アイスクリーム・冷凍ケーキを購入した時や、食品の宅配ボックスに入っていることが多い「ドライアイス」。
優れた保冷力を持っていますが、いざ処分するとなると捨て方に困るものの一つです。
そんなドライアイス、捨て方には注意が必要です。
氷と同じ扱いをすると、怪我などのトラブルにつながる可能性があります。
この記事では、ドライアイスの特徴や正しい捨て方、処分時の注意点について詳しく解説します。
ドライアイスの適切な取り扱い方法を知って、安全に処分しましょう。
目次
ドライアイスとは
正しい捨て方の前に、ドライアイスの性質を知っておくことが大切です。
ドライアイスとはどんなものなのか、その特徴をひとつずつ見ていきましょう。
正体は二酸化炭素
ドライアイスと聞くと、氷と同じようなイメージを持つ方もいるのではないでしょうか。
しかし実際は、性質も素材もまったく異なります。
氷は水のみで作られているのに対し、ドライアイスは「二酸化炭素」が主な成分です。
ドライアイスは、二酸化炭素が固体になったもので、氷よりも冷たく、その温度は-79℃にもなります。
溶けて水になる氷とは違い、二酸化炭素で作られているドライアイスは液体化しません。
溶けたドライアイスは気化(昇華)し、気体に戻ります。
ドライアイスの白い煙は水
ドライアイスが溶け始めると、白い煙が発生することがありますが、実は白い煙の正体は二酸化炭素ではなく「水」です。
ドライアイスによって冷やされた水や水蒸気が粒になり、空気中に放出されることで、白い煙となって現れます。
ドライアイスを処分する際の注意点
氷とはまったく別物のドライアイスは、扱い方にも注意が必要です。
処理方法を誤ると、思わぬ怪我や事故につながります。
素手で触らない
ドライアイスの正しい扱い方として、「素手で触らない」ことは大前提です。
ドライアイスは-79℃の超低温で、冷たさは氷の比になりません。
手袋せずにそのまま素手で触れてしまうと、ドライアイスがくっついて離れなくなります。
その結果、水ぶくれや凍傷を引き起こすこともあります。
ドライアイスのような超低温は、細胞を破壊するほどの威力を持っているのです。
凍傷を放置すると細胞が壊死し、最悪の場合、切断せざるを得ないケースもあります。
うっかり触ってしまった時は、かかりつけの医師に相談してください。
密封しない
ドライアイスは、溶けても液体にならずに気化します。
そのため、袋や容器に入れて密封すると、気体となった二酸化炭素の逃げ道がなくなり、非常に危険です。
ドライアイスの二酸化炭素が気化すると、体積は固体の約750倍にも膨れ上がります。
もし密封していた場合、容器や袋が破裂する可能性もあるのです。
ビニール袋はもちろん、空き箱やペットボトル、プラスチック製保存容器などに入れて保管・処理することは絶対に避けましょう。
ペットや子供の手が届く場所には置かない
少し触れただけでも、低温やけどを負う可能性があるドライアイス。
ペットや子供が誤って触ったり口に入れたりしないよう、置き場所にも注意しなくてはなりません。
東京消防庁によると、「ペットボトルにドライアイスを入れた破裂事故」が多く発生しています。
子供にとっては遊びのつもりでも、超低温のドライアイスに触れたり、気化した二酸化炭素を吸い込んだりすれば、凍傷や中毒症状を引き起こすリスクがあり非常に危険です。
ドライアイスからモクモクと出る白い煙は、小さな子供の好奇心をくすぐります。
「楽しそう」と手を伸ばし、素手で触れてしまう可能性もありますので、手の届かない場所に置くことを意識しましょう。
換気して、風通しを良くする
ドライアイスが溶けて気化すると、二酸化炭素が低い位置に溜まります。
二酸化炭素は空気よりも重いため、風通しが悪いと足元や床に滞留し、酸欠になる恐れがあります。
最悪の場合、二酸化炭素の濃度が上がって意識障害を起こし、命にかかわる事態を招くこともあるのです。
十分に換気できない室内は、ドライアイスを処分する場所としては不適切です。
屋外など風通しの良い場所で行うか、しっかり換気を行いましょう。
ドライアイスの正しい捨て方3選
取り扱いには注意する必要があるドライアイスですが、正しい捨て方を守れば安全に処分できます。
ドライアイスを扱う際は、必ず厚手の手袋を使用してください。
1.屋外に放置する
ドライアイスは、放置すれば気化して自然に溶けてなくなります。
ペットや子供の手が届かない場所であれば、屋外に置くのがもっとも手軽な捨て方です。
屋外に放置すれば、早ければ3時間程度で溶けきります。
ただし、雨の日にドライアイスを屋外へ出すと、水で濡れて白い煙がモクモクと発生します。
見た人によっては火事の煙に見えることもあるため、騒ぎにならないよう、水濡れしない場所に置くなどの配慮が必要です。
2.発泡スチロールに入れる
屋外に放置するのが難しい場合は、発泡スチロールの箱に入れておくのもひとつです。
発泡スチロールに入れておくと、ドライアイスは気化して自然に消滅します。
ドライアイスの処分に使うのは、宅配やお取り寄せ、ふるさと納税の返礼品などが入っている、食品用の発泡スチロール箱が便利です。
発泡スチロールの箱が手元にない場合は、保冷ボックスでも代用できます。
3.水に入れる
ドライアイスを放置して自然気化させる捨て方は、手間がかからないメリットがありつつも、完全に溶けきるのに3時間程度かかります。
そこで、もっと短時間で処分したい場合は、水に入れる方法がおすすめです。
バケツやボウルを使って水とドライアイスを一緒に入れておくことで気化が早まり、放置して自然気化させるよりも早く処理できます。
ただし、気化が進む分、白い煙が大量に出てくるため、より徹底した換気は必須です。
また、火災と間違われないような配慮も必要です。
時間がかからない捨て方はある?
