汚部屋には様々なデメリットがありますが、虫が発生する点も挙げられます。
清潔な部屋には滅多に発生しないものの、汚部屋となれば目に見えない部分に様々な虫が居着いてしまうものです。 だからこそ、汚部屋にしないよう日常生活からの心掛けが大切です。
なぜ虫が湧くのか、その種類や撃退方法についてまとめてみました。
汚部屋に発生する虫の種類と退治の方法
汚部屋には様々な虫が発生します。
周辺環境に左右される部分もありますが、比較的よく見かける虫をご紹介します。
ハエ・コバエ
汚部屋で見かける虫の定番です。
ハエは汚部屋に限らず、汚い場所に発生する虫です。
その理由として、ハエは腐臭を好むからです。
人間にとっては思わず鼻をつまむような異臭も、ハエにとっては魅力的な匂いです。
そのため、以下のものもハエが好むものです。
- 生ゴミ
- キッチン・浴室のヘドロ
- お菓子の食べかす
綺麗にしているつもりではあっても、プラスチック容器に僅かに残った食べ残し、あるいはタレ等にも敏感に反応し、近寄ってきます。
さらに、近寄ってきたハエはそこに卵を産卵しますので、大量繁殖に繋がります。
またコバエは排水口などの水回りや生ゴミ、食べ残しだけにわくのではありません。アルコールや有機土を好むため、飲み残しのお酒や観葉植物などが植えられた植木鉢にもわくやっかいな害虫です。
水回りだけ清潔にしておけば良いというわけではないので、観葉植物にも注意しましょう。
ハエの退治・予防方法
ハエはドラッグストア等で販売されている殺虫剤等で簡単に退治が可能です。
また清潔を保っていればハエは近付いてきません。
ゴミをこまめに捨てたり、プラ容器等は水洗いし表面の汚れを除去してから捨てるなどを心掛けましょう。
ゴキブリ
ゴキブリは僅かな隙間があればどこでも侵入可能です。
また、ゴキブリは水や餌など生きるために必要なものを求めているだけではなく、メスに導かれて彷徨っているケースもあります。
なぜ汚部屋にゴキブリが出るのかといえば、生態系です。
ゴキブリは寒さと乾燥が苦手です。
つまり、ある程度暖かく、湿っている場所を好む傾向にあります。
汚部屋は、物が多いので防寒となり、かつ湿気があり、飲み残し等もあれば食料に困らない等、ゴキブリにとって居心地の良い環境が揃ってしまっています。
ゴキブリの退治・予防方法
ゴキブリの駆除・退治もドラッグストア等で販売されている駆除グッズで十分です。
しかし、大量のゴキブリが発生している場合、汚部屋の中で繁殖している可能性があります。
繁殖している場合、表面的な駆除・退治ではなく、環境の見直しなど根本的な対策が求められます。
ダニ
ダニは食べかすや皮脂等を餌にする虫です。
皮脂やフケを好むことから、布団を好むイメージが強いかもしれませんが、決して布団だけに発生する虫ではありません。
特に汚部屋はダニが好む物が揃っています。
また、繁殖する好条件も揃っています。
ダニは肉眼で確認できない大きさなので、外出した際に衣服、鞄等に付着し、家に侵入します。
そして汚部屋環境にて繁殖することで、常にダニの存在に悩まされることになります。
ダニの退治・予防方法
ダニは熱と乾燥に弱い虫です。
50度の熱であればおよそ20分程度、60度異常の熱であれば一瞬で死滅します。
そのため、こまめに布団を干すだけでも十分なダニ対策となります。
また、乾燥に弱い特質もあることから、布団乾燥機もダニ対策となります。
予防としてはダニ防止加工の布団やシーツを使ったり、ダニよけのスプレー等が効果的です。
蚊
蚊はボウフラという幼虫が成体になった害虫ですが、ボウフラは少しの水があると繁殖してしまいます。例えば空き缶やペットボトルの中に残った飲み残しや雨水だけでも、蚊はそこに卵を産んでボウフラが孵化してしまうので油断できません。
雨が降った後には家の周りに水たまりができるのはよく見る光景です。しかし、この水たまりを長期間放置しておくとボウフラがわいて蚊が繁殖してしまいます。
蚊は「デング熱」「日本脳炎「黄熱」など人間にとって危険な病気を媒介する可能性があり、身近でありながら危険を秘めた害虫といえるでしょう。
