「汚部屋から引っ越すには、高額な退去費用が必要なの?」
「汚部屋の退去費用を安くするコツはある?」
賃貸物件の退去費用は原状回復のための費用であるため、部屋がきれいで入居時の状態に近ければ退去費用は安く済みます。一方で、部屋が汚れたり破損部位があったりすると、退去費用が高くなります。
ゴミを溜め込んだ汚部屋状態の部屋では、退去費用が高額になりがちです。今回は汚部屋の退去費用の相場や、退去費用を安く抑える方法などを解説します。
この記事で分かること
- 汚部屋の退去費用の相場
- 退去費用を減らすコツ
- 高額な退去費用を請求されたときにすること
目次
汚部屋の退去費用の料金相場
汚部屋の退去費用は、一般的な退去費用に比べて数万円から数十万円も高くなる可能性があります。なぜ高額になるのか、詳しく解説します。
汚部屋の退去時には片付け費用が発生
汚部屋であるか否かにかかわらず、退去時には部屋中のゴミを片付けて掃除しなければなりません。一般的な賃貸住宅であれば自力で片付けられるので片付け費用はほとんどかかりませんが、汚部屋は自力できれいにするのが困難なので汚部屋清掃の専門業者に依頼するケースが多いです。
専門業者に汚部屋清掃を頼むと、目安として1Rで4万円台~、2LDKで14万円台~、3LDKで20万円程度~の片付け費用がかかります。ゴミの量が多い、ゴミの分別に手間がかかるなどの事情でスタッフの増員が必要な場合には、さらに高額になるため注意が必要です。
原状回復費用も請求される
原状回復費用とは「借主の故意や過失によってできた傷や汚れ」を修理するための費用のことで、賃貸物件の退去時に借主が支払う費用です。たとえば、台所の油汚れやゴミの放置による床の腐食、壁紙に生えたカビなどが原状回復費用の対象となり、一般の住宅よりも汚部屋のほうが原状回復費用が高くなりがちです。
原状回復の例と費用相場を表にしました。
<原状回復の費用>
修繕・清掃箇所 | 費用相場 | 備考 |
台所の油汚れ | 1万円~16000円 | |
トイレ・お風呂のカビ取り、水垢掃除 | 1万円 | |
壁紙の張替え | 1000円/m2 | 壁紙の落書き、たばこの黄ばみ、カビの繁殖などで必要。範囲が広いと高額 |
フローリングの張替え | 10万円~15万円/6畳 | 家具で床に擦り傷を付けた場合などで必要。 広範囲だと高額。 |
ハウスクリーニング | 2~5万円/1LDK |
なお、入居時に敷金を支払っていた場合には、敷金から修繕費用を差し引いて不足分のみを退去時に払う形となります。
一般的な賃貸住宅でも1万円台~の原状回復費用を支払うのが一般的ですが、汚部屋となると大がかりな修繕が必要となるため、原状回復費用が数十万円に及ぶケースも見られます。
【借主が負担】汚部屋の退去費用は高額になりやすい!
汚部屋は借主の故意や過失による汚損とみなされるため、退去費用を借主が負担しなければなりません。次の5つの理由から、汚部屋の退去費用は高額になりがちです。
- 汚部屋には臭いがしみこんでいる
- 虫による被害がある
- 腐食による被害がある
- リフォーム・ハウスクリーニング費用がかかる
- 大家さんからの印象が悪くなる
具体的なポイントを見ていきましょう。
汚部屋には臭いがしみこんでいる
汚部屋には、生ゴミやカビなどの臭いがしみこんでいることが多いです。ゴミ出しを怠って食べ残しや飲み残し、空の弁当容器などを部屋に放置してしまうため、部屋に異臭が充満しやすいためです。
壁紙に臭いがしみこむと、ゴミを撤去したあとも不快な臭いが残ります。部屋にしみついた臭いは、専門業者に消臭処理を頼まなければ取り除くことはできません。汚部屋の不快臭は当然ながら借主の故意・過失として扱われるため、退去時の原状回復費用を借主が支払うこととなります。
虫による被害がある
汚部屋にはゴキブリやハエ、ウジムシなどの害虫が繁殖していることが多く、害虫被害の対処費用を請求される可能性が高いです。
食べかすや生ゴミは害虫の恰好のエサとなり、ゴミの積まれた汚部屋は害虫の隠れ家としてもうってつけなので、汚部屋には虫が湧きやすいです。虫のフンでさらに部屋が汚れ、木材を食い荒らす虫だと家の木製部分が被害を受けてしまいます。害虫被害も借主の管理責任であるため、害虫処理の費用を退去費用として請求されることになります。
腐食による被害
