賃貸物件を退去する時、お風呂のカビを掃除せず生えたままにしてしまうと、入居者(借主)責任として退去費用を求められる可能性があります。「お風呂にカビが生えるのは当たり前なのでは?」と考える人もいますが、風呂カビは日々の掃除で防げるため、カビを放置したまま退去すると責任問題に発展しかねません。
風呂カビの放置で起こり得るトラブルを知り、事前に対処してトラブルを回避しましょう。賃貸物件のアパートやマンションで、風呂カビを放置したまま退去した場合に求められる費用や、風呂カビを防ぐ効果的な掃除方法を詳しく解説します。
目次
アパートでの風呂カビ!退去時の費用負担は入居者?大家さん?
賃貸物件のアパートやマンションを退去する時、お風呂のカビの指摘を受け原状回復費用を請求されるケースは珍しくありません。お風呂にカビは生えるものと考える入居者と、日常的な掃除でカビは防げると考える大家さんとでは、意見の食い違いも大きく問題が長引くこともあります。
退去時の清掃費用をどちらがいくら負担するかは、入居前のお風呂の状態や使用状況次第です。アパートのお風呂にカビがある時の、退去時の費用負担について詳しく解説します。
入居者側が負担する場合
賃貸アパートの風呂カビに対し、原状回復費用を入居者側が負担する場合、考えられるのは使用状況に問題があるケースです。例えば、お風呂のカビが次のような状況で発生していた場合、入居者側に問題があったと判断され、原状回復費用のほとんどを入居者が負担しなければなりません。
- 浴室の換気扇を回さず湿気対策をしなかった
- 日常的な清掃をしていなかった
- 定期的なカビ取り掃除を怠っていた
原状回復費用はカビの状況によって異なりますが、大まかな目安としてはお風呂全体の掃除で約1万円、コーキングの交換で数千円前後が必要です。
大家さん側が負担する場合
入居前の段階ですでにお風呂にカビが生えていた場合や、日常的に掃除していても経年劣化によりお風呂がカビやすくなっていた場合は、大家さん側が費用を負担することもあります。ただし、大家さんが全額負担するわけではなく、経年劣化を考慮した上で入居者側と負担の割合を決めるケースがほとんどです。
例えば、入居前からお風呂に取れないカビがあったり、換気扇が古く機能が衰えていたりした場合、退去時にその旨を指摘して入居者側が負担額を減額請求します。
入居前にアパートの浴室をチェックし、カビが生えている場所や換気扇・換気口の様子を写真で残しておくと、目に見える証拠を提示できるので効果的です。
アパートの風呂カビは清掃費用が入居者負担になる理由
賃貸アパートのお風呂のカビ取りや清掃費用が入居者負担になる場合、前提として理解しておかなければならないのが、できるだけ借りた時の状態で返すという考え方です。
例えば、借りた洋服を綺麗に洗って返したり、借りた傘を壊さず綺麗に乾かして返したりするように、賃貸アパートの部屋も可能な限り借りた時の状態で退去しなければなりません。アパートのお風呂が退去時にカビていた場合、なぜ清掃費用が入居者負担になってしまうのか、根拠となる理由を以下で詳しく解説します。
カビ問題に関する「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」解説
アパートのお風呂のカビ問題に直面した時、清掃費用が入居者負担になる根拠としてあげられるのが、国土交通省住宅局が設定している「原状回復を巡るトラブルとガイドライン」です。
このガイドラインは、簡単にいうと「家屋のどのような損傷・消耗を入居者責任にするか」を明確にしたもので、一般的な利用方法で自然に損傷・消耗された部屋の原状回復費用なら、入居者負担になるケースはほとんどありません。
お風呂のカビは、入居者が定期的に掃除しカビを発生させないように気をつけていれば防げるもの、という位置付けです。つまり、ガイドラインに照らし合わせると、お風呂のカビは入居者の使用方法・管理方法が原因で発生したと考えられるため、アパートの風呂カビの清掃費用が入居者負担になります。
『善管注意義務違反』について
『善管注意義務違反』は、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」と合わせ、理解しておくべき専門用語です。賃貸アパートにおける善管注意義務とは、「善意を持って賃貸家屋を管理し、家屋を傷つけたり消耗を早めたりしないよう注意して使用する」ことを意味します。