蚊の退治・予防方法
蚊は、小さな水たまりがあれば簡単に発生する害虫です。家の周りの水たまりは可能な限り長期間放置しないようにしましょう。水たまりがなければ蚊の発生は抑えられ、屋内への侵入も防げるからです。
蚊は小さいので網戸の隙間からでも屋内に侵入でき、完全にシャットアウトすることは難しいといえます。
屋外からの侵入を防ぐとともに、屋内の排水口や水回りを清潔に保つことも効果的な方法です。風呂場は換気を良くして壁や天井、床にたまった水を短時間で乾かすようにしてください。また台所は使用したら水分を拭き取って速乾性を促しましょう。
やけど虫
やけど虫は正式名称を「アオバアリガタハネカクシ」といい、大きさは7㎜程度ですが、触ると毒性の強い体液によってやけどのような痛みや腫れを発症させる害虫です。
やけど虫は湿った場所を好む特徴があり、屋外では水田・池などで多く見られます。この特徴から屋内でも似たような排水口や暗くて湿気の多い場所に発生する可能性があるので、やけど虫が生息しにくい環境にすることが重要です。
主な活動時期は春から秋にかけてとされていますが、そのなかでも特に活発になるのが6~8月でこの時期は湿気などに注意したほうが良いでしょう。
やけど虫の退治・予防方法
やけど虫は暗くて湿気の多い場所を好むことから、濡れた状態で長期間放置しないことが重要です。
またやけど虫は夜になると街灯のような光に集まってくる習性があります。そのため、夜は遮光カーテンを閉めて屋内への侵入も防いでください。
照明をLEDに変えることも効果的ですが、網戸に散布できる忌避剤も薬局で売られているので、これらを併用することも効果的です。
紙魚
紙魚は8~10㎜程度の大きさで外が暗くなってから家の中の紙でできた素材を食い荒らす害虫です。書籍や障子などを食い荒らすことから、自宅に本が多い人や障子の建具がある家は被害が大きくなるでしょう。
特に押し入れやトイレなどを好み、高温多湿な場所に多く発生します。気温が高い時期に活発に活動しますが、自宅で暖房器具を使用すると部屋全体が温かくなることから活動が活発になるので冬でも安心できません。
生命力と繁殖力が極めて高く、放置すると大繁殖して家中の紙類が食い荒らされるといった被害が出る可能性があります。
紙魚の退治・予防方法
紙魚の駆除・予防にはホウ酸団子が有効です。薬局で売られているホウ酸団子を押し入れや本棚の奥ような暗くて湿気の多い場所に半年程度置いておきましょう。紙魚が餌である紙と間違えてホウ酸団子を食べ、駆除できます。
またホウ酸団子の購入・使用が難しい場合は、ジャガイモをふかしてお皿の上などにペースト状にしておいておくと良いでしょう。
紙魚はでんぷんが好物なので、ジャガイモのでんぷんに集まってきます。ふかしたジャガイモは日持ちしないので1日程度置いたらビニール袋などに入れてしっかり入り口を結んで捨ててください。
予防法としては部屋の湿度を調整するとともに、アロマオイルの併用も効果的です。また自宅に本・雑誌が多い場合は定期的に天日干しをするなどして湿気を飛ばしましょう。
ヒメマルカツオブシムシ
ヒメマルカツオブシムシは、毛・絹・麻などの繊維を好む害虫です。
衣替えの時期に保管しておいたセーターが虫に食われて穴があいたという経験はないでしょうか。その原因の多くは、このヒメマルカツオブシムシと予想されます。
暗い場所を好み、餌が充分に得られない場合は最大3年程度幼虫期間を延長する特徴を持っている侮れない虫です。
ヒメマルカツオブシムシの退治・予防方法
ヒメマルカツオブシムシはほこりを餌にすることから、日常的に丁寧な掃除が欠かせません。生活スペースはもちろん、普段はあまり使わないクローゼットや押し入れの中も定期的に掃除をしてほこりがたまらないようにしてください。
ヒメマルカツオブシムシには、殺虫剤や熱を使用した駆除が効果的です。1年に1回程度の割合でくん煙殺虫剤を使用して隅々まで煙を行き渡らせるほか、衣類はアイロンがけや乾燥機で高温を与えて駆除すると良いでしょう。
