。
そのため、今後もしも大掛かりなゴミ屋敷対策を実践した際、誰が費用を支払うのか・負担するのかが議論となる可能性もあります。
猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱についてのまとめ
猪名川町地域ごみ処理問題検討協議会設置要綱はゴミ屋敷を未然に防ぐための条例で、関係各所が連携することや状況に応じての施策策定を可能としています。
一方で、他の地域のゴミ屋敷条例と比較すると、住居者の同意を得なければならない点が定められていますので、行政主導では何もできません。
もし住居人が同意しなかった場合、行政は何もできませんので住居者の善意に委ねた条例との側面もあります。