例えば、腐ったゴミを放置し続けて床を腐らせたり、不注意でタバコの火を落とし、畳を焦がしたりするのは善管注意義務違反です。お風呂のカビも、入居者が善意を持って注意しておけば防げると判断されるため、善管注意義務違反とみなされ清掃費用の負担を求められます。
アパートに6年以上住んでいるなら交渉してみる価値あり
清掃費用の負担を入居者に求めるケースが多いお風呂のカビですが、アパートに6年以上住んでいる人は、交渉次第で負担額を軽減できる可能性があります。賃貸・持ち家に関わらず、築年数を重ねた家屋のお風呂は経年劣化するため、コーキングや蛇口のパッキンなど、どれだけ気をつけて掃除していてもカビを防ぎきれません。
6年以上の長期にわたって住んでいる場合、善意を持って管理していたにも関わらず発生したお風呂のカビは、経年劣化にともなう自然消耗と考えられるため減額される可能性があります。現在のアパートに6年以上住んでいて、お風呂のカビがそこまでひどくないなら、経年劣化による自然消耗を伝えて交渉してみましょう。
退去時に風呂カビのトラブル回避するコツ
入居者の不注意であってもきちんと掃除をしていても、退去時にお風呂にカビが残っていると、大家さんとのトラブルを招きやすい状態です。大家さんや不動産管理会社は、賃貸アパートのお風呂の状況をこまめにチェックしている訳ではないので、退去時の確認でお風呂にカビが生えていれば当然清掃費用を求めます。
大切なのは、少しでも気になる点があったらこまめに報告し、カビ掃除や予防策をしている姿勢を見せることです。退去時のお風呂のカビに関するトラブルを回避するコツを、以下で詳しく解説します。
カビや湿気が気になったら早めに大家さんや管理会社に相談
入居中に、お風呂や洗面台周りのカビや湿気が気になったら、早めに大家さんや管理会社に相談してください。状況を確認して補修や掃除が必要と判断されれば、大家さんや管理会社が費用を負担して処理してくれます。
すぐ対処してもらえなくても、相談実績があるため善管注意義務違反になりにくく、退去時のトラブルを避けやすいです。早めのカビ掃除は悪化も防げるので、賃貸アパートのお風呂のカビや湿気が気になったら、速やかに大家さんや管理会社に連絡して情報を共有してください。
24時間換気と日常的な風呂掃除でカビ防止
お風呂のカビに関するトラブルを回避するためには、日常的なお風呂掃除に加え、24時間換気してカビ防止対策することも大切です。例えば、お風呂場に窓があるなら使用後に空けて換気したり、お風呂の換気扇を24時間回しっぱなしにしたりすると、湿気が軽減されカビが生えにくくなります。
日常的な掃除で湯垢や汚れを落とし、定期的にカビ取りスプレーでケアすれば、黒カビや赤カビの色素沈着も防ぎやすいです。お風呂に入っている時しか換気扇を回さない人もいますが、特に窓がない浴室は熱気を逃しにくいので、換気扇は24時間回しっぱなしにしつつ、継続的な風呂掃除でカビを防止しましょう。
退去前に徹底して風呂カビの掃除をする
アパートの退去が決まったら、退去前にお風呂を徹底的に掃除してカビを排除しておくとトラブル回避に役立ちます。急な引っ越しでない限り、賃貸物件の退去連絡は1ヵ月以上前に行うのが一般的なので、連絡直後から始めれば徹底的なカビ掃除も可能です。
例えば、今日は排水溝周りのカビ取り、明日は浴槽周りのパッキンというように、日にちを分けてピンポイントな掃除を行えば、時間を掛けたカビ掃除ができます。綺麗に掃除したお風呂は、入居者側の善意も伝わりやすくなるので、大家さんや管理会社とのトラブルも起こりにくいです。
具体的なアパートの風呂カビ掃除方法
退去時のお風呂のカビ問題は、最初から綺麗に掃除されていればトラブルも起こりにくく、退去直前になって慌てたり不安になったりしなくて済みます。しかし、本人は掃除しているつもりでも、間違った掃除方法で目についた場所をやみくもに掃除してしまうと、掃除しそびれたカビが残りやすく効果を得られません。
お風呂のカビは、発生しやすい場所をピンポイントで掃除しつつ、日々の掃除に加えて予防策も行っておくことが重要です。お風呂のカビの具体的な掃除方法と、掃除するべき場所を以下で詳しくご紹介します。
カビが発生しやすい場所は念入りに
