メディアに頻繁に取り上げられ、話題になることも多いゴミ屋敷。
どんな人が住んでいると思いますか?
ゴミ屋敷の住人になりやすい人には、特徴があるのでしょうか。
また、ゴミ屋敷になる前にできることとは何なのでしょうか。
目次
「ゴミ屋敷」とは?
よく耳にする「ゴミ屋敷」ですが、一般的にはどのような状態を指すのでしょうか。
「ゴミ屋敷」と呼ばれる家に、“こういうもの”という明確な定義はありません。
しかし、一般的には、ゴミ集積場ではないのにゴミが野積みの状態で放置されているごみ集積所ではない建物や土地のことを指します。
建物内部に目を向けると、足の踏み場もないほど家じゅうにモノが溢れ、ゴミが積み上げられて、生活空間がほとんどなくなっているような状態です。
とにかくモノやゴミが溢れ、ゴミを踏み越えないと入れないような家もあります。
メディアなどで紹介されるゴミ屋敷では、住人自身がその土地や建物の所有者本人であることが多く、溢れるゴミは、住人が自ら出すゴミだけでなく、近隣の集積場からゴミを運び込んでいる場合もあります。
これらのゴミには、実は法律的に所有権が存在し、他人が勝手に捨てることはできません。
他人の目にはゴミや不要物でしかないものでも、所有権を持つ住人が「ゴミではない」と主張すれば、強制的に片付けることは困難です。
このため、近年、全国で、ゴミ屋敷を改善するための条例を定める自治体が増えていますが、上記のような問題もあり、なかなか思うように解決していないのが現状です。
ゴミ屋敷にはどんな問題があるの?
ゴミ屋敷には、どのような問題があるのでしょうか。
健康を損ねる原因になる
大量のゴミが積み上げられたゴミ屋敷は、衛生環境が非常に悪くなります。
ハエやゴキブリ、ダニなどの害虫やネズミなどの害獣が発生し、雑菌が繁殖するため、病気にかかりやすくなります。
ゴミが積み上げられて窓もろくに開けることができず、室内には汚れた空気や湿気が充満するため、カビなども発生しやすくなります。
このような環境は、住人に深刻な健康被害を及ぼします。
また、足の踏み場もないほどゴミやモノが散乱しているため、モノにぶつかったり、何かを踏んだり足に引っかかったりすることで大怪我につながる可能性も低くありません。
火災を起こしやすくなる
ゴミ屋敷では、コンセントや電源タップがゴミやホコリにまみれているため、加熱して火災の原因となる危険性があります。
ゴミ屋敷はモノが多いため、いったん火事になってしまうと、あっという間に火が広がります。
モノやゴミで逃げる経路がなく、住人が逃げ遅れる原因にもなるでしょう。
犯罪の温床になる
ゴミ屋敷は、住人がいるかどうかもわからないため、放火されたり、ゴミを捨てられるなど、犯罪が起きやすくなります。
近隣に迷惑がかかる
ゴミ屋敷の存在は、近隣に迷惑をかけます。
家の外にまでゴミが堆積されて街の美観を損ねるだけでなく、伸びた庭木の枝が通行の妨げとなることも。
手入れされないため、家が傷んで倒壊する危険性も高くなります。
また、悪臭や害虫の発生が近隣にまで及び、深刻なストレスを与えることも珍しくありません。
こうしたことから近隣との関係が悪化し、住人はますます孤立し、さらにゴミを溜め込むという悪人感に陥るケースもあるようです。
行政指導が入る
ゴミ屋敷を取り締まる法律は、今のところありません。
しかし、ゴミ屋敷に関する条例がある自治体では、行政指導を受けるケースがあります。
ゴミ屋敷条例の内容や指導内容は自治体ごとに異なりますが、中には住所や住人の氏名が公開されるところもあります。
ゴミ屋敷の住人になりやすい人の特徴とは?
