日々の生活に欠かせないゴミ出しですが、朝早くにゴミの回収時間が定められている自治体が多く、仕事で帰りが遅い、夜勤がある、という方にとっては朝早くにゴミ出しすることが難しいという方も少なくないでしょう。
そのような場合、回収日前日の夜にゴミ出しを考える方が多いと思いますが、自治体のルールに違反した夜のゴミ出しは違法にあたるのでしょうか。
ゴミ回収日前日の夜のゴミ出しは違法なのか、夜にゴミ出しを行うとどのようなリスクがあるのかについて詳しく解説していきます。
目次
夜のゴミ出しは違法になることもある
夜のゴミ出しは、基本的には違法行為にあたります。「廃棄物処理法」と「軽犯罪法」という2つの法律に抵触する場合があるため注意が必要です。
夜のゴミ出しは「廃棄物処理法」違反
廃棄物処理法とは廃棄物の処理や保管、処分に関する法律で、正式名称を「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」といいます。廃棄物処理法第十六条では「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」とされており、ルールを守らないゴミ出しは法律違反です。
また、第六条の二には「市町村が行う一般廃棄物の収集、運搬及び処分に協力しなければならない」とも明記されているため、ゴミの分別やゴミ出しの仕方などは、お住まいの自治体のルールに必ず従う必要があります。
夜のゴミ出しは「軽犯罪法」違反
夜のゴミ出しは「軽犯罪法」にもあたる不法行為です。軽犯罪法は比較的軽い秩序違反に対して刑罰を科す法律で、33種類の禁止行為への罰則が定められています。
第一条の二十七では「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」は拘留または科料に処すると記されており、ルール違反のゴミ出しは軽犯罪法違反に該当します。
指定日以外のゴミ出しは違法?
指定日以外のゴミ出しも、廃棄物処理法や軽犯罪法違反に該当する可能性が高いです。これらの法律では「みだりに」ゴミを捨てることを禁じており、法律の趣旨を鑑みて社会的に許容されるか否かが一般的な判断基準となります。
地域が定められたゴミ出しのルールを守らずに指定日以外にゴミ出しをすることは、みだりなゴミ出しに該当するといえるでしょう。
廃棄物処理法違反の場合は5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、またはこれの併科となり、軽犯罪法違反では1000円以上10000円未満の金銭的納付または拘留となるため、地域のルールを守りましょう。
地域やマンションのルールによって夜のゴミ出しルールが違法でないことも
地域やマンションによっては、夜にゴミ出しをしてもOKというルールを定めている場合があります。詳しい例を見ていきましょう。
夜のゴミ出しが認められている地域の例
福岡県福岡市では、指定日の日没から夜12時までにゴミを出すよう定めています。福岡市ではゴミ収集車が夜間に収集作業を行っているため、日中ではなく夜に出すよう指定されているのです。福岡市の夜間収集には、交通渋滞の回避や日中に増えるカラス被害への対処などの目的があります。
しかし、夜間収集を行う自治体は少なく、多くの自治体は朝にゴミを出すよう定めています。
朝〇時から〇時までと指定がある自治体
朝のゴミ出しが可能な時間帯を「朝〇時から〇時まで」と明記している自治体があります。たとえば、兵庫県神戸市では収集日当日の午前5時~8時に、山形県山形市は午前6時~8時にゴミを出すよう指示しています。
開始時間がはっきりと定められているので、これらの自治体にお住いの人はゴミ出し可能な時間帯の判断に迷うことはないでしょう。定められた時間内にゴミを出すことが大切です。
朝〇時までと決めている自治体
神奈川県横浜市や静岡県静岡市のように、「朝8時まで」「朝8時半まで」などと締め切り時間だけが設定されている自治体も多く見られます。この場合、「朝〇時から」というスタート時間は明記されていません。
何時からでもよいのなら深夜1時などでもOKなのでは? と考える人もいるかもしれませんが、マナー違反なのでやめましょう。夜間のゴミ出しは、後述するように害獣・害虫による被害や近隣トラブルなどの原因にもなります。
アパートやマンションでの規約例
アパートやマンションが独自のゴミ出しの指針を定めているケースもあり、24時間いつでもゴミ出しOKという管理規約がある物件も見られます。その場合には、もちろん夜のゴミ出しが可能です。
ただし、24時間ゴミ出しができるマンションは限られています。居住者以外が侵入できないゴミ捨て場になっていることや、ゴミのニオイが拡散しにくい構造になっていることなどの条件を満たさない場合はゴミ出しの時間帯を指定しているケースが大半です。