お風呂のカビ掃除は、カビが発生しやすい場所を知り、ピンポイントで念入りに掃除してください。カビが発生しやすい場所とは、言い換えるならカビが定着しやすい場所です。
念入りな掃除をしておかないと、カビ菌がコーキングの内部にまで入り込んだり、色素沈着して落ちにくくなったりします。毎日は無理でも、ピンポイントで念入りなカビ掃除を行っておくと、カビの発生や内部侵食・色素沈着を防ぎやすいです。
以下でご紹介するカビが発生しやすい場所をチェックし、念入りに掃除してカビ菌を定着させず、お手入れしやすいお風呂場を維持しましょう。
ゴムパッキン
ゴムパッキンは、水滴もつきやすくカビ菌が根を張りやすい場所です。一度カビが生えてしまうと、カビ取りスプレーでも取りにくくなるため、退去時に取り替える(張り替える)ケースも珍しくありません。
古いアパートだと、ゴムパッキンが劣化してカビが侵食しやすくなっており、浴室のあちこちでカビが生えることもあります。浴室の入り口や窓枠・床と壁のつなぎ目など、細かい場所のゴムパッキンは見落としやすいので注意が必要です。
排水口・床
お風呂の排水口や床は、水垢や皮脂汚れ・髪の毛などがたまりやすく、カビの温床になりやすい場所です。例えば、排水溝に溜まった髪の毛を毎日取り除きこすり洗いしていても、排水溝の蓋を開けると内部が黒ずんでいたり、蓋の裏側がカビだらけだったりします。
毎日とは言わないまでも、お風呂から上がる時に髪の毛を処理し、カビ取りスプレーを吹きかけておくだけでもカビを防ぎやすいです。トイレとお風呂が一体化したユニットバスの場合は、トイレの設置面までカビがあるかチェックし、隠れたカビも見落とさずに掃除してください。
天井
お風呂の天井は、湯気で水滴がつきやすく、気がつくと黒カビや赤カビが生えていることも珍しくありません。換気扇が天井に設置されている場合、ホコリが湿気を吸って換気口に付着し、換気扇の内部にまでカビが生えていることもあります。
カビが生えてからでは掃除しにくい場所なので、お風呂やシャワーを済ませたら水滴をふき取ったり、換気扇を回しっぱなしにして湿気を逃がすことが大切です。天井にカビを見つけた場合は、カビ取りスプレーを吹きかけたあとラップでパックし、薬剤を浸透させてカビを落とすと効果があります。
鏡や蛇口
毎日目にするからこそカビを見落としやすいのが、お風呂場の鏡や蛇口です。例えば、鏡に着くカビは壁との接着面に発生しやすく、意識してチェックしないとカビに気づけません。
蛇口のカビは、水滴がたまりやすい裏側やハンドルの裏側に繁殖しやすく、表面だけこすってもカビを落とせないこともあります。鏡や蛇口のカビを放置すると、周囲の壁まで広がって落としにくくなるので、こまめにチェックし早い段階でカビを落としましょう。
カビ取り後の予防策と日々のお手入れ
お風呂場のカビ取りを徹底的に行なったら、予防策と日々のお手入れでカビの発生を防ぎます。日々のお手入れで大切なのは、換気とこまめな掃除です。例えば、換気扇を24時間作動させつつ、使用後は浴室内のドアを開けっ放しにして、室内が乾くまで放置するだけでもカビの発生を防ぎやすくなります。
使用後のお風呂の天井や壁を乾いた布で拭いたり、カビが付着しやすい場所にカビ取りスプレーを吹きかけておくとカビ防止に効果的です。仕事で留守にしがちな人は、2ヵ月に1回カビ取り用のくん煙剤を使用するだけでも違うので、できることを少しずつ継続してください。
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まとめ
賃貸アパートを退去する時、お風呂場がカビだらけだと大家さんから清掃費用を請求されたり、負担金額の割合でトラブルが起こったりすることがあります。お風呂のカビは、「入居者(借主)が掃除していれば発生しなかった」と判断されるため、善管注意義務違反に問われるケースも少なくありません。
入居年数が6年以上あれば、経年劣化を踏まえて減額交渉も可能ですが、使用状況を大家さんや管理会社に細かく報告したり、入居前の画像で証明したりしないと、交渉に応じてもらえないこともあります。
退去時のトラブルを防ぐためにも、お風呂場のカビを徹底的に掃除し、日々のお手入れでカビの発生を予防することが大切です。退去まで時間がない場合や、カビ汚れがひどい時はプロの清掃業者に依頼して、可能な限りお風呂のカビを排除し退去費用トラブルを回避しましょう。