フジテレビの「とくダネ」で放送されていた東京都八王子市のゴミ屋敷の紹介を切り口に、八王子のゴミ屋敷問題の原因・住人の心理・自治体の対応について、報道されている範囲で紹介します。
今回ご紹介する内容には、一部は考察を含みます。
文責は文章が掲載されている媒体に帰属します。
目次
2019年7月31日のフジテレビ「情報プレゼンター とくダネ!」
先日のテレビでゴミ屋敷問題が報道されました。
場所は東京都八王子市。
住人は80代の母親と40代の息子、2名だと言われています。
家の状況は、明らかにゴミが散乱しており、家の裏手にもゴミが落ちて周辺には生ゴミ臭が漂っているそうです。
ゴミの山の中には、刃物も無造作に置かれているとのこと。
周辺の住民は心身の危険にさらされていると言えるでしょう。
ゴミ屋敷がある土地の面積は約240平方メートル、木造2階建ての住宅だそうです。
なぜ八王子のゴミ屋敷ができたのか?ゴミ屋敷の原因
現在40代の息子は、80代の母親の具合が悪く介護をしており、息子本人も具合が悪いため、母親の遺族年金で生活をしている、その生活の足しにするためにゴミを集めているそうです。
ゴミ屋敷の現状と、八王子市の対応
近隣住民は、ゴミ屋敷の見た目、猛暑と高温多湿のせいか周辺に漂う生ゴミ臭などに悩まされているそうです。
近隣住民によると「住人の40代の男性が、ゴミの撤去を邪魔するだけでなく、新しくゴミを集めている」と証言しております。
テレビの報道によると、八王子市は9年前からこのゴミ屋敷の状況を把握しており、これまでに2012〜2017年にかけて8回のゴミ撤去を行うも、撤去後もすぐに元に戻ってしまったそうです。
考察1「ゴミを集めることが生活の足しに繋がるのか?」
ゴミは、集めることで生活の足しになるわけではありません。
「生活の足し」にするためにはつまり、ゴミを換金する必要があると言えます。
そのため「生活の足し」にするためにゴミ屋敷を作るのであれば、集めたゴミを換金する作業が必須です。
しかし、このゴミ屋敷の現状を拝見した限りでは、換金されることなくゴミが溜まっており、「生ゴミ臭もしている」ということは、換金できるような価値のあるゴミやモノが貯められているわけではないのではないか?と考えることができます。
生ゴミには換金できる価値はないでしょう。
生活の足しにできそうなゴミであれば、アルミ缶などは少額ながら換金できます。
アルミ缶を軽トラに積載できるいっぱいの量まで集めたら、約40kg程度です。
アルミ缶の1kgあたりの買取価格は時価で、常に変動していますが、約40kgで1,000〜2,000円程度の価格になります。
しかし、もし「生活の足しにしたいから=換金したいから、アルミ缶を集めている」のであれば、アルミ缶に飲料が残っていれば生ゴミ臭のような匂いにつながると考えられます。
ジュースやビールなどが中に残っていれば当然、臭うようになるでしょう。
もし住民が「生活の足しにしたい」と自分の都合でアルミ缶を収集して保管しているのであれば、収集すること自体は問題ありませんが、生ゴミ臭がしないように水ですすいでから保管するなど工夫すべきではないでしょうか。
周辺住民に迷惑をかける方法でゴミを溜め込むことは、改善しなければならないでしょう。
考察2「ゴミ屋敷をなくすために、どこまで八王子市が関わればいいのか?」
ゴミ屋敷を解決するためには、いくつかの方法があります。
考えられる解決方法は、物理的にゴミを撤去することと、ゴミを溜め込んでしまう精神状態を解決することの2つでしょう。
まず、ゴミ屋敷の住人の多くが成人です。
ゴミの撤去を自治体が行うこともできますが、住人は40代男性。
住人の力や運動量を考えても、自治体がサポートするでもなく、本人がゴミを捨てたり片付けたりできるでしょう。
これまでの報道を見ると「ゴミを撤去したけれど、また溜まった」とあります。
物理的にゴミを何度も撤去するには費用も手間もかかるでしょう。
また、ゴミ屋敷を作ってしまう住人には、心の病気を抱えている方もいます。
さらにこのゴミ屋敷の住人である80代の母親の体調が悪く、息子が介護をしているということは、母親は身体的に不調が出ている、そのような状態の方がゴミ屋敷でゴミと、ゴミに集まる害獣や害虫と生活する生活環境は、母親の身体に負担がかかるのではないでしょうか。
介護をしている息子も、毎日健康な状態で母親の介護をするためには、健やかに心身を休められる環境で眠ったり、快適に生活できる家が必須なはずです。
もし住民が心の病も抱えているとしたら、カウンセラーや医師の診察や診断が必要ですが、それにかかるサポートは誰ができるでしょうか、費用は誰が負担すればいいでしょうか。
非常に難しい問題で、法律や条例で一概にサポートしづらいだけでなく、本人たちの気持ちを変えることと専門的な助けが必要でしょう。
八王子市の条例
八王子市は、2019年4月1日に八王子市住居等における物の堆積等に起因する不良な生活環境の改善に関する条例の制定と八王子市廃棄物の処理及び再利用の促進に関する条例の改正を行いました。
現在の八王子市で発生しているゴミ屋敷の現状を見た限り、条例を変えたことがゴミ屋敷を無くしたようには見えません。
周辺住民は異臭から、洗濯物を外に干したり、ベランダで飲食を楽しんだり、庭でガーデニングを楽しむようなことも、何気なく窓を開けることもできないでしょう。
八王子市の立場で考えても、9年前からこのゴミ屋敷を把握しているならば、それなりの対応や関わり方をして、努力してきたのではないでしょうか。
八王子市だけでなく、東京都や国が動く必要もあるのかもしれません。
様々な意見があると思いますが、このまま放置し続けると同じようなゴミ屋敷が増える可能性もありますし、八王子という地名のマイナーイメージにもつながりかねません。
可能な限り早く、問題を解決すべき事案でしょう。
まとめ
ゴミ屋敷が作られた家庭には住人の心身の問題が関わっていることがほとんどで、住民も病気を抱えていることがあります。
しかしゴミ屋敷に住み続けると、劣悪な衛生環境からさらに住民の体調が悪化するだけでなく、周辺住民にも迷惑がかかり、家や土地の価値や状態も悪くなります。
今回紹介したゴミ屋敷については、過去に何度も撤去をしているけれど復元しているという状況を客観的に見ると、ゴミ屋敷問題を解消するのは非常に困難だと言えるでしょう。
ゴミ屋敷の撤去にかかった費用や手間を考えると、物理的なゴミ屋敷の撤去を続けることが正しいのでしょうか。
住人の気持ちを考えることももちろんですが、住人に反省が見られず自己中心的で周辺住民のことを考えないのであれば、多少強制力の強いアクションを起こすことも必要かもしれません。
ゴミ屋敷が解消され、地域の安心安全が高まることを祈っています。