夜間や指定日以外などいつでもゴミ出しできるマンションでも行政のゴミ収集日は周辺の住宅と同じであるため、収集日が来るまでゴミが収集されることはありません。そのため、他の入居者の迷惑にならない範囲でゴミ出しをするのがマナーです。
夜にゴミ出しをしない方が良い理由
自治体によって定められた曜日や時間帯を守らずに夜にゴミ出しを行う場合、そのゴミが原因で路上にゴミが散乱したり、ご近所さんとのトラブルの火種になったりなど、様々なリスクが発生します。
以下にそのリスクとなる要因をまとめました。
猫やカラスによる被害
夜のゴミ出しで最も気をつけたいのが、猫やカラスによる被害です。
猫やカラスがゴミ袋を破り、中のゴミが道路に散乱している光景を一度は目にしたことがある方も少なくないでしょう。
とくに生ゴミや残飯などが透明なゴミ袋に入れられている場合、猫やカラスが反応して漁る場合があるため注意が必要です。
それらのゴミが道路に散乱するとハエや害虫などを引き寄せるなど、衛生面においても悪影響を及ぼす可能性があります。
放火や騒音のリスク
夜のゴミ出しで危険なのが、放火による火災のリスクです。放火とは故意的にゴミや建物に火をつける行為であり、現住建造物放火罪または非現住建造物放火罪に該当する犯罪です。
放火犯には火事を起こすことに興奮や満足感を感じる人が多い傾向があり、ゴミが置きっぱなしになっている場所や敷地外から容易に侵入できる場所を好むといわれています。放火が狙われるのは深夜から未明にかけての時間帯が多く、可燃ゴミや平積みされた雑誌、新聞紙など、簡単に火がつきやすいものが放置されていると非常に危険です。
また、夜間は音が響きやすいため、ゴミ出し時の物音も問題になり得ます。騒音は近隣トラブルの代表的格でもあるため、夜間のゴミ出しは避けましょう。
健康への被害
安易な夜のゴミ出しが、思わぬ健康被害の引き金にもなり得ます。
ゴミの回収ルールを守らず大量のゴミが置きっぱなしにされると、ゴキブリやハエなどの害虫が大量に発生するおそれがあります。これらの害虫は見た目に不快なだけでなく、感染症などを蔓延させて健康被害をもたらす場合があります。
たとえば、ゴキブリの体や糞、死骸にはサルモネラ菌や赤痢菌が付着しており、ゴキブリを媒介した感染症に注意が必要です。ハウスダストやカビなどのアレルゲンも付着しているため、喘息やアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の原因にもなります。
夜に出したゴミから悪臭が発生
夜にゴミを出すと行政の収集までに長い時間がかかるため、悪臭が発生しやすくなります。とくに夏場の高温多湿な環境は雑菌が繁殖しやすく、生ゴミや残飯の臭いが周囲に漏れ出る可能性が高まります。
悪臭を和らげるためには生ゴミの水気を切って捨てたり、小袋に密閉してから大きなゴミ袋に入れたりといった工夫が可能です。しかし、これらの対策をしても長時間ゴミを置きっぱなしにすれば悪臭を完全に防ぐことは困難です。
不法投棄の誘発につながる
夜のゴミ出しは、不法投棄を誘発するリスクがあります。そもそも夜のゴミ出し自体が不法投棄に該当し得るものですが、放置されたひとつのゴミがさらなる不法投棄につながります。
環境犯罪学には「割れ窓理論」という考え方があり、夜のゴミ出しは割れ窓理論の観点からも注意が必要です。この理論は割れた窓が放置されていると罪悪感が薄れて他の窓も割られたり犯罪がエスカレートしやすくなったりするというもので、ゴミが放置されている場所には抵抗感なく不法投棄が行われる可能性が高まります。
通行人のポイ捨てやルールを守らないゴミ出しの増加といった不法投棄の連鎖を防ぐため、夜のゴミ出しはやめましょう。
近隣トラブルに発展することも
夜にゴミ出しをすると、近隣トラブルに発展する可能性が高いです。
ルール違反で長時間放置されていたゴミがカラスに荒らされたり、ひどい悪臭を出したりすれば、周辺住民が不快に思うのは当然といえるでしょう。ゴミを出すときの騒音で夜の眠りを妨げられたり、放火のリスクに不安を感じたりすれば、周辺住民からの悪感情は避けられません。
特にその地域に新しく越してきたばかりの場合、自治体のゴミ回収ルールだけではなく、ご近所さん同士で暗黙のルールとなっている事柄を知っておくと良いかもしれません。「ゴミの回収後はホースで水を撒く」といった独自のマナーを作っているコミュニティもあるので、ご近所さんに確認することをおすすめします。
ゴミ捨ては毎週のことだからこそ、普段からのコミュニケーションがご近所トラブルを回避することにもつながります。
夜のゴミ出しができないときの対処法
夜にゴミを出せない人は、次の5つの対処法を検討しましょう。
自治体のゴミ処理施設に持ち込み処分
自治体のゴミ処理施設に持ち込んで、有料で処分してもらう方法です。受け入れ可能なゴミ処理施設は、自治体のホームページや役所の担当部署への電話問い合わせなどで確認しましょう。
