ゴミ屋敷を解消するための労力は多大なものです。
ですので、自力で行うとすれば簡単ではありません。
また、一度ゴミ屋敷にしてしまうと、ゴミを片付けることができたとしても、他にも問題が発生してしまうのです。
特に賃貸物件をゴミ屋敷にしてしまった場合、高額の退去費用が発生することになります。
目次
ゴミ屋敷と退去費用・原状回復について
賃貸物件から退去する場合、原状回復が定められています。
原状回復とは、入居時の状態に戻すことで、賃貸物件で生活を送る中で、劣化した部分を戻すことを指します。
ただし、現状回復はすべてを負担するものではありません。
契約に定められた使用方法に従い、通常の範囲内での使用であれば経年劣化があってもそのままでよいといったルールがあります。
しかしゴミ屋敷は、残念ながら「通常の範囲内」ではありません。
ですので、ゴミ屋敷にしてしまった場合、原状回復費用を請求される可能性が高いです。
ゴミ屋敷からの原状回復
ゴミ屋敷は残念ながら「通常の範囲内」ではありません。
大家・貸主から原状回復費用を請求されることでしょう。
では具体的に、どのような名目で費用が発生するのかといえば、主に以下のようになります。
匂い対策
ゴミ屋敷の堆積物をすべて撤去できたとしても、長年ゴミが堆積されていたことから、異臭を放っているケースが多いです。
異臭は目に見えない部分です。
匂いがこびりついてしまったタイル、壁紙等をすべて交換すると考えたら、その費用は残念ながら原状回復費用として負担しなければならないでしょう。
劣化部分の交換
長年ゴミが堆積されていたゴミ屋敷の多くで見受けられるのが劣化です。
ゴミも様々ですが、特に水分を含んだゴミは木材を劣化させます。
また、化学薬品が含まれている場合、木材だけではなく鉄やアルミも劣化させてしまう可能性があります。
この点はゴミ屋敷に堆積していたゴミ次第です。
水分を含んでいたゴミが放置されていたことで床がカビたり腐敗していたり、金属部分が錆びてしまえば、元に戻す費用が発生します。
汚れも交換の対象
ゴミの中には色素のあるものがあります。
そのため、長年放置したことで家の中が変色してしまうケースも見受けられます。
この場合も、元に戻す必要がありますので、費用を請求されることでしょう。
原状回復の定義
原状回復の費用は耐用年数の残り分を負担する形となります。
例えば入居年数が5年の場合、耐用年数が5年のものは残り分を負担する必要がなくなる計算になります。
ちなみに耐用年数は品目によって異なります。
例えば畳やフローリング、襖紙、障子紙は耐用年数は考慮されません。
これらに関しては、住人が負担する部分ではありません。
しかし、他の品目は以下に定められています。
- 5年:流し台
- 6年:カーペット、クッションフロア、クロス、冷暖房機器、電気冷蔵庫、インターホン
- 8年:書棚、たんす、茶箪笥
- 15年:便器等の給排水・衛生設備
このように、それぞれ耐用年数が異なるので、どれだけの期間住んだのかによって原状回復費用は異なります。
原状回復はケースバイケース
耐用年数は国土交通省によってガイドラインが定められていますが、原状回復費用の請求はケースバイケースです。
特にゴミ屋敷となってしまった場合、家主の心証は悪くなりますので、厳しい請求となるでしょう。
結局は家主の気持ち次第になります。
長く住んでいたり建物そのものが古い場合は原状回復の費用はさほどタイトなものではないケースが多いです。
一方、建物が新しい場合や、それまで何度も家賃を滞納していたりすると原状回復費用がタイトになりやすいです。
ゴミ屋敷の退去費用が高くなる理由
現状回復の基準はガイドラインが制定されているものの、家主次第であることが分かっていただけたのではないでしょうか。
ゴミ屋敷にすると、現状回復費用、ひいては退去費用も高くなりやすいです。
その理由は、主に以下の事によって家主の心証が悪くなるからです。
自身の財産だから
家を貸しているということは、その家は家主が購入したものです。
つまり、財産です。
不動産投資目的ではあっても自分自身の財産です。
その財産をゴミ屋敷化されてしまったら、場合によっては不動産価値の下落を招くこともあります。
悪印象を抱くのも当然です。
次の借り手が見つからないかもという不安
ゴミ屋敷は告知義務がありません。
しかし、ゴミ屋敷のゴミを片付け、綺麗に清掃しただけでは次の借り手が見つかる可能性は低いでしょう。
内見の際、異臭や腐敗等に気付いて敬遠されてしまうかもしれません。
家主にとって、空き室は利益機会の損失となります。
ゴミ屋敷にされてしまうと空き室リスクが高まる懸念もあり厳しくせざるを得ないのです。
リフォームが必要になる
ゴミ屋敷からゴミを撤去し、掃除しただけではゴミ屋敷だった事実を隠しきれないケースもあります。
その場合、なかなか借り手が見つからず、借り手が表れるようリフォームを強いられるケースが多いです。
原状回復の費用は退去費用として請求できてもリフォーム代までは請求できません。
つまり、貸主自身の負担が増えることになります。
そのため退去費用を厳しく請求し、リフォーム代負担を少しでも軽減したいと考えるのです。
ゴミ屋敷の退去費用を少しでも抑える方法
ゴミ屋敷にされた家主側としては、少しでも多くの退去費用を支払ってもらいたいと思うものです。
しかし、ゴミ屋敷にしてしまった側としては、できれば少しでも安くと考えるものです。
そこで、退去費用を少しでも安くするための方法をいくつかご紹介しましょう。
誠意をもって大家・家主と話し合う
退去費用を左右する原状回復に関しては国土交通省にてガイドラインが作成されているとはいえ、大家・家主の心証が大きいとお伝えしました。
そのため、誠意をもって謝罪した後、話し合ってみましょう。
「仕方ない」ではなく「申し訳ない」という気持ちを全面に出すことで、心情面に訴えるのです。
退去費用を精査させてもらう
退去費用は大家・家主の心証が強いとお伝えしました。
つまり、言い値になりやすいです。
そこで、退去費用の内訳を要求して自身で精査してみましょう。
この場合、心情面は悪くなるでしょう。
しかし、法的見地に基づいた正しい退去費用を提案することで、無知につけこまれるリスクは回避できます。
専門業者にゴミ屋敷の撤去を自らで依頼する
大家・家主に業者を手配してもらうのではなく、自身で専門業者に依頼してゴミ屋敷を解消すれば、大家・家主にゴミ屋敷だと知られるリスクが軽減します。
そのため、心情面の悪化を防ぐことができます。
また、大家・家主が既にゴミ屋敷の事実を把握している場合、当人同士の交渉よりも、第三者である専門業者が間に入ることで情状酌量を求めることも可能です。
ゴミ屋敷の退去費用についてのまとめ
ゴミ屋敷の退去費用は現状回復のために高額になりやすいです。
匂い、腐敗、汚れ等はすべて元に戻さなければなりません。
大家・家主としても綺麗な状態にしなければ次の借り手を見つけることができません。
しかし誠意や法的見地から大家・家主と話し合ったり、専門業者に依頼して綺麗にしてもらうことで退去費用が安くなる可能性もあります。
退去費用はトラブルになることもあります。
納得して支払うために、今回紹介したいくつかの方法を実践してみてはいかがでしょうか。