ゴミ屋敷には様々な問題が潜んでいますが、火災リスクもその一つです。
ゴミ屋敷の住人から、「景観こそ悪いものの、周囲に迷惑をかけている訳ではない」といったコメントを聞くこともあります。
しかし、実際には見た目だけではなく、火災や臭いといった様々なデメリット・リスクが潜んでいます。
今回はリスクの中でも、実際に起きた時、周辺に多大な迷惑をかけることになる火災について考えてみましょう。
目次
ゴミ屋敷に潜む火災のリスクとは?
通常の家屋と比較すると、ゴミ屋敷には火災が起きやすく、起きた場合の被害が大きくなるリスクが潜んでいます。
ゴミ屋敷に潜む具体的な火災のリスクを4つご紹介しましょう。
ゴミ屋敷は火災に気付きにくい
ゴミ屋敷には物が溢れており、住人でさえどこに何があるのか、ほとんど把握できていないでしょう。
つまり、ゴミに何が起きても気付かないことから、火災が起きたとしても初期段階で気付きにくいです。
一般的な火災の場合、煙、あるいは火の気などのちょっとした異変に気付き、早い段階で消化できるケースもあります。
しかしゴミ屋敷の場合、物や家屋の状態がわからないので、状況把握が難しいです。
さらにゴミ屋敷はゴミが溜まっていることから異臭を放っているケースも多くあります。
火災が起きているとしても、煙の臭いにすばやく気付けずにそのまま燃え広がり、大きな火災となってしまうケースがあります。
ゴミ屋敷火災はが広がりやすい
燃える物がなければ火は起きません。
強力な炎でも、空気を燃やすことはできませんが、燃える物があれば火は瞬く間に広がります。
ゴミ屋敷は物が積み重なって溢れているので、一度何かに引火してしまうと、瞬く間に炎が広がってしまいます。
不燃性の物ばかりであれば良いでしょう。
しかし衣服等の燃えるゴミが山積されている場合、簡単に引火し、火の勢いを加速させてしまいかねません。
周辺で火災が起きた場合も同様です。
ゴミ屋敷の周辺の家屋などで発生した火災の火が、ゴミ屋敷に飛び火してしまった場合、物が多いので火災がより広がってしまいます。
ゴミ屋敷はトラッキング火災のリスクも高い
ゴミ屋敷は物が溢れているだけではなく、掃除ができない状態でほこりが蓄積されているケースも多いです。
ゴミ屋敷では、電化製品のコンセントプラグにほこりが溜まっていても不思議ではありません。
そのほこりこそ、電気コンセントでの小さな火花から発生するトラッキング火災の原因です。
そもそもゴミ屋敷の場合、コンセントプラグそのものもゴミに埋もれているケースも多く、トラッキング火災が起こりやすい状況です。
そして、上の項目でもお伝えしたように火災の発生に気付きにくく、気付いたときには大きな火災となっているリスクもあります。
ゴミ屋敷は放火されても気付きにくい
一般的な家庭であれば、仮に放火されたとしてもすぐに気付く可能性が高いでしょう。
視覚的に火に気付いたり、煙やコゲの臭いがしたり、あるいは警報装置等、何らかの形で早期に気付く可能性もあります。
しかし、ゴミ屋敷は放火されても気付きにくいです。
また、ゴミ屋敷だからと通行人が敷地内に吸い殻を捨てて火災に発展するケースもあります。
ゴミ屋敷は住人が自宅の状況を把握できていないことから、放火に気付きにくく、気付いた時には大惨事に発展するケースも起こりうるでしょう。
ゴミ屋敷火災は実際に起きている!