さまざまな問題をはらむゴミ屋敷。
ゴミ屋敷の住人とは、どんな人なのでしょうか。
また、どのような人がゴミ屋敷の住人になりやすいのでしょうか。
片付けが苦手な人
もともと、掃除や片付けが苦手な人は、ゴミ屋敷の住人になりやすいと言っていいでしょう。
散らかった部屋を見て「これはまずい・・・」と思っても、具体的にどう動けばいいのか分からなかったり、手をつけられなかったりします。
また、子供の頃から片付ける習慣がついていない人も片付けが苦手です。
だんだんゴミやモノが溜まり、ゴミ屋敷になってしまいます。
買い物が好きすぎる人
買い物が大好きな人も、ゴミ屋敷の住人になりやすい傾向があります。
特に現代はインターネット通販が発達し、何気なくパソコンの画面を見ているだけでも欲しくなって「これくらい、いいかな」と買ってしまった経験のある人も多いのではないでしょうか。
ついモノを買ってしまうのは男性より女性に多いと言われています。
女性は洋服やアクセサリー、化粧品、靴などを購入することが多いようです。
大量に買っても結局使いきれず、タンスの肥やしとなったり、クローゼットなどにモノが溢れる結果となってしまいます。
多忙な人
仕事が忙しい人や、出張が多い人、夜勤など勤務が不規則な仕事に就いている人は、ゴミ屋敷の住人になりやすいようです。
ゴミを出したいと思っていても、収集日とタイミングが合わず、だんだんゴミが溜まっていき、ゴミ屋敷になってしまうのです。
一人暮らしの人に多く、ゴミが溜まっていくうちに、その環境に慣れて普通になってしまうこともあるようです。
モノを大切にしすぎる人
もったいない、と思う気持ちが強すぎてモノを捨てられず、ゴミ屋敷の住人となってしまうケースがあります。
古くてもう着ない洋服も、なんとなく捨てられない。
コンビニでもらった割り箸やスプーン、街でもらったティッシュや試供品なども、いつか使うかもしれないと思って捨てられない。
このような人の家にはどんどんモノがたまり、ゴミ屋敷の住人となってしまいます。
モノを捨てることに罪悪感を感じるのは高齢者が多いですが、親や祖父母にこのような影響を受け、モノが捨てられない人もいるようです。
問題を先送りしがちな人・面倒くさがりな人
普段から、起こった問題を先送りにしがちな人や、面倒くさがりな人は、ゴミ屋敷の住人となってしまうことがあります。
出たゴミはこまめに捨てればいいのですが、「あとでいいか」とすぐに捨てない。
掃除をしなければと思いながら、「今度でいいや」と考えてしまう。
このような人は、気がついたら自分ではどうにもできないほどゴミを溜めてしまうことがあります。
発達障害や精神疾患を持つ人
たとえば、ADHDやアスペルガー症候群などの発達障害を持つ人は、ゴミ屋敷の住人になりやすい傾向があります。
ADHDには、片付けが苦手、アスペルガー症候群の人は、モノを捨てるのが苦手という特徴があります。
発達障害の治療には、早期からの療育と、周囲の理解・教育が必要です。
また、うつ病やなどの精神疾患を持つ人も、ゴミ屋敷の住人になりやすいと言えるでしょう。
うつ病から全てに気力がなくなり、セルフネグレクトに陥るケースは多いようです。
生活環境や栄養状態がどんなに悪化しても、改善しようという気力が失われ、周囲に助けも求めず、最悪の場合、孤独死に至るケースも見られます。
ゴミ屋敷になる前にできることとは?
一度ゴミが溜まり始め、捨てるのが億劫になってしまうと、もうゴミ屋敷の住人へ一直線です。
自宅がゴミ屋敷になる前に、できることとはあるのでしょうか。
モノを増やさない
新たにモノを増やさないようにしましょう。
買い物も、今必要なものを必要な分だけ買うようにします。
現在あるモノをすぐに捨てるのは難しいかもしれませんが、これ以上モノを増やさないように心がけましょう
不要なものを捨てる
ゴミ屋敷には、ゴミはもちろん、「いつか使うかも」と溜め込んでいるモノがたくさんあるはずです。
今使っていないモノ、これからも使わないモノは、思い切って処分しましょう。
自治体に相談する
ゴミ屋敷を自分ではどうしようもないと感じたら、自治体に相談してみましょう。
ゴミ屋敷問題は地域全体の問題であるため、片付けのためのサポートをしてもらえます。
サポート内容は自治体によって異なりますが、まずは相談してみることが大切です。
片付け業者に依頼する
体力や気力が衰えている人、あまりにゴミが多い人は、片付け業者に依頼することを検討しましょう。
ゴミ屋敷を自分で片付けるには、かなりの決心と時間、手間が必要です。
しかし、片付け業者に依頼すれば、1〜2日で片付けてもらうことができます。
ゴミ屋敷住人になりやすい人の特徴と、ゴミ屋敷になる前にできること まとめ
ゴミ屋敷の住人になりやすい人には、片付けが苦手、多忙、モノを大切にしすぎる、面倒くさがりな性格、発達障害など、さまざまな原因があります。
しかし、ゴミ屋敷の存在は、街の美観や住人の健康を損ね、近隣にも悪影響を及ぼします。
ゴミ屋敷の住人になってしまう前に、モノを増やさず、不要なモノやゴミを捨てるよう習慣づけましょう。
どうしても片付けが難しい場合は、片付け業者に依頼する方法もあります。