ゴミ屋敷は全国各地で問題になっています。
高齢化が加速していることもその要因とされていますが、いずれにせよゴミ屋敷は周囲の住民に異臭や景観などに於いて悪影響を及ぼすもので、全国でゴミ屋敷に関する条例の制定が進んでいますが、愛知県蒲郡市では2021年、愛知県で初となる行政代執行が行われました。
目次
愛知県蒲郡市のいわゆるごみ屋敷条例に関して
愛知県蒲郡市では、2018年(平成30年)7月1日に「蒲郡市住居棟の不良な生活環境を解消するための条例」が制定されました。
こちらがいわゆるごみやしき条例とされているものです。
蒲郡市でもまた、ゴミ屋敷の問題が顕在化していました。
しかし、他の地域同様、ゴミ屋敷問題解決は結局は住居者の問題であり、第三者が強制的にアクションを起こせるものではなく、住居者の意思次第でした。
そのため、蒲郡市ではゴミ屋敷問題に悩まされていました。
景観を損ねるだけではなく、異臭によって近隣の住民の日常生活に支障をきたしていたことから、条例が制定されました。
蒲郡市のいわゆるごみ屋敷条例に関しては下記となります。
蒲郡市の情報調査・立入
ゴミ屋敷に対し、必要な情報を集めるための立入が可能になりました。
果たしてゴミ屋敷なのか、住居者が自ら問題を解決する意思があるのかなどを調査し、具体的なアクションの判断材料取ります。
蒲郡市のゴミ屋敷への支援
ゴミ屋敷は住居者だけでは問題解決が難しい現実があります。
そこで、問題解決の意思のある住居者に対しては蒲郡市、関係機関、地域が協力しで支援を行います。
蒲郡市の指導・勧告、命令・指名の公表や代執行
ゴミ屋敷改善のために指導を行いますが、指導に従わない場合、勧告が可能になりました。
しかし勧告に従わない場合、より強い効力のある「命令」が可能になりますが、命令にも従わない場合、氏名の公表や過料の徴収が可能になります。
さらに命令にも従わない場合、行政代執行が可能になります。
代執行は、ゴミ屋敷に侵入し、堆積物、つまりはゴミの撤去を強制的に行うことです。
また、その際の費用は基本的に住居者負担となり、支払いに応じない場合には税金同様、強制的な徴収が可能です。
蒲郡市のいわゆるごみ屋敷条例、適正な運用のために
蒲郡市のいわゆるごみ屋敷条例に関しては、審議会が設置されています。
審議会は有識者によって組織されたもので、行政だけで勝手に進めることがないよう、審議会の意見を聞いてことをすすめます。
ちなみに審議会は蒲郡市長に意見を述べることが認められていますので、仮に審議会が行政代執行に反対した場合、代執行の実行は難しいでしょう。
2021年、愛知県初の行政代執行
2021年5月、愛知県蒲郡市に於いて、愛知県初となる行政代執行が行われました。
愛知県蒲郡市に住む69歳の男性宅がゴミ屋敷となっていたとのことですが、蒲郡市としても既に2019年にはこちらのゴミ屋敷を把握していたようで、以降、行政代執行までの2年間に於いて住居人である69歳男性に対し、30回以上、直接撤去を求めたものの、ゴミ屋敷が改善されることはありませんでした。
当時、蒲郡市には4件のゴミ屋敷があることを確認していたようですが、該当ゴミ屋敷に関しては、異臭で近隣住民が迷惑をしていたうで苦情も多く、火災の危険性もあったことなどから、2019年5月、代執行が行われました。
1日で終わらなかった蒲郡市の行政代執行とゴミ屋敷化の理由
ゴミ屋敷には多くのゴミ・荷物など堆積物がため込まれていたことから、1日だけでは終わりませんでした。
5月18日の開始から、5月21日までかかったとのこと。
それだけ多くのゴミに囲まれた生活を送っていたのです。
自力での解決は現実的には不可能だったことでしょう。