ゴミだらけの汚部屋は湿気が溜まりやすいので、壁紙や床にカビが侵食することがあります。また、飲み物をこぼしたままにしていたり、エアコンや冷蔵庫などの水漏れを見逃していたりすると、床が腐食する場合があります。カビや水濡れでもろくなった木材にシロアリが湧くと、広範囲な腐食被害につながりやすいので要注意です。
腐食被害に対する修繕作業は大がかりなものになるため、原状回復費用が高額になるおそれがあります。被害が自分の部屋にとどまらず、下の階や隣の部屋に被害を広げた場合はさらに高額になります。
リフォーム・ハウスクリーニング費用がかかる
賃貸物件が汚部屋やゴミ屋敷状態だと、大家さんは次の入居者を迎える前に大規模なリフォームやハウスクリーニングをしなければなりません。ひどい汚れや破損が残ったままだと、新しい入居者が来てくれないからです。
経年劣化部位の修理や物件のイメージアップのためにリフォームやハウスクリーニングを行うのであれば、それらの費用は大家さんが負担することになります。しかし、汚部屋が原因でリフォームせざるを得なくなった場合には、借主の故意・過失によるものなので借主が費用を負担しなければなりません。
大家さんからの印象が悪い
部屋を著しく汚すと、当然ながら所有者である大家さんからの印象が悪くなります。大家さんに悪印象を持たれると、退去費用の交渉が不利になる場合もあるため注意しましょう。
一般的には、賃貸物件の退去前には入居者と大家・管理会社が立ち会って部屋の傷や汚れを調べ、誰がいくらの費用を負担するか決めるために「退去立ち合い」を行います。退去立ち合いを経て、退去費用は国土交通省の原状回復のガイドラインなどに沿って決定されます。
退去費用は大家さんが独断で決めるものではありませんが、ガイドラインを破っても法的な罰則はなく、大家さんの意見が強めに反映されるケースがないとはいえません。大家さんに嫌われないほうが、退去費用の交渉がスムーズになりやすいでしょう。
退去費用の内訳を覚えておこう
汚部屋に限らず、賃貸物件は退去時に費用が掛かります。
費用負担に関しては法律によって明確に定められています。
貸主が費用負担するもの
賃貸物件の持ち主である貸主が負担する費用は、経年劣化や通常消耗によるものです。
例えば家具の設置跡、壁紙の日焼け、畳の変色といった、通常使用の範囲内で起きる劣化は、貸主負担となります。
ですので、退去費用として支払う必要はありません。
借主が費用負担するもの
賃貸物件を借りていた借主が負担する範囲は、故意・過失によるものです。
例えばタバコによって壁が変色したり匂いがついたりすることは過失に含まれます。
他にも以下のように、常識の範囲を超えた住み方・使い方は故意・過失に分類されます。
- 台所の油汚れ
- 床の大きなすり傷
- 家屋内の落書き
- 放置によって生じたカビ
汚部屋でも退去費用を抑える方法
汚部屋の退去費用は法的な見地からも借主が支払わなければならず、汚れの具合によっては非常に高額になるおそれがあります。しかし、ポイントをおさえてできるだけ自力で片付けておけば、退去費用の負担を減らすことも可能です。 汚部屋の退去費用を抑えるための、具体的な作業内容を解説します。
退去時に確認される場所を把握
退去費用を決定するための立ち合いでは、チェックされやすい箇所が決まっています。
<退去立ち合いで確認されやすい場所>
- 壁紙の傷、汚れ、カビ
- 床の傷、汚れ
- タバコ臭さ
- 網戸の破損
- 備え付け機材の破損(浴室乾燥機、ウォシュレット、換気扇、備え付けエアコンなど)
- お風呂・排水口のカビ
- キッチンの油汚れ、水回りの汚れ
これらの箇所を優先的にチェックしていくと、効率よく退去立ち合いに備えることができます。
自分でゴミだけでも処分する
大前提として、部屋がゴミだらけの場合には細かい場所を片付ける前にゴミを処分しなければなりません。退去時の立ち合いの際に汚部屋状態のままだと、正しい査定を行うことができないからです。
空のペットボトルや古雑誌など明らかなゴミはすぐに分別して、自治体のゴミ収集の日に出します。一辺30センチ以上など粗大ゴミに該当するサイズのゴミは、粗大ゴミ回収の予約と準備を済ませて予約日に排出してください。粗大ゴミの予約は1か月以上先になる場合もあるため、日程にはゆとりが必要です。