チャタテムシ
チャタテムシは1~1.5㎜程の体長で日本全国に生息し、夏から初秋にかけて活発に活動する害虫です。
高温多湿な場所を好み、スナック菓子やチョコレートをはじめとする乾燥した食品や古本・畳・カビなども餌にします。特に段ボール箱を好むため、通信販売や引っ越しなどで使用された段ボール箱をそのまま自宅内に放置していると大量に発生する可能性があるので注意してください。
死骸が体内に入るとアレルギーを発症する可能性があり、チャタテムシの死骸が原因でアレルギー性喘息を発症した事例も報告されています。
チャタテムシの退治・予防方法
チャタテムシはアルコール類に弱いため、エタノールを使用した掃除が効果的です。特に畳の部屋はチャタテムシの住処になる可能性が高いことから、こまめに霧吹きなどを使用してエタノールを畳全体に吹き付けましょう。
またアルミサッシのレールはカビが発生しやすい特徴があり、このカビを餌にしてチャタテムシが大量発生するリスクが高まります。特に冬は結露が原因でカビが発生しやすいのでこまめにきれいにしてチャタテムシの増殖を防ぎましょう。
カミキリムシ
カミキリムシは街路樹や庭木などに寄生して食害を及ぼす、木材にとっては天敵ともいえる害虫です。
屋外で見られることが多い害虫ですが、木材を多く使用した日本家屋の場合は室内に侵入することもあり、決して安心できない虫といえます。
放置しておくと家屋の木材を食い荒らすため、シロアリ同様に家の耐久性を弱めるなどのリスクから決して無視できません。
またカミキリムシは光に吸い寄せられる性質があることから、「自宅に庭がない」「植物がない」といった家屋・室内でも油断しないほうが良いでしょう。
カミキリムシの退治・予防方法
屋外で見られることが多いカミキリムシですが、照明などに引き寄せられる可能性が高いことから見かけたら、すぐに退治することが重要です。
家の中で発見したカミキリムシは、適用害虫にカミキリムシが含まれているエアゾールスプレーやくん煙剤を使用してください。
見かけたカミキリムシが1匹だけであったとしても、産卵されてしまうとあっという間に被害は拡大します。木材の奥深くなど目に見えない場所に産卵して増殖する特徴もあるので、油断せずに早急に退治しましょう。
また庭や自宅で植物を育てている場合は、枯れていないかこまめにチェックすることが予防につながります。
アシタカグモ
アシダカグモは、クモの中でも巣を作らずに徘徊して餌を探す種類です。高温多湿な場所を好み、日本では関東より南の温かい土地に多く生息しています。
アシダカグモ自体は、ゴキブリの幼虫や蚊といった害虫を食べてくれるので「益虫(えきちゅう)」と呼ばれており、人間に害を及ぼす害虫ではありません。
ただし、アシダカグモが大量にみられる場合は自宅内や屋外に餌となる害虫が多いことのサインなので注意したほうが良いでしょう。
アシタカグモの退治・予防方法
アシダカグモ自体は害虫ではないので、特に退治や予防をする必要はありません。
ただし大量発生している場合はアシダカグモにとっての餌が多いサインであり、蚊やハエといった害虫が発生している可能性が高いといえます。
「最近アシダカグモをよく見かける」「アシダカグモを部屋で多く見るようになった」と感じたら、生活スペースはもちろん、普段はあまり利用しない押し入れやクローゼットの中も丁寧に掃除したほうが良いでしょう。
カメムシ
カメムシは刺激を与えると独特の強烈な悪臭を放つことから「屁こき虫」などとも呼ばれている5~10月に活発に活動する害虫です。
カメムシが出す悪臭は一度衣服や手につくとなかなか取れず、長期間苦痛を感じる人も多いでしょう。悪臭の原因物質の中には水に溶けにくいものが含まれており、反対に油分の多いもので洗うと臭いが取れます。
しかしいつでも油分の多い成分で洗い流せるわけではないため、家の中に入り込ませないなどの工夫は必要です。
カメムシの退治・予防方法
カメムシを自宅内で見かけたら、大きな刺激を与えてはいけません。少しの刺激でも悪臭を放つため、牛乳パックやペットボトルなどを使用して中に追い込んで外に放つようにしてください。