住居人である69歳男性によると、売るために古着を集めていたものの、売れなくなってきたことで溜まってしまっていき、片付けも追いつかなくなっていたことから、ゴミ屋敷化が進んでしまったとのことです。
行政代執行は「それから」が大切
全国的に見ると、2018年に神奈川県横須賀市でも行政代執行が行われました。
しかし、このゴミ屋敷は行政代執行後、再び住居人がゴミを溜め込んでいるようです。
つまり、行政代執行ですべてが終わるのではなく、その後の生活指導・改善も大切です。
蒲郡市としても、維持してもらえるよう働きかけや支援を行うとのことです。
蒲郡市での行政代執行の費用
蒲郡市で行われた行政代執行の予算は400万円。
もちろんこれは税金から支払われるのではなく、住居人である69歳男性に直接請求されます。
もしもですが、費用に対して延滞や不払いがある場合には、他の税金同様、強制的な徴収権限を持っていますので、督促や強制徴収が可能です。
愛知県蒲郡市のゴミ屋敷問題にみる、ゴミ屋敷の問題点と予防法
蒲郡市のゴミ屋敷の行政代執行。
その根底にあったのは、古着の販売を行っていたものの、売れなくなったことで住居の中に売れない古着が蓄積されていったとのこと。
決して奇抜な理由ではなく、多くの人にとって有り得る理由なのではないでしょうか。
古着として考えるのではなく、売ろうとしていたものが売れなくて家の中の荷物が増えていくことは、販売を手掛けている人間であれば、誰にも起こり得る可能性があります。
そこでゴミ屋敷としないためには、いくつかの対策・予防法が挙げられます。
毎日できる限り掃除・整理整頓を行う
ゴミ屋敷に共通しているのは、ゴミが増えることで次第にゴミ屋敷となる点です。
これは自然の摂理なのですが、増えたゴミをその都度処分していればゴミ屋敷化を防ぐこともできます。
そのため、掃除や整理整頓はこまめに行いましょう。定期的に行っている人は多いかと思いますが、定期的に行う場合、掃除・整理整頓を行うまでに想定外のゴミが溜まってしまうと、掃除・整理整頓のモチベーションが低下してしまいます。
また、ゴミが増えて部屋が汚くなり、かつ汚い部屋に慣れてしまうと掃除の必要性を感じなくなります。
綺麗な部屋であれば少しの汚れも気にならないものですが、汚れている部屋が多少汚れたところで気にならないのが人間心理。
ゴミの無い部屋にゴミが出れば気になりますが、ゴミで散乱されいている部屋に、ゴミが少し増えたところで何も思わないのもまた、人間心理なので、ゴミを増やさず、常に綺麗な状態を保つことが大切です。
相談してみる
ゴミ問題で悩んでいるようであれば、まだまだ事態が深刻化する前に、不用品回収業者等に相談してみるのも良いでしょう。
行政代執行でかかる費用は行政の言い値です。
しかし問題が深刻化する前に不用品回収業者に相談すれば、行政代執行で請求されるよりも断然安い金額で部屋の掃除、不用品回収が可能です。
ノウハウの豊富な業者であれば、ゴミ問題に関して様々な相談もできます。
ゴミの問題は友人や知人はおろか、家族にも相談しにくいものですが、不用品回収業者であれば親身に相談に乗ってくれることでしょう。
最後に
愛知県蒲郡市の行政代執行は行政としてもそれまで粘り強く指導等を行っていたものの、改善の意思が見られなかったことから行政代執行となった模様です。
行政としても安易に行政代執行をと考えているのではなく、あくまでも住居者の自発的な改善を求めていることが伺えます。
このことからも分かるように、ゴミ屋敷はやはり自発的に対処することが大切になりますので、まずは周囲に相談してみましょう。
相談する相手がいないのであれば不用品回収業者など、ゴミ屋敷に詳しい業者に相談することで、解決策が見つかるかもしれません。