たとえば、神奈川県大和市では大和市環境管理センターで、月~土曜日に家庭ゴミの収集を10kgまでごとに200円で受け付けています。家庭ゴミの持ち込みの可否は施設ごとに異なっており、受付時間や料金、事前予約の有無なども異なります。実際に持ち込む前にゴミ処理施設のルールを確認しておきましょう。
朝ゴミ出しできる日までためておく
普段は指定日のゴミ出しができない人でも、仕事のシフトなどの都合によっては朝の時間帯がフリーになる場合があります。そのようなケースでは、ゴミ出し可能な日までゴミをためておきましょう。
生ゴミをためる際には、悪臭対策が欠かせません。生ゴミをきつく絞って水分を抜き、重曹やコーヒーの出がらしを振りかけて消臭対策してから二重のゴミ袋で密閉するなどの対策をとると、ニオイが出にくくなります。
完全にニオイを抑えるのは難しいので、根本的な対策をするのであればコンポスト(生ゴミ処理機)を購入するのがおすすめです。生ゴミを有機肥料として活用でき、ニオイの悩みがなくなります。価格は数千円から5万円程度ですが、自治体によっては助成金が出る場合もあります。
スーパーなどの回収ボックスを活用する
食品容器の発泡スチロールトレイやペットボトル、古紙などリサイクル資源となるゴミは、スーパーの回収ボックスでの処分が可能です。西友やイオンなどの店舗には、回収ボックスや回収ステーションが併設されています。
回収ボックスを活用する際は、回収ボックスに明記されたルールを守ることが欠かせません。回収できないものを投入しない、トレイやペットボトルは必ず洗って乾かしてから投入するなどのルールがあります。
自分で持ち込む手間はかかりますが、環境への配慮とともにかさばるゴミを好きなタイミングで処分できるのがメリットです。
近所の人や友人にゴミ出しを頼む
可能であれば、近所の人や友人にゴミ出しをしてもらうのもひとつです。
毎回のゴミ出しとなると相手の迷惑になりかねませんし、ゴミの種類によっては見られたくない場合もあるでしょう。ケースバイケースで回数を絞ってお願いし、感謝の言葉やちょっとしたお礼などの配慮をすると安心です。
ニオイの気になるゴミや分別不十分なゴミを預かってもらうのは、相手への大きな負担になるので避けましょう。
不用品回収業者に引き取ってもらう
費用はかかりますが、不用品回収業者にゴミを引き取ってもらうのはとても便利な方法です。電話やインターネットからの問い合わせひとつで自分の都合の良い日程・時間帯にゴミを引き取りに来てくれて、大型家具や家電なども手軽に捨てられます。
ただし、多くの不用品回収業者では生ゴミの回収は行っていないので事前の確認が必要です。ゴミ屋敷清掃を行っている業者は清掃業務の一部として生ゴミの処分にも対応しているので、生ゴミの引き取りが可能な場合があります。
単品回収の費用は基本料金3000円程度に加えて、ゴミの種類に応じた数千円単位の単品回収がかかります。地域や時期によっても費用は違うので、気になる業者に問い合わせて確認してみましょう。
夜のゴミ出しができない地域でやってはいけないこと
夜にゴミを出せない地域にお住いの人に向けて、やってはいけないゴミの出し方を解説します。
ルールを無視して夜にゴミ出しをする
これまでお伝えした通り、夜にゴミを出すのはやめましょう。廃棄物処理法や軽犯罪法違反になるほか、害獣・害虫被害や放火、近隣トラブルなどさまざまな問題を引き起こしかねません。
自治体のゴミ処理場への持ち込み処分や出せる日にまとめて出す、近隣の人に代理で出してもらうなどの工夫をして、地域のルールに従ってください。
コンビニやスーパーに家庭ごみを出す
コンビニやスーパーなどのゴミ箱に、家庭ゴミを捨ててはいけません。店舗に備え付けられたゴミ箱はその店舗で購入した飲食物などの容器や包装を捨てるための顧客サービスであり、家庭から出たゴミを捨てるためのものではないからです。
コンビニやスーパーのゴミ箱に「家庭ゴミお断り」という張り紙がされているのを見たことがある人も多いかもしれません。店舗で発生したゴミは産業廃棄物や事業系一般廃棄物となり、店舗が有料でゴミ処分を行っています。
勝手に家庭ゴミを捨てると不法投棄になってしまうので、絶対にやめましょう。
夜に出せないゴミは七福神にお任せください
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まとめ
夜のゴミ出しは廃棄物処理法や軽犯罪法に違反する不法行為となるため、行ってはいけません。ただし、福岡市のように夜にゴミを出すよう指定している場合やアパート・マンションの管理規約によって夜間でもゴミ出し可能な場合などでは法律違反になることはありません。お住いの地域のルールに従いましょう。
ルールを無視して夜にゴミを出すと、害獣・害虫の被害や放火、騒音・悪臭トラブルや健康被害などさまざまなリスクにつながります。どうしても指定日の朝に出せない人は自分でゴミ処理場に持ち込み処分をしたり、不用品回収業者に依頼したりといった対処法を検討しましょう。
近隣トラブルや犯罪などの危険を避けるため、自分に合った方法で適切にゴミを処分することが大切です。