また凍結タイプのスプレーを使用すると、悪臭を放つ前にカメムシを退治できます。ただし、驚かせると悪臭を放つので静かに近づいて垂直に吹きかけるようにしましょう。
汚部屋で虫が出たときの対処法
汚部屋で虫が出た場合におすすめの対処法は以下の通りです。
- 駆除グッズの使用
- 掃除道具の使用
- 洗剤や熱湯
- 害虫駆除業者
それぞれの対処法について詳しくみていきましょう。
殺虫剤など駆除グッズを使う
汚部屋に虫が出た場合に一番素早く対応できるのは、殺虫剤などの駆除グッズを使用する方法です。
近年、凍結スプレーのような駆除時に被害が拡大しないようなグッズも多数販売されています。このようなものを自宅に常備しておき、虫を発見したらすぐに使用すると不快な思いもしなくて済むでしょう。
ただし、駆除グッズを購入してもすぐに使用できる場所になければ意味がありません。滞在時間の多い部屋や玄関、トイレや洗面所など虫の発生が考えられる場所に置いておくことをおすすめします。
ホウキなど道具で追い払う
玄関先やベランダなどで虫を見かけた場合は、ホウキなどの掃除道具を使用する方法もおすすめです。
虫は苦手でも「無益な殺生はしたくない」「駆除した後の処理が嫌」という人もいるでしょう。その場合は生かしたまま、生活スペースから遠ざける方法が効率的です。
インターネットショップや通信販売などでは、害虫をさらわずに駆除できるホウキタイプのものも販売されています。毛先がブラシ上になっている形は掃除をしながら虫も遠ざけられるので、虫を殺したくない人には嬉しいお掃除アイテムです。
洗剤や熱湯をかける
虫に直接洗剤や熱湯をかける方法も効果的です。
例えばゴキブリは、液体洗剤や液体せっけんをかけるとお腹の部分にある軌道がふさがれて窒息死します。これは洗剤に含まれる界面活性剤がゴキブリの気門(きもん)をふさぐことと、ゴキブリは口や鼻で呼吸をしていないからです。
また体温調節ができないことから、60度以上の熱湯をかけると即死します。液体洗剤や液体せっけんを使用したくない人で、常に60度以上のお湯が沸いたポットがある場合は、この方法で退治すると良いでしょう。
害虫駆除の業者を呼ぶ
数匹程度の虫であれば自分で退治できますが、大量にわいた状態になると自力で完全に駆除することはほぼ不可能です。虫が異常に大量発生している時は害虫駆除業者を呼んで退治してもらいましょう。
業者はどこにどのような害虫が潜んでいるのかも把握しているので、見えていない部分も徹底的に駆除してくれます。
畳の中など一般人では手の届きにくい部分も消毒剤などを使用して駆除作業を行ってくれるので、自分で駆除する以上に快適な生活空間が取り戻せるでしょう。
なぜ汚部屋に虫が発生するのか
汚部屋に発生する虫をいくつかご紹介しましたが、他にも汚部屋を好む虫は多いです。
それは汚部屋が虫にとって「素晴らしい環境」だからです。 汚部屋は、人間にとっては好ましい環境ではありませんが、虫にとっては食料や住まいの確保等の生命維持、そして繁殖に適した環境です。
虫にとって居心地の良い空間となってしまっているのです。
汚部屋は虫にとって餌が豊富な空間
虫とて生きるためには食料を確保しなければなりませんが、汚部屋には虫の餌が大量にあります。
しかも厳重に保管されているのではなく、部屋に不用意に、かつ大量に蓄積されているのです。
虫にとって汚部屋はまさにレストランのようなものです。
ゴミ、フケ、食べこぼし、容器に付着した食べ残しやタレ、これらは人間にとっては「汚いもの」でしかありませんが、虫にとっては御馳走です。
そんな御馳走が大量に用意されているのです。
虫が汚部屋を素晴らしい環境だと感じるのも当然です。
汚部屋は虫に取って住環境が整えられている
汚部屋は虫が生きていくために快適な環境が整えられています。
食料が多々あるのは前述の通りですが、定期的に虫に取っての食料が増える点に加え、物が多いのでいざという時に身を守る場所も多くあります。
安全な場所で食料が安定供給される、汚部屋は虫にとってリゾート地です。