ゴミ屋敷火災は決して机上の空論ではなく、現実に起きています。
実際に起きたゴミ屋敷火災についてご紹介しましょう。
ゴミ屋敷での火災その1:福島県郡山市のゴミ屋敷
2016年6月、福島県郡山市のゴミ屋敷にて火災が発生しました。
実はこのゴミ屋敷、近隣住民からの通報で、住人に強制撤去の通達が出ていました。
しかし住人は通達を無視してそのままゴミ屋敷に住み続けていたとのことです。
火災の発生原因は不明ですが、住人である74歳の男性が死亡しました。
23時頃に火災が発生していることから、火災に気付かずに寝ていた可能性が高く、初期消火もできなかったようです。
ゴミ屋敷での火災その2:福島県いわき市のゴミ屋敷
2017年3月、福島県いわき市のゴミ屋敷にて火災が発生しました。
木造2階建て住宅1棟が全焼したとのことですが、21時頃の発生で、先の郡山市のゴミ屋敷火災よりも早い時間であったことから、早期に気付くことができたようで10分で鎮火したようです。
幸いにも住人を含めて犠牲者は出ませんでした。
ゴミ屋敷での火災その3:愛知県豊田市のゴミ屋敷
2015年8月、愛知県豊田市で起きたゴミ屋敷火災では、当のゴミ屋敷だけではなく両隣の住宅まで全焼してしまいました。
実はこちらのゴミ屋敷では以前にも何度かボヤ騒ぎがあったらしく、近隣住人からは火災リスクが懸念されていました。
しかし、いったん夜間に火災が起きると、火の勢いはゴミ屋敷だけではなく両隣の住宅にも届き、他人の住居を巻き添えにしてしまいました。
ゴミ屋敷火災の予防方法は?
ゴミ屋敷火災の一番の予防方法はやはり、ゴミを撤去することです。
ゴミが溢れているということは、「火が付くものが大量にある」ことを意味しています。
ゴミがなければ、それだけで火災リスクは低下します。
自己の過失であれ放火であれ、火災はすぐに気付いて消火することで被害を最小限に食い止められます。
ですから、不要なものを撤去することこそが火災の予防です。
ではゴミを片付けるためには何が必要なのでしょうか。
主に下記の方法が挙げられます。
友人や知人、家族に相談してみる
恥ずかしいかもしれませんが、頼れる存在に相談してゴミ屋敷の掃除を手伝ってもらいましょう。
初めは文句を言われたり、あるいは嫌な顔をされるかもしれません。
でもゴミ屋敷のままでは火災リスクはもちろんのこと、周囲への環境等、悪影響をまき散らしている状態です。
友人や知人、家族に頭を下げて頼んでみましょう。
自治体に相談してみる
近年、自治体もゴミ屋敷対策に本腰を入れています。
ゴミ屋敷の処理に関する条例を制定した自治体が多いのも、ゴミ屋敷を何とかしたいからこそです。
一度、掃除をする意思はあるけど何をすればよいのか分からないと自治体に相談してみましょう。
そうすることで、自治体が用意している様々な支援を受けることができます。
経済的な支援を用意している自治体もありますので、問い合わせてみましょう。
ゴミ屋敷の片付け・清掃専門業者に相談する
ゴミ屋敷の片付け・清掃を行う専門業者に相談するのもひとつの手でしょう。
ゴミ屋敷専門業者の場合、お金はかかりますが文句を言われることはありません。
あくまでもビジネスだと割り切って掃除を実行してくれます。
自治体のように支援のための細かな条件もありません。
依頼さえしてしまえば誰もが片付け・清掃のサービスを受けることができます。
火災から守るためにはゴミ屋敷の改善を
ゴミ屋敷には臭いや景観を損ねている点など様々なデメリットがありますが、火災に関しては住人だけではなく、周囲の人間や財産を巻き込むリスクがあります。
実際、愛知県豊田市でのゴミ屋敷火災のように、周囲の住宅を巻き込んだゴミ屋敷火災も発生しています。
物が溢れているゴミ屋敷は火災が起きても気付きにくいことから、自身の過失だけではなく、ポイ捨て等から大きな火災に発展する可能性もありますのでゴミ屋敷の改善に努めてみましょう。
ゴミ屋敷を改善できれば、自ずと火災リスクだけではなく周辺住民への悪影響リスクも低下します。
自力でのゴミ撤去が難しいのであれば、先に紹介した方法で自治体やゴミ屋敷専門業者に相談してみるのも良いでしょう。
ゴミ屋敷をそのままにしておくことは、様々なリスクを抱えることになりますので、積極的に対策を考えていきましょう。