ゴミ出しが退去時の立ち合いに間に合わないと、高額な片付け費用を退去費用に加算される可能性があります。最低でもゴミだけでは、立ち合い前に自分で処分しておきましょう。
落とせる汚れを掃除する
部屋にあふれるゴミを処分し終わったら、前述の「退去時に確認される場所」を可能な範囲で掃除していきます。具体的には、エアコンのフィルター掃除や水回りの掃除、油汚れの除去などは自力で可能です。
ただし、固いスポンジで強くこすったり、清掃場所の材質と合わない洗剤を使ったりするのはやめましょう。もし傷を付けてしまうと、かえって退去費用が高くなるので注意が必要です。水回りの清掃にはクエン酸や重曹、しつこいカビには塩素系漂白剤など、汚れの種類や程度に応じた掃除方法を選んでください。余談ですが、クエン酸と塩素系漂白剤を混ぜると有毒な塩素ガスが発生するため絶対にやめましょう。
なお、壁紙や床の傷、しみついた臭いなどはプロでなければ修繕が難しいため、自力で対処するのは困難です。へたに手を出すと悪化するおそれがあるため、現状のままチェックしてもらいましょう。
直前まで臭い対策をする
汚部屋にこもった臭いをできるだけ和らげるため、退去時の立ち合いが始まる直前まで徹底的に臭い対策をしましょう。窓を開けて換気したり、無香性の消臭剤を置いたりして臭いを緩和します。
長らく汚部屋の状態を続けていると、異臭が充満しています。住人は汚部屋の臭いに馴れているため不快に思いませんが、立ち合いに来た大家さんや管理会社のスタッフはすぐに気づきます。消臭処理の費用を上乗せされないためにも、臭い対策は不可欠です。また、事前に友人や知人を部屋に呼んで、臭いの有無をチェックしてもらうと安心です。
余計なことはしない方が良い
退去費用を抑えるためにはできるだけ臭いを消したいところですが、自力でできる範囲には限りがあるため、無茶な防臭対策はやめましょう。
たとえば、悪臭をごまかすために香りの強い芳香剤を置く人がいますが、臭いが混じり合ってむしろ異臭になるおそれがあります。トイレの臭いを連想して不快な気分になる人や、芳香剤の臭いが苦手な人もいるため注意が必要です。
臭い対策は換気と無香性消臭剤の設置にとどめ、それでも消せない臭いはあきらめるほうが無難です。
小細工をしない
退去費用を安くしたくてフローリングの傷を自力で直そうとする人もいますが、市販の修繕キットなどを使うのはおすすめしません。そもそも、借主が大家の許可なく賃貸物件を補修することは認められていないため、自分で修繕すると「小細工をした」と思われるおそれがあります。
ホームセンターのDIYコーナーなどでは、フローリングの傷を目立たなくするパテなどが売られていますが、賃貸物件には使わないようにしましょう。素人目にはきれいになったように見えても、退去立ち合いのプロが見れば傷はバレます。
原状復帰の手間が増え、むしろ退去費用が高くなるリスクもあります。できてしまった傷は、素直に申告しましょう。心証が良くなって、退去費用の交渉がしやすくなる場合もあります。
退去費用が高いと思った時にすべき行動
大家さんや管理会社から提示された 退去費用が高額だと感じた場合は、次の3つの行動を取ると安くなる場合があります。それぞれのポイントや注意点を解説します。
管理会社や大家さんと交渉する
退去費用が高すぎて払えないと思ったら、管理会社や大家さんに直接交渉しましょう。退去費用の請求書には安易にサインせず、費用の内訳を見て不当な請求が含まれていないかチェックすることをおすすめします。
しかし、「安くしてほしい」とただ訴えるだけでは応じてもらえる可能性は低いため、入居時に取り交わした賃貸借契約書や国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」と照らし合わせて具体的に交渉するほうが有利に運びやすいです。
費用の内訳を出してもらおう
退去費用は貸主に口頭で説明してもらうだけではなく、費用の内訳が明記された見積もり書を出してもらいましょう。内訳を見ればどこにどれだけの費用がかかっているのか分かり、過剰請求と思われる箇所があれば質問できます。
本来は大家さんが負担すべき経年劣化の日焼けや生活上の微かな傷などを、借主の負担分に計上されている場合もあるため注意が必要です。内訳に過剰請求が含まれる場合、その箇所については交渉の余地があります。
敷金で足りていないかを確認する