汚部屋は虫が繁殖しやすい
汚部屋は食料の安定確保が可能で、かつ身を守る場所も多々あることから繁殖場所としても適しています。
繁殖すれば、自分だけではなく子供たちの食糧も必要です。
また、子供たちを守る場所を見つけなければなりませんが、汚部屋はいずれも揃ってしまっています。
実際、汚部屋に大量の虫が発生するのは、大量の虫が家の外から押し寄せたのではなく、部屋で虫が繁殖し、大量発生してしまうケースが多いです。
この話からも、如何に汚部屋が繁殖に適した場所なのかが分かるのではないでしょうか。
虫が出る汚部屋を放置した結果
虫が出る汚部屋を放置すると、次のようなリスクが高まります。
- 火災のリスク
- 家屋へのダメージ
- 健康被害
- 行政指導
虫が出る汚部屋を放置した結果、起こりうる上記のリスクをみていきましょう。
火災のリスクが高まる
虫が出る汚部屋を放置すると、火災のリスクが高まります。
汚部屋に発生する虫の多くは、ホコリや放置された紙類などを餌にしており、これらは発火しやすく火の回りも早いという特徴があるからです。
例えばコンセント接続部分にホコリがたまっていると、これを餌にする虫の発生が考えられますが、それと同時にそのホコリにコンセント接続部分から発せられた熱や火花で引火して火災が発生するリスクも高まります。
汚部屋にはさまざまな紙類やホコリが散乱していることから火の回りは想像よりも早く、消火活動も苦労することになるでしょう。
家にダメージを与える
虫が発生するお部屋は、家にダメージを与える可能性も否定できません。汚部屋に発生する虫の中には木材を好んで食べるものも存在し、柱などの骨組みを食い荒らしてしまうからです。
骨組みの中身が食い荒らされると家全体の耐震性が弱まり、少しの揺れでも倒壊するかもしれません。
近年、日本全国で地震が多発しているこの状況で家にダメージを与える可能性が高い虫を放置するのは危険です。
健康面に悪影響を及ぼす
虫が出る汚部屋は、健康面にも悪影響です。虫刺されやかぶれなど一時的に対処できればまだマシな方で、じわじわと体内に入り込み、治らない疾患を引き起こすこともあります。
ダニのような小さな虫の死骸が体内に入ることで喘息などのアレルギー症状を引き起こす事例も報告されているのです。また、虫が出ること自体がストレスにもなります。いつ出てくるかわからない虫におびえている状態では快適な睡眠は約束されず、ゆっくりと体力が奪われてしまいます。
行政指導が入る可能性も
虫が出る汚部屋を放置していると、行政指導が入る可能性もあります。虫の発生は自分の部屋や自宅だけでは済まないからです。汚部屋で生まれた数ミリ程度の虫は、隣の家や上階・下階にも飛び火する可能性があります。
特にアパートやマンションなどの集合住宅の場合、自分の部屋だけでは済まされない点は覚えておいたほうが良いでしょう。
虫の数が増えれば発生した部屋や家屋だけでは足りなくなり、より良い環境を求めて広範囲にまで影響を及ぼし始めます。
周辺住民の自宅にゴキブリやダニといった害虫がわくようになると、悪質な環境に耐えきれずに市役所に苦情を申し立てる人も出てくるでしょう。
近隣の声が大きくなれば行政としても見過ごせなくなり、行政指導が行われます。
虫の発生・繁殖を抑えるためのポイント
虫の発生・繁殖を抑えるためには部屋の清潔を保つことに尽きます。
しかし、清潔な部屋であっても、時には虫が発生してしまいます。
そこで、虫の発生・繁殖を抑えるためのポイントも抑えておきましょう。
まずは汚部屋を片付ける
虫の発生・繁殖を抑える効果的な方法は、汚部屋を片付けることです。原因を取り除けば虫はそれ以上繁殖しませんし、発生も抑えられます。
汚部屋に発生・繁殖する虫の多くは、部屋内にたまっているホコリや人間の皮脂などです。またそれらを餌にしていた虫や虫の死骸を餌にする害虫も発生します。
ホコリや人間の皮脂は、こまめな掃除である程度取り除くことが可能です。本気で虫の発生・繁殖を抑えたいのなら、汚部屋を片付けるしか方法はありません。