水に入れることでドライアイスを処理する時間は短くなりますが、さらに時短したい場合は以下の方法を試してみてください。
ドライアイスを砕いて小さくする
ドライアイスを細かく砕くことで表面積が増え、より溶けやすくなります。
ですがドライアイスは非常に固く、そのまま砕くと顔や体に飛び散ると危険です。
リスクを避けるためにも、ドライアイスは新聞紙などに包むのがポイント。
紙に包まれた状態でハンマーを使えば、ドライアイスが飛散することなく安全に砕くことができます。
ドライアイスを密着させずに置く
ドライアイス同士がくっついていると、空気に触れる面積が減り、溶けきるまでに時間がかかります。
早く処理したい時は、ドライアイスをできるだけ離して、密着しないように置くだけでも効果的です。
こんな捨て方は危険!NGな処分方法
ドライアイスを処分する際は、避けた方が良い捨て方もいくつかあります。
誤った処分方法は、事故やケガを引き起こす可能性もあるため危険です。
お湯をかけて捨てる
ドライアイスに熱いお湯をかければ早く溶けてなくなりそうな気もしますが、実は間違った捨て方のひとつです。
固体のドライアイスにお湯をかけて一気に気化すると、大量の二酸化炭素が発生します。
その際、急激な温度差によってドライアイスが熱湯とともに飛び散る恐れがあり、非常に危険です。
気持ちが早まっても、ドライアイスにお湯をかけるのはNG行為です。
シンクに捨てる
ドライアイスを台所のシンクに直接流すのも禁止です。
-79℃の超低温のドライアイスを流すと、シンクはもちろん排水管が破損する場合があります。
とくに、温度変化に弱い塩化ビニル素材のシンクや排水管は、ひび割れや破裂を引き起こす可能性もあるので、絶対にやめましょう。
ごみ回収に出す
不要になったからと言って、他の家庭ごみと一緒にゴミ回収に出すのは当然NGです。
ドライアイスをごみ袋に入れて密封すれば、気化した二酸化炭素で袋が膨らみ、破裂することも考えられます。
作業員や通行人に被害が及ぶため、間違ってもごみ回収に出してはいけません。
リスクを避けるためにも、正しい処分方法を選んでください。
ドライアイスを活用する方法も
捨て方や取り扱いには注意が必要なドライアイスですが、使って消費する方法もあります。
参考までに、家庭でできるおすすめの活用法を紹介します。
料理の演出に
コンサートや舞台などでよく見る白い煙の演出は、ドライアイスが気化する性質を上手く利用したものです。
アイスクリームなどに付いてくるドライアイスを利用すれば、ご家庭でも同じような演出を楽しめます。
料理やスイーツを食卓に出す時、ふたを開けると白い煙が出てくるサプライズは喜ばれそうですね。
即席のシャーベットに
ドライアイスをジュースと混ぜ合わせると、あっという間に冷たいシャーベットが出来上がります。
ドライアイスでジュースを凍らせながら、スプーンで混ぜるだけなので簡単です。
即席シャーベットを作る際は、必ず食用できるドライアイスを使用してください。
まとめ
ドライアイスは私たちの生活にある身近なものですが、取り扱いや捨て方には注意が必要です。
風通しの良さも含めて、リスクのない適切な場所・捨て方を選びましょう。
ドライアイスを処分する際の参考になれば幸いです。