豊橋市は愛知県南東部に位置する人口およそ67万人の大都市です。
中京圏に於けるベッドタウン的な特性もあれば、工業地域としての発展も遂げている等賑わいのある街です。
そんな豊橋市では豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例と呼ばれる、いわゆるゴミ屋敷条例が制定されています。
今回はそんな豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例をご紹介しましょう。
目次
豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例について
愛知県豊橋市が制定している豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例は、全14条からなる条例です。
基本的にゴミ屋敷対策のための条例となっていますが、その中でも主に豊橋市が住民に対しての指導等を行える、直接的なゴミ屋敷対策となる部分をご紹介しましょう。
豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例第1条
豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例第1条では豊橋市、さらには豊橋市民が協力して良好な生活環境の保全を図ることと定義されています。
つまり、ゴミ屋敷になってしまうことそのものが条例違反であると共に、ゴミ屋敷となってしまった家屋に対して何もしないことも条例違反だと解釈できます。
豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例第3条
豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例第3条では占有・所有、あるいは管理している建築物を適切に管理するよう明文化されています。
つまり、ゴミ屋敷化は「適切な管理」とは言えませんので条例に違反していると解釈できます。
豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例第4条
豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例第4条では、条例の目的達成のために施策を実施できると規定されています。
つまり、ゴミ屋敷を解消するために、決してゴミ屋敷住居人の自発的な行動を待つだけではなく、行政として様々な施策を打ち出すことができます。
豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例第7条
豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例第7条では、ゴミ屋敷の住居者に対して、市長が生活環境解消のための助言や指導を行えると定めています。
また、助言や指導で解決できない場合には必要な措置を取ることを勧告できるとも明文化されています。
つまり、市長として当初はあくまでもゴミ屋敷住居人の自発的な行動に任せた助言・指導ではあっても、なかなか改善されない場合にはある程度の強制性を持つ勧告を行えることが定められています。
豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例第9条
豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例第9条では正当な理由がなく、ゴミ屋敷住居人が命令に従わない場合、さらには従わないことでゴミ屋敷が継続されて社会公益性が損なわれる場合には行政代執行を行えると定義しています。
また、その際の費用はゴミ屋敷住居人に請求できることも明文化されています。
豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例第10条
豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例第10条では、危険な状態が切迫している時には危険な状態回避のための最小限の措置を講ずることができます。
つまり、行政代執行のような大掛かりな措置を待つのではなく、必要最小限の措置にて多少は地域住民の負担を軽減できます。
豊橋市が用意している豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例の特徴
豊橋市ではお伝えしたように、豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例が規定されています。
これにより、ゴミ屋敷問題は条例に基いての対処が行えます。
また、条例の中身のポイントもいくつか解説しましょう。
「フルスペック」のゴミ屋敷条例だと考えることができる
愛知県豊橋市に限らず、いわゆるゴミ屋敷条例を制定している自治体は増えています。
しかし、その中身は様々です。
あくまでもゴミ屋敷住居人の自発的な行動を促すのみのものもありますが、豊橋市が制定している豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例は、ゴミ屋敷条例としては「フルスペック」と呼ぶに相応しいものです。
なぜなら行政代執行、代執行時の費用請求、その他必要だと思った措置の実行等が条例として規定されています。
決して市長の判断を仰ぐものではなく、明文化されたものになりますので、例え豊橋市の市長が変わったとしても、ゴミ屋敷対策そのものが大きく変わることはありません。
スピード感も期待できる
豊橋市が制定している豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例の第10条にて必要最小限の措置を講ずることができると規定されています。
つまり、行政代執行以外の方法も用意されています。
一般的には指導、勧告でゴミ屋敷住居人が何もしなければ、行政代執行を待つしかありません。
しかし豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例であれば、必要最小限の措置を講ずることができます。
行政代執行を待たずに措置を取れるので、周辺の地域住民も安心です。
豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例だけで解決するのか
豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例はフルスペックと呼ぶにふさわしい素晴らしいゴミ屋敷条例ですが、ではこの条例があれば愛知県豊橋市のゴミ屋敷問題を解決できるのか。
その答えは「NO」です。
なぜなら条例以外にも住民が心掛けるべき問題があるからです。
ゴミ屋敷は再発が多い
ゴミ屋敷に対して行政が代執行を敢行した事例は多々あります。
しかし、行政代執行後に再びゴミ屋敷化する「再発」も多々あります。
つまり、一度ゴミを片付ければ問題が解決する訳ではありません。
今後再発しないよう、地域住民で問題に取り組む姿勢が求められます。
行政に頼らない方法を覚えておく
ゴミ屋敷における行政代執行とは行政による強制的な撤去です。
しかし、行政代執行のためには手順を踏まなければなりません。
そのため、行政に頼らない方法も把握しておく必要があります。
具体的な対策
例えばゴミを溜めやすい住居人であれば周囲の人間が説得して定期的に不用品回収業者等にて不用品を回収してもらったり、地域の支援が必要であれば支援策をまとめたり等です。
ゴミ屋敷は住居人だけの問題ではありません。
地域社会の問題として、地域の人間が当事者意識を持つこともまた、再発防止策の一つです。
ゴミ屋敷の原因を解明する
ゴミ屋敷になってしまう理由は、基本的には「ゴミが溜まってしまう」ですが、なぜゴミを溜めてしまうのかは人それぞれです。
そのため、原因の追求が大切です。
ライフスタイルがゴミ屋敷を生むのですが、ではそのライフスタイルの何が原因になっているのか。
周囲が気づき、原因に基づいた対策・フォローを行うことこそゴミ屋敷の再発防止で求められます。
豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例についてのまとめ
豊橋市が制定している豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例はゴミ屋敷条例だと考えてよいでしょう。
ゴミ屋敷の定義、さらには行政代執行やその際の費用請求先まで規定されています。
また、必要最小限の措置を講ずることも明文化されているなど、スピード感のある対策も可能となっています。
但し、豊橋市不良な生活環境の解消に関する条例に基づいてゴミ屋敷を撤去したとしても、再発リスクが消える訳ではありません。
豊橋市や地域住民が一体となって問題と向き合い、再発を防止することが重要です。