ゴミを無料で引き取り・回収すると宣伝している車両を見かけたことがある人は多いのではないでしょうか。
不用品、粗大ごみを無料で回収しますと喧伝している業者が、本当に無料で処分してくれるのであればありがたいものです。
昨今、環境問題への意識の高まりからゴミのリサイクルが推奨されたり細かいルールが設けられるなど、ゴミが捨てにくくなっています。
だからこそ本当に無料であればありがたいことですが、果たして本当に無料なのか、なぜ無料なのかなどを掘り下げてみましょう。
目次
なぜ無料で回収が行えるのか
多くの自治体でゴミの処分における様々なルールが設定され、ゴミの処分にもお金がかかるようになりました。
そのため、無料で回収できると喧伝する無料回収業者に対してありがたいという思いだけではなく、なぜ無料なのかと思う人も多いことでしょう。
転売目的での無料回収
無料回収業者の多くは、無料で引き取り・回収したものを転売して利益を得ています。
無料で回収するということは、仕入れは0円なので、仮に1円で売れたとしても利益になります。
ゴミとして処分するにもお金がかかる時代です。
一方でゴミとして処分する物でも、まだまだ使える物があります。
持ち主にとっては「ゴミ」となるものを無料で集め、他で転売して利益を得る、これが無料回収のビジネススタイルです。
「無料」を謳い文句にしているだけの業者もいる
無料回収と喧伝しているものの、実際に依頼するとお金を請求されるケースもあります。
引き取り無料だからと任せようと思ったら、「手数料が必要」だとお金を請求されてしまうことがあります。
ですが、依頼して何もしないのも悪いと感じる心理から、結局は手数料を支払ってしまう人もいます。
しかし、手数料を取って本当にリサイクルを行っている業者は少ないです。
手数料名目でお金とゴミをもらい、ゴミはどこかに不法投棄する可能性があります。
これにより、手数料がまるまる利益となるのです。
無料回収でよくあるトラブル
先に無料だと思って任せたら後から請求されたとお伝えしましたが、実はこれ以外にも無料回収業者を利用してトラブルに発展する事例があります。
そこで過去にどのようなトラブルがあったのかをご紹介しましょう。
依頼したら必要な物まで持って行こうとした
無料回収とあるので引き取りを依頼したら、処分する予定のない物まで「処分した方が良い」と強引に迫ってきたという事例があります。
無料回収を餌に、利用者の自宅を訪れ、お金になりそうなものを上手く入手しようとしたのでしょう。
家まで来てもらったので断りづらい心理を生み、本来必要な物に対して「NO」を突き付けることができず、持って行かれてしまうパターンです。
家まで来てもらったからと言って断る権利はありますので、必要な物を処分してもらう必要はありません。
後から何もできない
無料回収業者との接点は家にチラシが入っていたり、あるいは家の近所を無料回収業者が走っていたので依頼したりといったものですが、その接点だけでは相手業者の素性が分かりません。
チラシに関しても電話番号以外何も情報が記載されていないケースもあります。
そのため、後になって「やっぱり返してもらおう」と思っても電話番号が変わっていたり、業者の素性が分からないので何も対処できず、泣き寝入りするケースが多いです。
話が強引かつ理不尽
依頼したもののお金を要求されたので「じゃあ結構です」と断ったら、「断ることはできない」「断るならキャンセル料をもらう」「派遣料だけもらう」といったように、結局は何もしていないのにお金を要求されるパターンもあります。
悪質な無料回収業者からすれば、理由など何でもよいのでお金を得たいのです。
「一度荷台に乗せたらキャンセル料が発生する」「派遣されたら費用が発生する」等、当初は聞いていない、何ら根拠のない料金を請求されることもあります。
無料回収業者を利用しない方が良い理由
このように、無料回収業者を利用することでトラブルに発展するケースは多々確認されています。
他にも理由があるので無料回収業者の利用は控えた方がよいでしょう。
許可を得ていない業者が多い
ゴミや不用品の回収は、それこそトラック一台あればすぐにでも行えるのですが、事業として行う場合、「一般産業廃棄物収集運搬業」の認可が必要です。
しかし、無料回収を謳っている業者の多くは一般産業廃棄物収集運搬業の認可を得ていません。
認可を受けている業者であれば責任感がありますが、認可を受けていない業者は責任感がありません。
ですので、トラブルに発展する可能性が高いです。
契約書や領収書を残してくれない
無料回収業者は、契約書はおろか領収書やレシートを残しません。
つまり、引き取り・回収をした「証拠」を残さないので、利用者は泣き寝入りするしかありません。
健全な業者であれば契約書、譲渡証明書、あるいは仮にお金がかかった場合には領収書を残すものです。
ですが、無料回収業者はそれらを残しませんので、後で動こうにも何もできません。
処分を依頼したものの、やっぱり大切なものだからと取り戻そうとしても証拠がないので、対処してもらえる可能性は限りなく低いでしょう。
責任が自分に向けられる可能性がある
無料回収業者に自転車の処分を依頼したものの、業者が自転車を不法投棄したことで、防犯登録から持ち主である依頼者に連絡が来たというケースがあります。
その際、不法投棄したのではと疑われることでしょう。
自転車以外にも、持ち主としての痕跡がある物を無料回収業者がどこかに不法投棄した場合、客観的にみれば「持ち主が不法投棄した」となります。
ですので、こちらに責任が向けられる可能性があります。
無料回収業者を頼る必要がない理由
無料回収業者は利用しやすいかもしれませんが、これまで紹介した理由から、あまり利用しない方が良い業者であることが分かるのではないでしょうか。
そもそも、無料回収業者に依頼せずとも不用品やゴミの処分は可能なので、わざわざリスクを冒してまで頼る必要はありません。
フリマアプリ等を活用する
かつて不用品の処分を自治体以外で行うとなれば手間がかかるものでした。
しかし昨今はフリマアプリ、オークションサイト等、個人売買の場が多々あります。
わざわざ無料回収業者を頼らなくとも、自分で処分できるだけではなく、場合によっては利益を手にすることもできます。
不用品回収業者を活用する
リスクのある無料回収業者を利用するよりも、一般産業廃棄物収集運搬業の許認可を得ている健全な不用品回収業者に依頼した方が安全です。
自治体のルールに従って処分する
自治体のルールに従って処分すれば、手間はかかりますがトラブルに発展する可能性は低いです。
自治体のホームページには不用品処分のルールが記載されていますので、よく確認して自分で処分するのも良いでしょう。
ゴミの引き取りや無料回収についてのまとめ
ゴミの無料回収・引き取りを行っている業者は無料で回収して転売したり、あるいは無料を餌に、利用者から金銭を得ようともくろんでいるケースが多いです。
実際トラブル事例も多々報告されていますので、気軽に利用できる存在ではあっても利用は控えた方が良いでしょう。
無料回収業者を利用せずとも、不用品やゴミを処分する方法は他にも多々あります。