蒲郡市は、愛知県の東三河地方にある都市です。
三河湾に面しており、ボートレース蒲郡やリゾート施設・ラグーナテンボス、テーマパーク・ラグナシアがあります。
西浦・三谷・形原・蒲郡の4つの温泉街で知られる、県内有数の観光地です。
そんな蒲郡市には、ゴミ屋敷に関する条例があります。
どんな内容なのでしょうか。
目次
愛知県蒲郡市のゴミ屋敷に関する条例とは?
蒲郡市のゴミ屋敷に関する条例は、正式には「蒲郡市住居等の不良な生活環境を解消するための条例」といいます。
平成30(2018)年7月1日に施行された、比較的新しい条例です。
条例が制定された背景とは?
ゴミ屋敷は、大量のモノが集まり、住居やその敷地に片付けず積んでいます。
このようなゴミ屋敷は、生活環境を損ね、周辺の生活環境にも悪影響を与えます。
そのため、ゴミ屋敷問題の解決は地域の課題となっています。
しかし、これまで法令根拠がなく、敷地内に堆積しモノを撤去するには、ゴミ屋敷の居住者等の同意を得る必要がありました。
中には同意を得られない事例があったり、同意が得られても、実際に撤去を行うまでに時間がかかるなどの課題があったのです。
2018年までに、蒲郡市においても5件のゴミ屋敷案件に対応しています。
そのなかでも部分的な撤去にとどまっているものもあり、全面的な解決には至っていません。
そこで、このようなゴミ屋敷などの不良な生活環境を解消し、市民が安心・安全で快適な生活環境を確保するために必要な事項を定め、平成30年3月議会で可決・制定されました。
蒲郡市における「ゴミ屋敷」とは?
愛知県蒲郡市では、どのような案件を「ゴミ屋敷」としているのでしょうか。
「ゴミ屋敷」とは、大量のモノを収集し、住居やその敷地に堆積させることです。
衛生・防災・防犯上において支障が生じるレベルの良くない状態になっている建物・状態のことをいいます。
具体的には、以下の事があります。
- 害虫、ねずみなどの害獣が発生、または悪臭が発生している状態
- 火災の発生、堆積された物品などの崩壊や、不法投棄のおそれがある状態
- 景観を著しく毀損している状態
「蒲郡市住居等の不良な生活環境を解消するための条例」の目的・定義
「蒲郡市住居等の不良な生活環境を解消するための条例」の目的や定義に関して解説します。
条例の目的とは?(第1条)
住居などの不良な生活環境を解消するために必要な事項を定めています。
そうすることによって、その状態の解消を推進し、市民の安心・安全で快適な生活環境の確保に寄与することを目的として定められました。
条例における定義とは?(第2条)
条例における定義を説明します。
住居等(第1項)
市内にある建築物、またこれに附属する工作物であり、現に居住用として使用されているものをいいます。
また、その建築物が建っている敷地(立木その他の土地に定着するものを含む)、及びこれに隣接する土地を指します。
居住者等(第2項)
住居等に住んでいる人、またはその建物の所有者・管理者を指します。
不良な生活環境(第3項)
物を堆積したり放置し、樹木や雑草が繁茂したりすることで、周辺の生活環境が衛生・防災・防犯上において支障が生じる程度に不良な状態をいいます。
具体的には、以下のような状態です。
- 害虫、ねずみなどの害獣が発生、または悪臭が発生している状態
- 火災の発生、堆積された物品などの崩壊や、不法投棄の恐れがある状態
- 景観を著しく毀損している状態
不法投棄とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律・第16条の規定に違反し、廃棄物を捨てることを指します。
この条文から、「不良な生活環境」がゴミ屋敷を指していることがわかります。
「蒲郡市住居等の不良な生活環境を解消するための条例」での責務
条例の各々の責務に関して解説します。
市(第3条)
市は、地域住民や関係機関と協力して、住居等の不良な生活環境の解消及び発生の防止に努めなくてはなりません。
また、この条例の目的を達成するために必要な対策を総合的に推進しなければなりません。
市民及び居住者等の責務(第4条)
市民及び居住者等は、居住・所有・また管理する住居等が不良な生活環境とならないよう以下のように努めなければなりません。
- 市民や居住者等は、住居等の不良な生活環境を生じさせてしまったときは、自ら、速やかにその状態の解消に努める(第2項)
- 市民及び居住者等は、この条例の目的を達成するため、市が実施する取組に協力するよう努める(第3項)
「蒲郡市住居等の不良な生活環境を解消するための条例」の調査について
第3条、第4条で、以下のことを定めています。
- 市、市民、居住者は、お互いに協力し合い、ゴミ屋敷が発生しないように努力する
