愛知県小牧市では「小牧市快適で清潔なまちづくり条例」が制定されています。
ゴミ屋敷を含めた環境全般に関する条例となっていますので、ゴミ屋敷に該当するであろう部分をご紹介します。
目次
小牧市快適で清潔なまちづくり条例
愛知県小牧市では小牧市快適で清潔なまちづくり条例が制定されており、ゴミ屋敷を含めた環境問題対策を考えています。
しかし、ゴミ屋敷のためだけの条例ではなく、あくまでも環境全般のための条例となっていますので、ここではゴミ屋敷に該当、あるいは解釈できるであろう部分をご紹介します。
小牧市快適で清潔なまちづくり条例・第3条
第3条では小牧市行政が快適で清潔な町のために施策を策定し、かつ実施できると規定されています。
つまり、ゴミ屋敷問題が顕在化した際、適切な施策を策定・実践するための根拠になると考えられます。
小牧市快適で清潔なまちづくり条例・第12条
第12条では日常生活で発生する異臭で周辺生活環境を損なわないよう努めることが規定されています。
ゴミ屋敷といえば見た目の問題もさることながら、異臭も大きな問題です。
生ゴミなど、匂いのきついゴミが含まれているゴミ屋敷も決して珍しくありません。
異臭で周囲に迷惑を与えないようにと規定されていますので、この条例に違反していると解釈できるゴミ屋敷も出てくることでしょう。
小牧市快適で清潔なまちづくり条例・第16条
第16条では土地や建物の所有者や廃棄物が放置されること、さらには投棄されることを防止するための措置を講ずるようにと規定されています。
また、周辺環境を損なう状態にあるとみられている場合、適正に処理することが規定されています。
この項目に関しては、ゴミ屋敷を想定していると考えてよいでしょう。
小牧市快適で清潔なまちづくり条例・第19条
小牧市長が地域環境保全・美化のために必要だと認めた場合、協議会の設置が規定されています。
もし、ゴミ屋敷問題が愛知県小牧市に於いて大きな問題となった時には市長権限で、対策のための協議会を設置することが可能です。
小牧市快適で清潔なまちづくり条例・第26条
第26条の9項において、規定に違反して廃棄物やその他のゴミを適正に処理しない者に対し、是正指導、あるいは勧告が可能であることが規定されています。
ゴミ屋敷の住居者に対し、指導や勧告を行うための根拠となっている条文です。
小牧市快適で清潔なまちづくり条例・第27条
26条を根拠とした指導や勧告に対し、正当な理由がないにも関わらず従わない場合、指導や勧告に従うよう命ずることができます。
この点は他の地域のいわゆるゴミ屋敷条例における行政代執行までの流れと一致したものです。
小牧市快適で清潔なまちづくり条例でゴミ屋敷対策は可能なのか
愛知県小牧市で制定されている小牧市快適で清潔なまちづくり条例の、ゴミ屋敷の対応にも解釈できるであろう条文をご紹介しました。
ですが、この条例だけでゴミ屋敷問題を解決できるのか、いくつかの確度から見てみましょう。
行政代執行に関して
他の自治体が制定している、いわゆる「ゴミ屋敷条例」と呼ばれるゴミ屋敷のためだけの条例の場合、行政代執行も規定されています。
ですが、小牧市快適で清潔なまちづくり条例に関しては行政代執行は規定されていません。
命令までが可能な点はゴミ屋敷条例と相通ずる部分もありますが、小牧市快適で清潔なまちづくり条例では命令に従わなかった場合の具体的施策に関しては記載がありません。
一方、第19条で対策のための協議会設置が認められています。
つまり、行政代執行を実践するための議論の場を設けることもできますので、いわゆるゴミ屋敷条例と比較しても、対応力という点で決して見劣りするものではありません。
支援策について
小牧市快適で清潔なまちづくり条例では、支援策に関しては具体的対策は記載されていません。
いわゆるゴミ屋敷条例では、医療・福祉の観点からの支援策を記載しているケースも見受けられますが、小牧市快適で清潔なまちづくり条例ではそれらは見当たりません。
ただし、こちらに関しても先にお伝えしたように、第19条にて必要な施策についての協議会の設置が可能となっています。
ですので、支援策について協議することも可能だと解釈できます。
いわゆるゴミ屋敷条例の場合、事前に策定していますが、小牧市快適で清潔なまちづくり条例の場合、その都度柔軟に対応すると考えることができます。
再発防止策について
再発防止に関する具体的な施策についても記載がありません。
ゴミ屋敷問題は再発も発生しています。
行政代執行によって一時的にゴミを撤去したとしても、生活習慣等に変化を与えたわけではないので、結局は再びゴミを堆積させてしまうケースもあります。
このような点は自治体としても理解しているからこそ、再発防止策まで策定している自治体もあります。
ですが、小牧市快適で清潔なまちづくり条例では再発防止策が見当たりません。
しかし、第19条で必要な施策を策定できることが規定されていますので、必要だと思ったその時に再発防止策を策定することも可能です。
小牧市快適で清潔なまちづくり条例に見る小牧市のゴミ屋敷
条例とは、市民の善意だけでは対応できない時に策定されると考えることもできます。
モラル・マナーでは限界がある時には条例という「ルール」を策定し、守ってもらうのです。
つまり、小牧市快適で清潔なまちづくり条例のゴミ屋敷に関する部分から、愛知県小牧市のゴミ屋敷事情も伺えます。
大きな問題には発展していない
いわゆるゴミ屋敷条例を策定している地域は、しっかりとしたゴミ屋敷条例が策定されていると感心させられる一方で、ゴミ屋敷条例を策定しなければならない事情があったと考えることができます。
つまり、愛知県小牧市では、まだまだゴミ屋敷問題が地域にとって大きな問題になっていないと考えることもできます。
実際、愛知県小牧市ではゴミ屋敷問題が顕在化された形跡は見られません。
もちろん今後ゴミ問題が起きないとも限りませんが、小牧市快適で清潔なまちづくり条例では対応できないようなゴミ屋敷の問題とは無縁であるからこそ、「この条例では不完全」との指摘もないのでしょう。
柔軟性のある条例だと考えることもできる
小牧市快適で清潔なまちづくり条例は、文中でも何度かお伝えしましたが第19条にて必要なことを話し合うことができると策定しています。
具体的事例のみを想定したものではなく、幅広く対応できるよう、含みを持たせた条例となっています。
そのため、今後問題が起きたとしても、その都度第19条に基づいて対策会議を開き、対応策を策定することができます。
小牧市快適で清潔なまちづくり条例についてのまとめ
愛知県小牧市が制定している「小牧市快適で清潔なまちづくり条例」ではゴミ屋敷居住者に対して命令まで可能です。
また、具体的施策を話し合う場を設置することまで定められています。
一方、再発防止・支援策は他の自治体のいわゆるゴミ屋敷条例と比較すると弱い部分もあります。
ですが、話し合う場を設置できるからこそ、その都度柔軟に対応できるとも解釈できます。
その点では小牧市快適で清潔なまちづくり条例はいわば「ケースバイケース」の、柔軟性のある条例だと考えることができます。