キャンプやバーベキューを行った際に使用した炭は、適切な方法で処分しなければ危険なだけでなく、周囲の環境にも悪影響を与えます。
また、火災を防ぐためにも確実に消火を確認してから捨てる必要があるため、本記事では正しい炭の捨て方とやってはいけない捨て方について解説します。
消火の手順も紹介するので、安全に処分するためにもぜひ確認してください。
目次
炭の種類
同じ炭でも以下のようにいくつかの種類があり、火のつきやすさ、強さ、持続性など特徴が異なります。
- 黒炭
- 白炭/備長炭
- オガ炭
- 着火加工型成型炭
扱う際や消火する際にスムーズに処理できるよう、特徴を知っておきましょう。
黒炭
黒炭はナラやクヌギ、マツなどの木材を原料とし約500度~800度で炭化させて作られる炭です。炭化が終わる際に炭窯への空気を遮断して消火する、「窯内消火法」によってつくられます。
火が着きやすく火力も強いため、キャンプなどの初心者でも扱いやすいのがメリットですが、燃焼時間はやや短めなので長時間の使用には向いていません。
キャンプやちょっとした調理用に手軽に利用したい場合に適しており、煙や匂いが少ないため室内での使用にも便利です。
白炭/備長炭
白炭は火持ちの良さや火力調整のしやすさが特徴です。原料のカシなどを炭窯で炭化させ、仕上げに1,000度以上で燃やす「ねらし」の工程を行ったのちに、窯の外で急速に「窯外消火法」によってつくられます。
白炭は黒炭より硬いため火つきがやや悪く、急激に熱すると爆ぜやすいのがデメリットです。しかし、安定すると火力が長時間続き、うちわなどを使って低温から高温まで火力調整も行えます。
厳密にはウバメガシなどを原材料として規格を満たした白炭を備長炭と呼びますが、火持ちが良く硬い炭を総称して備長炭とする場合もあります。
オガ炭
オガ炭は木材の加工時に出るオガ粉を集め、圧縮成型して炭化させた炭のことです。ちくわのように中心部に穴が開いた形状をしているのが特徴です。
工場などで製造されるため形が均一で扱いやすく、価格もリーズナブルなため焼肉屋などの飲食店で使用されます。
火が着きやすく火力も安定し、かつ持続性も高いためコスパに優れています。ただし、煙が出やすいというデメリットがあるため、換気設備の無い屋内での使用には適しません。
製造方法によって黒炭タイプと白炭タイプの2種類あり、用途に応じて選べるのもポイントです。
着火加工型成型炭
着火加工型成型炭は、オガ炭のように炭粉や木材の粉を固めるといった製造工程は似ていますが、炭に着火剤を練りこんだり塗布したりといった加工を行っています。
そのため、炭の種類の中で最も火を着けやすいのが特徴で、火力も安定しますが持続性は他の炭に比べてやや短い点には注意が必要です。
アウトドア初心者でも扱いやすく、短時間で簡単に着火したい場合に活用してください。ただし、着火剤が塗布されているため匂いが気になる可能性があります。
形状はオガ炭のようなちくわ型以外にも、ハチの巣型やモナカのような形状で着火剤に炭がくるまれている製品もあり、用途やグリルの大きさなどによって選択可能です。
炭の捨て方は3つ
炭のおもな捨て方は以下の3種類で、それぞれメリットデメリットがあります。
捨て方 | メリット | デメリット |
可燃ゴミ | 手間がかからない無料で捨てられる | 回収日まで待つ必要がある自治体によって捨て方が異なる |
灰捨て場 | 費用がかからない自宅に持ち帰らずに済む | 灰捨て場があるとは限らない |
不用品回収業者 | 他のゴミもまとめて処分可能自宅まで引き取りに来てくれる | 費用がかかる業者の選定が必要 |
可燃ゴミや灰捨て場に捨てるのがお手軽ですが、他のゴミもまとめて処分したい場合は不用品回収業者を利用すると手間が省けます。
可燃ゴミに出す
自宅の庭などでバーベキューをした際に生じる炭は、可燃ゴミとして捨てられる自治体がほとんどです。
しかし、捨て方や分別は自治体によって異なるため、実際に捨てる際はあらかじめ各自治体のホームページなどで確認が必要となります。
捨てる際は消火したことを確認し、熱が完全に冷えてからゴミ袋に入れます。万が一炭の内部で火が着いた状態で捨ててしまうと、火災の原因となり大変危険です。
なお、未使用のまま古くなった炭を捨てる場合も燃えるゴミとして出せますが、念のため自治体のルールを確認してください。
バーベキュー場やキャンプ場の灰捨て場(炭捨て場)に捨てる
キャンプ場やバーベキュー場には灰捨て場や炭捨て場が併設されている施設もあり、多くの場合無料で利用できます。
灰捨て場とは、焚火で生じた灰や炭などを捨てられる、専用のゴミ捨て場のことです。
その場で捨てて帰れるため、自宅に炭を持ち帰って処分する手間が省けるのが利点です。