- 移民や居住者がもしもゴミ屋敷を発生してしまったら、すぐに自分で片付けなくてはならない
もし、これらに反してしまった場合、どのような罰則が課せられるのでしょうか。
調査・報告の徴収等(第5条)
市長は、住居等が不良な生活環境に該当したり、不良な生活環境に該当する恐れがある場合は、必要な限度において以下の点を調査をすることができます。
- 住居等の所有関係や居住者の親族関係
- 福祉保健に関する制度の利用状況
調査をするほか、当該居住者その他の関係者に対し報告を求めることもできます。
立入調査等(第6条)
市長は、住居等が不良な生活環境に該当したり、不良な生活環境に該当するおそれがあると認めることがあります。
そのときは、必要な限度において、市長が指定する職員に立ち入り調査をさせることができます。
または、その状況について、関係者に質問させることができます。
居住者等が、この規定による立ち入り調査を拒否したり、妨げたり、質問に対して答えない・または嘘を答える場合があります。
その場合、次の点を公表することができます。
- 居住者等の氏名・住所
- 住居等の所在地
- 住居等の状態
- 市長が必要と認める事項
「蒲郡市住居等の不良な生活環境を解消するための条例」の支援と罰則
条例に関する支援と罰則について解説します。
支援(第7条)
市長は、住居等の不良な生活環境の解消・発生防止のため、居住者等に対し、必要な情報の提供や助言など、必要な支援を行うことができます。
ゴミ屋敷を発生させた居住者等が、疾病・障害・その他の理由により自分で片付けができない場合、市長は、居住者等の申し出に基づき、ゴミの排出や、その他の必要な支援を行うことができます。(第2項)
指導・勧告(第8条)
市長は、ゴミ屋敷を生じさせた居住者等に対し、この生活環境を解消するために必要な措置をとるよう指導を行うことができます。
この指導は、「蒲郡市住居等の不良な生活環境を解消するための指導書」によって行います。
指導を行ったにもかかわらず、不良な生活環境が解消しない場合、指導を受けた者に対し、期限を定めて不良な生活環境を解消するために必要な措置をとるよう勧告することができます。
この勧告は、「蒲郡市住居等の不良な生活環境を解消するための勧告書」によって行います。
命令・公表(第9条)
市長は、勧告を受けた者が、正当な理由なく勧告に係る措置をとらなかった場合、その者に対し相当の期限を定めて、当該勧告に係る措置をとるよう命ずることができます。
市長は、命令を受けた人が従わないときは、以下の点を公表することができます。
- 命令を受けた者の氏名・住所
- 不良な生活環境にある住居等の所在地
- 不良な生活環境の内容
- 命令の内容
- 市長が必要と認める事項
ただし、命令を受けた者には、弁明をする機会が与えられます。
この弁明は、弁明書または口頭によって行われます。
弁明書の場合その提出期限、口頭による意見を述べる機会を付与する場合はその日時までに相当な期間をおき、命令に係る弁明の機会付与通知書によって通知されます。
この通知を受けて意見を述べようとする者は、公表に係る意見書により意見を述べることができます。
代執行(第10条)
市長は、命令を受けた者がその措置を行わず、次の場合、「行政代執行法」の規定により、命令を受けた者が行うべき行為を行わせることができます。
- 他の手段によって命令内容を行うことが困難
- この状態を放置することが条例の目的に著しく反すると認められる
または、第三者にこれを行わせ、その費用を当該命令を受けた者から徴収することができます。
「蒲郡市住居等の不良な生活環境を解消するための条例」の審議会について(第9条)
市は、この条例に関して「蒲郡市住居等の不良な生活環境を解消するための支援及び措置に関する審議会」を設置しています。
この審議会には会長・副会長を置き、委員の互選によって定めます。
審議会は、会長の招集によって会議を開き、必要事項について話し合います。
この会議は、委員の半数以上の出席がなければ開くことができません。
また、会議の議事は、出席委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長が決定します。
また、会長が必要と認めるときは、委員以外の者を会議に出席させ、その意見や説明を聴くことができます。
まとめ
蒲郡市のゴミ屋敷に関する条例は、正式には「蒲郡市住居等の不良な生活環境を解消するための条例」といい平成30(2018)年7月1日に施行されました。
条文の中には「ゴミ屋敷」というワードは使われていません。
ですが、蒲郡市ホームページでは「いわゆるごみ屋敷条例」と注釈がつけられており、条例の内容もゴミ屋敷に関する内容に特化されています。