入居時に敷金を支払っていた場合、その敷金から退去費用を払うことができます。通常、敷金として家賃の1~2か月分相当のお金を支払うケースが多く、退去費用を敷金でまかないきれる場合もあります。
敷金から退去費用を差し引いてマイナスになった分だけ退去時に払えば良いので、自分が敷金を払っていたか確認しましょう。
敷金は借主に返還するもの
退去費用を差し引いたあと、もしも敷金に余剰があれば残額は大家から借主へと返金されます。返金の時期は賃貸借契約書の敷金に関する項目に記載されていますが、一般的には退去から1か月以内などが多いです。
かつては敷金の返還がうやむやにされてしまうケースもありましたが、令和2年4月より施行された改正民法のおかげで敷金の返還が徹底されることとなりました。それにもかかわらず敷金に余剰があるのに返金されない場合には、賃貸借契約書を確認しましょう。敷金の欄に「解約時償却〇か月」と書かれていた場合には、支払った敷金の〇か月分は返金しないという契約になっています。
法律事務所に相談する
大家さんや管理会社が退去費用の交渉に応じてくれない場合には、裁判所での少額訴訟を視野に入れて、法律事務所に相談するのが現実的な選択肢です。国土交通省のガイドラインでも、修繕費用の負担に関して大家さんと話し合いがつかない場合はスピーディな解決手段として少額訴訟が紹介されています。
少額訴訟は60万円以下の支払いの訴えに関して行う裁判です。個人でも訴訟することは可能ですが、法的手続きが難しければ弁護士の力を借りるのもひとつです。ただし、十数万円以上の弁護士費用がかかることもあるので慎重に検討しましょう。
意見が分かれるケースもある
依頼する弁護士によっては、退去費用の借主負担分に対する解釈が分かれるケースがあります。借主の請求金額はガイドラインや過去の判例に基づいて判断されますが、部屋の汚損の程度や修繕の必要性などはケースバイケースであるため、一律に判断できません。
実生活において、通常の使用による経年劣化と故意の汚損を分けづらい部分もあるでしょう。このため、弁護士間でも意見が異なる可能性があります。弁護士に紛争解決を依頼する際には、まずは初回無料の法律相談などを利用して弁護士の考え方を確認することをおすすめします。
消費生活センターに相談する
「裁判や弁護士相談は敷居が高い」「無料で手軽に相談できる場所はないの?」という人は、消費生活センターの消費者ホットライン(電話番号:局番なし188)を活用すると良いでしょう。専門の相談員からアドバイスを受けることができます。相談時には氏名や住所、年齢、電話番号などの個人情報を伝える必要があります。
ただし、消費生活センターでは来訪や文書による相談は行っておらず、相談員は弁護士ではないので法的なトラブル解決を行うことはできません。あくまでも、相談してアドバイスを求める場として活用しましょう。
汚部屋の退去費用を抑えるための方法を覚えておこう
汚部屋の退去時には片付け費用や部屋の劣化に対する原状回復費用などが必要となるため、一般的な賃貸物件よりも高額な退去費用を支払うケースが多いです。退去時の立ち合いの前に、ゴミをすべて捨ててから可能な限り部屋をきれいにしておきましょう。
高額な退去費用を請求されたら、費用の内訳を確認してどの項目が高いのか確認してください。金額に納得できないときは、ガイドラインと照らし合わせて大家さんに交渉します。「高すぎて支払えないけれど、交渉に応じてもらえない」など自力での問題解決が難しい場合には、弁護士や消費生活センターに意見を求めてみましょう。
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汚部屋の退去費用を抑えたいなら、ゴミ屋敷バスター七福神にご相談ください! ワンルームから一軒家いっぱいにあふれるゴミ・不用品まで、スピーディに片付けます。年中無休で最短即日対応が可能なので、退去前の立ち合いが迫っている人にも安心です。
退去費用を抑えるには、部屋にあふれるゴミを捨ててから部屋をできるだけきれいにしなければなりません。しかし、汚部屋状態だと物を仕分けするだけでも大変なので、細かい片付けにまで手が伸びないという人も多いようです。
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