しかし、灰捨て場が用意されていない場合もあるため、無ければ自宅に持ち帰る必要があります。また、利用できるのは施設の利用者のみなため外部からの持ち込みはできないと考えてください。
キャンプやバーベキューに行くときは、事前に灰捨て場があるかを確認しましょう。
不用品回収業者に引き取ってもらう
大量の炭を処分したい場合や、他のゴミとまとめて処分したいときは不用品回収業者が活用できます。
ただし、炭が回収できるかは業者によって異なるため、依頼する前に電話やメールなどで確認してください。
業者によっては、炭は有機物扱いになり引き取りができないケースもあります。
不用品回収業者への依頼なら分別なども不要で、最短即日で炭などのゴミを回収にきてくれます。依頼には費用がかかりますが、ゴミの量や種類に応じて料金が変わります。
中にはキャンペーンや持ち込み対応などで費用を安く抑えられるケースもあるため、用途にあった業者を選定しましょう。
やってはいけない炭の捨て方
やってはいけない炭の捨て方を以下の2点解説します。
- 直接水をかけて消火
- 炭を土や砂に埋める
火傷の危険性や土壌汚染など環境への悪影響が懸念されるため、炭を捨てる際に上記の処理は行わないようにしましょう。
炭に直接水をかけて消火する
火の着いた状態の高温の炭に、直接水をかけて消火するのは大変危険です。水をかけた瞬間に高温の水蒸気が発生し、火傷したり炭が爆ぜたりするおそれがあります。
また、熱せられた炭が置かれているバーベキュー台などが、水をかけることで急激な温度変化が生じて破損する可能性もあります。
炭は表面上火が着いてなくても、内部が燃焼していたり高温になっていたりする場合もあるため、少し水をかける程度では完全に消火ができません。
水を使って消火する場合は、後述する金属製のバケツにトングなどで炭を沈めていく方法で行って下さい。
炭を土や砂に埋めて放置する
炭を土や砂浜に埋めて捨てるのは、環境汚染や他の人に火傷をさせるおそれがあり危険なのでやめましょう。炭は土中の微生物によって分解されないため、埋めてもそのまま残り続けます。
地中に炭が残り続けると、植物などの生育に影響を与えることにつながるため、バーベキュー後に地面に穴を掘って流し込むような捨て方はやめましょう。
また、消火しきっていない状態の炭を土中に埋めると、知らずに踏んだ人が火傷をしたり靴に穴が開いたりする可能性もあります。
大きなトラブルに発展するリスクがあるため、炭は適切な方法で消火して処分してください。
正しい炭の消火方法
炭を消火する正しい方法は、おもに以下の3種類です。
- バケツの水に入れる
- 自然消火を待つ
- 火消し壺を使う
炭を捨てる前に、火が消えたことを必ず確認することが重要なので、処理方法が分からない方は参考にしてください。
水を張ったバケツなどを使う
炭に水を直接かけるのは危険ですが、なみなみと水を張った金属製のバケツなどに炭を投入するのは有効です。
プラスチック製の一般的なバケツだと、炭を投入して温度が下がる前に破損したり割れたりするおそれがあるため、必ず金属製のバケツを使いましょう。
軍手をしてトングなどで1つずつ投入し、1時間以上放置してください。短時間で取り出すと、内部が高温状態で完全に消火しきれていない場合があります。
自然消火を待つ
時間が取れる場合は、自然消火を待つのも選択肢の1つです。
ただし、黒炭など一般的な炭であれば1~2時間程度で消えますが、備長炭など火持ちの良い炭だと丸1日程度かかる場合もあります。
炭の大きさによっても異なるため、最終的にはバケツに張った水に投入する方法で消火すると安心です。
自然消火だけで消火する場合は、放置はせず炭が冷えていることを確認したうえで捨ててください。
火消し壺を使う
キャンプ用品店などに販売されている火消し壺を使うと、手軽に炭を消火できます。
火消しツボは金属製のバケツのような形状をしており、蓋を閉めることで密封して酸素の供給を遮断して消火する仕組みです。
1~2kgのほど量を2時間程度で消火できるうえ、再び火を着ければ炭の再利用も可能です。価格は素材や容量によって異なりますが、3,000円程度から販売されています。
まとめ
炭を捨てる場合は、可燃ゴミに出すか不用品回収業者に依頼する方法が一般的です。
バーベキュー場やキャンプ場に灰捨て場があれば無料で捨てられますが、自宅で炭を使った際はゴミとして処分する必要があります。
炭は完全に消火して冷えたことを確認して捨てなければ、火災や火傷のおそれがあり危険なため注意が必要です。
水を張った金属製のバケツに炭を投入するか、火消し壺などを使うと短時間で消火が可能です。
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