ゴミは清潔にしてから捨てる
何気なく捨てているゴミは、洗い流すなど清潔にしてから捨てましょう。
ゴミ箱に捨てたとしても、虫はゴミ箱に吸い寄せられて侵入してくるものです。
虫にとって、ゴミ箱はいわば宝の山です。
例えばスナック菓子を食べ終えた袋は人間にとってはゴミです。
しかし、僅かでもカスが残っていれば虫にとっては「食料の付着したもの」です。
そのため、ゴミとして捨てる際にカス、付着しているタレやカスなどを一度洗い流しておきましょう。
ゴミを長期間保存しない
ゴミ箱は人間にとってはゴミを集積させるための容器です。
ゴミ箱に捨てておけば部屋は綺麗だと考えがちですが、ゴミ箱に捨てた後、家の外に持ち出し、回収してもらわなければ、家の中にゴミがある状態です。
その期間が長ければ長いほど、虫が存在に気付き、家に侵入します。
そのため、ゴミ箱の中に溜める時間を短くするために、こまめなゴミ出しが必要です。
さらには、ゴミ箱そのものを清潔に保つことも大切です。
ゴミ箱にも気を付けよう
ゴミ箱が汚い場合、ゴミが空っぽだとしても、汚れているゴミ箱が虫にとって魅力的な環境となり、虫をおびき寄せることになってしまいます。
水まわりを徹底的に片付ける
お風呂・キッチン・トイレ・ベランダなど水回りは徹底的に片付けてください。虫の中には、蚊のように少量の水でも繁殖してしまうものや湿気を好むものが多数存在するからです。
このような水分を好む害虫は非常に多く、水回りを徹底的に片付けて湿気を可能な限り防ぐことで虫の発生・繁殖は抑えられます。
台所は使用したらシンク周りの水分をきれいに拭き取って乾燥した状態にしておきましょう。お風呂場は入浴したら換気扇や除湿装置を利用して、湿気がこもらないようにしてください。
虫の侵入経路をふさぐ
虫の侵入経路をふさぐことも、発生・繁殖を抑える効果的な方法のひとつです。
例えば台所ならシンク下の排水管周りに隙間が空いていないかチェックしてください。少しの隙間があれば下水管を通って虫が室内に侵入してしまいます。もし隙間が空いている場合は、ホームセンターなどで売られているパテを購入して埋めましょう。
虫はベランダや玄関からも侵入します。ベランダや玄関の床部分には、屋外用の害虫駆除用の据え置き型殺虫剤を設置してみてください。また吊り下げるタイプの殺虫グッズも売られているので、こちらも併用すると効果的に侵入が防げるでしょう。
こまめに掃除・除湿をする
こまめな掃除・除湿は虫の発生・繁殖を抑える際に欠かせません。
特にホコリがたまりがちな部屋の隅や玄関先・ベランダの隅などは、定期的に掃除をして清潔にしておくと発生・繁殖だけではなく、侵入防止にも効果的です。
またクローゼットや押し入れは閉め切ったままにしておくと湿気がこもり、虫の温床になってしまいます。晴れた日には入り口を開けて新しい空気を入れ、定期的に保管しているものを出して掃除をしましょう。
殺虫剤やくん煙剤で虫を駆除
屋内・屋外で虫を見かけた際には殺虫剤で駆除することが重要です。「たまたま見かけただけ」「1匹だけだったから」と見逃してしまうと、それがきっかけとなって大量発生につながる可能性は否定できません。虫の発生・繁殖はスピードが速いので、見かけたら即駆除が鉄則です。
また半年や1年に1回程度は、くん煙剤を使用して家中に殺虫効果のある煙を行き渡らせましょう。くん煙剤の殺虫剤を使用すれば、手の届かない場所や人間の肉眼では確認が難しい虫も駆除できます。
虫が出る汚部屋のまとめ
汚部屋は人間にとっては良いものではありません。
しかし、虫にとっては素晴らしい環境となります。虫をおびき寄せるだけではなく、居着いてしまい、さらには繁殖してしまいます。 それだけ汚部屋には、虫が好む状況が整えられているのです。
虫を何とかしたいと考えているのであれば、虫の駆除や退治も大切ですが、まずは部屋そのものを清潔に保つ根本的な対策が重要です。
それでも尚、部屋に虫がいるようであれば、虫の駆除・退治を考えましょう。 汚部屋では、どれだけ駆除・退治しても結局は表面処理にしかなりません。